麒麟がくる第九回「信長の失敗」の感想|新しい信長像。いいんじゃない?

 

『麒麟がくる』第九回「信長の失敗」では、新しい人物たちも話しに加わり、ドラマ内の人間関係も一層複雑になってきた。

毎回思うけど、いろんなことが同時進行しているから、本稿も主人公の明智光秀(十兵衛)だけを追うわけにはいかない。

今回は気になる3人の人物にフォーカスして見たまま感じたままをお伝えしたい。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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新しい信長像があった

ひと言で言うなら、『麒麟がくる』バージョンの信長像は新しいのである。

だが、筆者には「こういう織田信長もアリかも」と思えた。

そして見え隠れする彼のクレイジーさを歓迎する。

庶民的で親しみやすい信長

まずはどうだろう、この信長の超カジュアルさ。

身なりもそうだし、行動も随分とフランクで、なかなかこんな城主はいないだろう。

帰蝶はあっけに取られていた。

これって今までにないキャラクターの信長だ。

この男、いつしかホントに「魔王」と呼ばれることになるのか・・・? 

婚儀をすっぽかした信長は帰蝶に素直に謝るし、その理由は村人たちの生活を思っての行動だったらしい。

お詫びに信長が帰蝶にたべさせてやったタコの干物は、帰蝶にとって初めての海の味。

見た目は粗末だが、噛みしめると美味しいタコの干物のように、信長の魅力を帰蝶は感じ取ったのだろうか。

帰蝶とはお似合い

人質のようにして輿入れしてきた帰蝶にすれば、信長の性格次第でこの婚姻は天国にも地獄にもなる。

第九回を迎えるまでは、信長がどういった人物なのかがいまひとつわからず、この点が気になった。

が、今回のエピソードを視聴した感想では、信長と帰蝶ってお似合いじゃない? 

それぞれの父親観でも話しが合うし、鉄砲の試し撃ちで仲睦まじいところも見せた2人。

気の強い帰蝶には、真面目な光秀よりも信長のような変わり者のほうが、手応えもあって丁度良いのかも。

少なくとも今、彼女は信長という男をおもしろがっている。

この回で帰蝶と信長はひとまず大丈夫、というサインが出た気がする。

それでも帰蝶はまだ光秀について語るとき、随分嬉しそうにしていたな。

それをつまらなそうな顔で聞いていた信長。

あれは嫉妬だったんですかね。

愛情に飢えた信長の心の不均衡

だけど、信長にはその性格形成に深く関わる家庭の問題があった。

彼は愛情に飢えてる。

父親のためによかれと思って取った松平広忠の首。

喜んでもらおう、褒めてもらおうと、ただそれだけのための行為は裏目に出てしまった。

また、檀れい演じる母親の土田御前どたごぜんは、信長よりも弟の信勝のほうをベタ可愛がりしている様子。

信長は嫡男として両親から認められようともがいている。

愛されたいと思う信長を帰蝶は慰めてやれるといいけれど。

だって、信長にはもう既に心の中の何かが壊れている片鱗がある。

三河の松平家から人質として送られた竹千代は、孤独であり、聡明でどこか冷めた少年だ。

そんな竹千代が唯一懐いているのが信長。

しかし、信長は自分の父親・信秀に認められようとするあまり、そんな可愛い竹千代の父親の首をあっさりと取ってしまう。

そんな残酷なことが実行できる信長に「信長=サイコパス」的な部分を見て、実は喜ぶ筆者である。

 

有無を言わさぬ煕子の王道感

明智光秀っていうのは、登場する若い女性にことごとく好かれる男である。

現実世界のモテ男は、それなりにモテに自覚があって自信もある。

ところがこれが少女マンガの世界になると、本人に全く自覚のないイケメンが気づかないうちに勝手にモテちゃう展開は珍しくない。

で、この『麒麟がくる』における青年時代の明智光秀がまさにそれ。

鈍い。鈍いぞ。

我々は、木村文乃演じる煕子ひろこが、将来光秀の正室になることを知っている。

さすが彼女の登場の仕方は完璧だった。

美しい花片はなびらをきっかけに再会する幼なじみの光秀と煕子。

遠い昔の幼い結婚の約束。

これを少女マンガと言わずして、何と言うか。

煕子の透明感、そして駒にも帰蝶にもなかった光秀との上下のない対等な感じはパーフェクト。

そういや、光秀と駒との出会いでは、駒はぷんぷん怒っていた。

帰蝶は最初から上から目線。

なのに、煕子とはかくれんぼの思い出と花片と笑顔である。

くーっ。

煕子の完全勝利だ。

しっかし、それでも光秀はまだピンと来てないのか。

おいおい、ほんとに? 

マイペースな男である。

 

菊丸よ、あんたやっぱり・・・

菊丸についての疑惑はすでに以前書いたけれども、やはり三河の忍びか。

「我らは竹千代様の影となり、命に代えてもお守りいたします」。

この岡村もとい菊丸のセリフを聞いた多くの視聴者も同意見のはず。

ふふふ。

第五回のレビューでは、菊丸が服部半蔵の可能性を予想したけれど、やはりそれっぽい気がする。

実は、服部半蔵の名前は世襲である。

あの有名な徳川家康に仕えた服部半蔵正成はっとりはんぞうまさしげとは、2代目服部半蔵だ。

そして、家康の祖父にあたる松平清康に仕えたのが初代・服部半蔵保長はっとりはんぞうやすなが

年代的に考えると、菊丸は初代・服部半蔵の保長の可能性が高い。

もしも、本当にそういう設定だとしたら、菊丸は架空のキャラクターから突如、歴史上の実在有名忍者となる! 

ああ、今の我々は、いずれ光秀が信長を討つという大事実を知ってるのに、菊丸が何者かを知らない。

誰か早く、教えてちょ。

 

服部半蔵の年表を含む【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「服部半蔵とはどんな人物?簡単に説明【完全版まとめ】」

 

麒麟がくる第九回信長の失敗

① 愛情に飢え人間味ある織田信長像はアリだと思う

② 将来の妻・煕子との再会にもぼんやり光秀は通常モード

③ 菊丸の忍び説にますます信憑性が

第九回は、信長の人物像が少しずつわかってきたところに安堵した。

実は、今エピソードには、小さなところで楽しめるポイントがいくつもあった。

武家の女性たちが片膝を立てて坐る様子、竹千代が織田信勝と指していた朝倉将棋など、時代考証の細かい配慮がドラマに深みを持たせている。

また、端役ではあるが「カメ止め」こと大ヒット映画「カメラを止めるな!」の

俳優・濱津隆之はまつたかゆき(茶の振り売り)、細井学ほそいまなぶ(針治療の患者)たちが出演してたのも、筆者としては素直に嬉しかったりして。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku