麒麟がくる第十八回「越前へ」の感想|三者三様。義景と信長と光秀

 

明智家の人々は、この『麒麟がくる』第十八回でとうとう越前国へやってきた。

史実では、明智光秀(十兵衛)の越前へ至る経緯や活躍ぶりについては詳しくは分かっていない。

そのあたりをドラマで楽しみ、想像しながら、見たまま感じたままをお伝えしたい。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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やっぱもう光安殿には会えないか・・・

前回涙を誘う光秀との別れとなった、光秀の叔父・明智光安。

今回、城と運命を共にする覚悟の光安の最期を見届けたかった。

壮絶な現場となっただろうことは想像つくけれども、やはり最後にひと目彼の活躍を見たかった。

遠目に見えた明智城からの煙がひたすら悲しい。

 

駒ちゃんと煕子

今回駒ちゃんの命の恩人が、明智光秀の父親・明智光綱あけちみつつなであったことが、しっかり証明された。

はっきり言って、「駒ちゃんの命の恩人=光秀の父」を知らないのはドラマの中の人たちだけで、視聴者にはわかってましたね?

これまで何をやってもうっとうしがられた駒ちゃんだったが、今回は毎回名演技を披露する石川さゆり演じる牧の方の涙もあって、助けられたように思う。

命の恩人が判明するシーンは、感動シーンとなった。

しかし毎回思うに、駒ちゃんを少々めんどくさいと感じるのは、演技力のせいではなく駒のキャラクター設定なので、門脇麦が気の毒だ。

それにしても、駒ちゃんが煕子の腕の怪我に包帯代わりとして巻いた布、巻きがゆるすぎる。

ありゃ、すぐにダルッダルになっちゃうよ。

一方、今まで光秀の妻としての見せ場がなかった煕子のスマッシュヒットがあった。

越前にやって来た牢人となった夫・光秀は今や超貧乏である。

当座の金を作るべく、駒と共に質屋へいった煕子は、光秀が持っていた父の形見の数珠を手放すことなく、さらりと自分の帯を質草にして金に替えた。

光秀の苦労時代に尽くした彼女の逸話を証明するべく内助の功の実力を発揮し、頼もしい限りである。

 

朝倉義景の登場と光秀

初登場の朝倉義景あさくらよしかげって一体どういう男なのか測りかねている人も多いのでは?

不思議男・義景

人の気持ちがわかってんのか、わかってないのか、つかみ所の無い人物である朝倉義景を演じるのは、ユースケ・サンタマリアだ。

ケチケチだった斉藤道三と比べ、

「金がいるのであろう?」

「くれてやろうぞ」

といとも簡単に申し出てくれはするが、そこには全く心が籠もってないよね。

ないない、全然ない。

心配をするのはややこしいことに巻き込まれたくないという自分の立場だけ。

光秀が去った後、床掃除をしている者に、光秀が座っていた場所を

「もっとえぐるように拭こう」

なんて言うセリフに、げっそりした人はいませんか?

爬虫類的な冷たささえ感じさせる義景に、光秀は一体どうやってからんでいくことになるのだろうか。

しっかりしろ、光秀

そんな義景への光秀の押しがどうも弱い。

律儀で、真面目で正直な光秀は、朝倉義景にハッタリをかましてちゃっかり家や金をモノにしようとする気はないらしい。

ま、そこが光秀のいいところでもあるけれど。

でも、今はもっとハングリーさが必要なのじゃないの? 

だって、明智家の人々は今、牢人となった皆光秀を頼って生きるしかない。

越前へ無事に逃げてこられたのは良かったが、食べる物にも事欠くような状況の中、母親の牧との会話で、武士として生きてきた自分の無力さ、口惜しさを語っていた光秀。

なんとか頑張ってもらいたい。

なんだかんだいって、我々は光秀を応援しているのだ。

視聴者の目は光秀のこれからの動向へと向けられている。

いよいよ主人公・光秀の存在感が光り始める大事な時だ。

そう思って観ているんだけれど・・・。

 

おそるべしラブラブカップル・帰蝶と信長

せっかく光秀に注目が集まろうという中、今回もドラマの美味しいところは最後に全部信長がかっさらってしまった。

さらに帰蝶の策士ぶりも健在だ。

信長が帰蝶の膝枕で甘えるほどの仲良しぶりながら、この2人、邪魔者を排除しながら戦国の世をガンガン進んで行く末恐ろしいカップルである。

遠隔操作の女王・帰蝶

帰蝶の活躍は、越前編でも冴えている。

明智光秀たちを無事に美濃から脱出させるべく、伊呂波太夫を越前への道案内として送ったのは帰蝶である。

光秀が朝倉義景に出会う運命に導いたのは帰蝶だったのだ。

さらに、彼女は険悪な信長と弟・信勝との間の愚かな戦に兵を失うことを無駄だと考え、信長にアイデアを提供。

「信勝様にお会いなさいませ」

「お顔を見てどうすればお決めになればよいのです」

こうやって、信長に戦さよりも効率のよいやり方で邪魔者を消せと暗示するのだ。

信長を助けるためにしていることだろうが、これは内助の功なんてレベルじゃない。

策士だ、帰蝶。

絶対楽しんでるやろ!

結局は信長がドラマの見せ場をかっさらう

帰蝶に暗に示されたこととはいえ、夫の信長の実弟・信勝に対するフィニッシュは見事だ。

最も効率よく邪魔者を排除することに成功した。

信勝を仮病で呼び出し、彼が信長を騙して飲ませようとした毒水を逆に彼自身に飲ませて殺したのである。

殺意を秘めて対面した2人。

お互いの積年の怨みや嫉妬についておそらく初めて涙を流しながら告白し合った。

しかし、信長は信勝が持ってきた水が毒水と知っており、許しを請う彼を家人に囲ませ、恫喝して飲ませてしまったのである。

信長の涙、信勝の涙、信長の言葉に信勝がごくりとつばを飲み込むのど元の緊張感に充ち満ちたシーンであった。

互いの本心を打ち明け、懺悔し合ったように見えたのに、信勝を許せなかった信長。

わかり合うには遅すぎたか。

やっぱり第十八回一番のシーンは信長のこの場面だ。

道三がいなくなっても、バージョンアップした信長が見事カバーしてますね!

 

麒麟がくる第十八回「越前へ」

今回は光秀と明智家にとっての新天地・越前での出発、そして信長と帰蝶の最強コンビの活躍を堪能した。

今回の感想の簡単なまとめ

① 駒の命の恩人は間違いなく光秀の父・明智光綱であることが確定

② 明智光秀が越前で出会った朝倉義景ががよくわからない人物だった

③ 織田信長は尾張を統一するのに邪魔だった実弟・織田信雄を謀殺した

朝倉義景の登場はもちろん、近衛家の出だという伊呂波太夫の素性も分かり、さらに柴田秀勝も現われた。

人間関係もますます複雑になってきているけれど、そういうところも大河ドラマの楽しいところである。

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku