さて今回も始まる、歴史上の人物.comの「【レビュー記事】麒麟をお待ち申し上げます」。
第三回の「美濃の国」をいろんな角度から堪能し、見たまま感じたままをお伝えしたい。
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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大きな動きはナシの第三回
第三回の第一印象は「箸休めの回かな?」である。
前回のように派手な合戦や毒殺もなく、明智光秀もおとなしい。
派手な戦闘シーンなどを期待したファンには物足りなかったかもしれないが、この第三回は次なるヤマ場へ向けて「溜める」回である。
人は、ジャンプをする前に少ししゃがむ。
そういうことだ。
だが、見るべきところはあった。
気になる点について考察してみよう。
緊張をばらまく斎藤道三
おとなしめの第三回の中でもまだまだ覇気あるのが斎藤道三(利政)である。
登場3話目ともなると、本木雅弘の演技が無理しているとか、声を作っているとかは全く思わない。
彼の演じるヤバイ道三が、斎藤道三なのだ。
そして、彼が画面に登場するたび、何が起きるかと身構えるのは筆者一人ではないだろう。
斎藤道三は周囲に緊張をばらまくのを喜ぶ男である。
道三の緊張関係その① 対土岐頼芸
「道三役の本木雅弘さんとは今回はじめて芝居をしました。お互いの腹を探りながらのヒリヒリしたシーンで、やっていておもしろかった。ただ板の間がね・・・。鷹の絵を描くときは膝が痛いし、あぐらをかくとおしりと足首が痛い。でも、楽しいからいいか!って感じです」(尾美としのり)#麒麟がくる pic.twitter.com/AYbTz3zG9j
— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) February 2, 2020
尾美としのり演じる土岐頼芸は、第二回で道三に毒殺された美濃国守護・土岐頼純の叔父である。
死んだ頼純の代わりに次の守護になる彼だが、部下である守護代・斎藤道三の操り人形になりたくないため、気乗りしない。
ましてや、道三に毒を盛られてはたまらない。
すると道三は、
「操り人形に毒は盛りませぬ」
と今エピソード一番のセリフを言ってのける。
これにぎょっとしたのは、その場にいた頼芸本人、道三の息子・高政(のちの義龍)、そして我々お茶の間の皆さんであった。
道三の緊張関係その② 対斎藤高政
道三を疎んじる土岐頼芸は、道三とは不仲の嫡男・高政に期待を寄せる。
「我が子と思うて頼りにしておるぞ」
などという言葉で高政の動揺を誘うのだ。
高政の実母・深芳野は道三の側室だが、かつては頼芸の妾だった。
つまり、頼芸が高政の実父である可能性がほのめかされる。
普段から父親の道三に軽んじられている嫡男・高政は葛藤し、やがて来る父子対決へと繋がるのだ。
不器用だが、決して悪い男でもない明智光秀の友・高政。
やがて斎藤義龍となる高政の今後の行動には注目すべきだろう。
それにしても道三は、なかなかの神出鬼没具合である。
土岐頼芸が高政に耳打するとき、そして高政が母・深芳野に彼の実父について問いただす場面に限り、道三が絶妙のタイミングで陰から高政の様子を窺っている!
この後の歴史上の展開を知らない人も、この2人の将来に絶対ヤバイことが起きるサインを受け取りましたね?
ドラマの設定について
今回は、歴史的な動きが少ない回だったので、その他の気になることをまとめておきたい。
駒を救ったのは光秀の父親?
ドラマの初回のレビューでこれに言及しなかった筆者は少し後悔している。
戦災孤児である女性・駒を火事場から助けた謎の武士は、明智光秀の父親だった、というオチになる予感が今回いよいよ強まった。
・光秀の母・牧は、光秀の父親が西に旅に出かけたことを以前に語っている
・今エピソードで帰蝶が話す美濃国の「狐の娘」の伝承と、駒が謎の武士にしてもらった話が似ている
本当に、謎の武士は光秀の父親ということになり、駒に「麒麟」の話をした人物こそ光秀の父親、ということになってしまうのか。
まさかそんな低い確率の話が現実に? と思ってもこれはドラマだ。
そうだとすると、謎の武士が光秀の父だと、どう証明するのか。
明智家の家紋・桔梗紋だろうか。
いろいろ気になる。
出演者の言葉遣い
「菊丸役の岡村隆史さんは、色んなアイデアを持っていらっしゃる方で『ここは、こんなんでどうですか?』と言ったことが的確で、そのシーンがすごくおもしろくなります。“間”と“音”にすごく敏感にお芝居されている印象があります。岡村さんと一緒のシーンはとても楽しいです」(門脇麦)#麒麟がくる pic.twitter.com/bSJVLJKmCJ
— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) February 2, 2020
今シリーズでは、武将以外の人々の言葉遣いが現代的なのが気になっている。
第三話で言うならば、門脇麦演じる駒と岡村隆史による菊丸の会話場面。
わかりやすい面もあるが、戦国ドラマにしてはちょっと軽い印象だ。
演じる役者というより脚本の問題だろうが、あまりにも庶民たちの言葉が普通すぎて損をしてはいないだろうか。
菊丸の棒読みっぽい演技も少々気になる。
帰蝶はもっと高飛車に、深芳野はそのまま下品でよろしく
今回帰蝶の出番が比較的多かったが、思ったより普通の女性の印象だ。
帰蝶はあの道三の娘なのだし、いずれ織田信長の妻となる女性でもある。
もっとじゃじゃ馬、もしくは高飛車でいてほしい幻想が著者にはある。
川口春奈の帰蝶には上から目線が似合うはずなのだ。
嬉しい誤算もあった。
今回初登場の道三の側室・深芳野だ。
これが思ったより下品。
光秀の母親・牧の方とは正反対である。
しかし、考えてみれば道三の側室なのだ、抜け目ないくらいが丁度いい。
それにしても道三の家庭(と呼んでいいのかわからないが)は、緊張ばかりで心の安まる場所ではないな。
伊藤英明演じる斎藤高政のストレス具合が心配である。
麒麟がくる第三回レビューのまとめ
『麒麟がくる』第三話「美濃の国」は、派手な見せ場こそなかったが、これからの見どころに向けての種まき場面を目撃することができたといえそうだ。
第三回のレビューまとめは、
① 斎藤道三の対守護・土岐頼芸、対嫡男・斎藤高政との緊張感がおもしろい
② 戦災孤児・駒を救った謎の武士は光秀の父親の可能性があるかも
③ 言葉遣いやキャラクターに違和感も。ただし、深芳野の下品さはお似合い
次回も道三が張り切っていそうだ。楽しみである。
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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