麒麟がくる第二十一回「決戦!桶狭間」の感想|祝! 信長軍のぶっとい勝利

 

とうとうこの日がやって来た。

「ついに桶狭間の戦いだぜー!」

「とうとうこの回で『麒麟がくる』の放映もしばらくお休みかぁ・・・」

『麒麟がくる』第二十一回を視聴した後の興奮と寂しさが交錯する中、見たまま感じたままをお伝えしよう。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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信長さん、桶狭間はあなたの計算勝ち!

今回は、織田信長の計略が功を奏した桶狭間おけはざまの戦い」

明智光秀の助言も、帰蝶の入れ知恵もない、彼の頭脳による勝利を歓迎するよ、うん。

さすがの帰蝶も・・・

とにかく、信長の決断や計略が全てを決めたことが嬉しかった。

さすがに戦ともなると帰蝶の出番はなく、「籠城」「出陣」の決定も全て信長ペースで進んだのだ。

桶狭間へ行く直前に彼が側室・吉乃よしのが生んだ信長の嫡男・奇妙丸きみょうまる(のちの織田信忠のぶただ。しっかしヒドイ幼名だ)を帰蝶に引き合わせたのも納得のいくタイミング。

突然の隠し子出現に言葉もない帰蝶だが、それでも信長が彼女に見せる圧倒的な信頼に、彼女も黙って受け入れるしかない。

いざとなると、信長はうまい。

毎度桶狭間の戦いといえば、お決まりの信長による「人間五十年・・・」の幸若舞もキターッ! 

そんなに芝居がからず、自然な感じだから滑稽にならなかった。

さらに、目立ったのがテレビ画面に現われた数式だ。

今回信長が今川軍の兵力を計算するシーンは、戦を論理的にプランする彼のシャープさを効果的に視聴者に伝えたことだろう。

ワイヤーアクションがトドメを刺した今川義元の最期

桶狭間の戦いでは、放映前から話題の今井翼演じる毛利新介の短くぶっとい活躍シーンが目を引いた。

今までの大河ドラマにない、空高く飛び上がるワイヤーアクションは、躍動感そのもの。

まるでマンガから飛び出した1コマみたいだった。

見開いた義元の目に映り込む新介が、みるみる大きく映し出されることで、「海道一の弓取り」と呼ばれた武将・今川義元の恐怖と最期を描いた演出にも惹かれた。

これが『麒麟がくる』でときどき見せつけられる、とても絵画的な表現方法だ。

さらに筆者としては、今川義元が死ぬ直前まで奮戦し、数人を切り倒す様子が描かれたところにぐっときた。

 

松平元康の正しい判断

前回、母親からの手紙、そして菊丸の説得で、今川軍を裏切ることを求められた元康。

号泣アリの感動シーンだったのに、続きの今回は、元康もうって変わって冷静な判断を下した。

あ、やっぱりね。

結局今川の先陣として大活躍し、大高城への「兵糧入れ」にも成功。

だが、疲労困憊ひろうこんぱいの元康軍をさらに便利に使おうとした今川軍に元康の怒りは炸裂した。

桶狭間への派兵に反対する元康家臣たちによるコブシで床を打つ無言の抗議。

大高城の鵜殿長照うどのながてるがタジタジするのは見ていて痛快だった。

結局今川義元が討取られ、元康は自由の身となって三河の岡崎へと戻る。

彼は16年ぶりの母親との再会も果たしたそうだが、このハナシは、駒ちゃんの口からではなく、きちんとドラマに描いて欲しかった。

今後、信長と共闘する元康(のちの徳川家康)の成長に期待したい。

だって、桶狭間の時点で元康はまだ18歳だったんだよ。

 

何もしない光秀よ

第二十一話は桶狭間の合戦エピソードの回だけあって、充実した内容だ。

しかし、ただ一点の問題はこのドラマの主人公、明智光秀の行動である。

ヒドい。

今回の光秀は何にもしていない。

今回光秀がやったこと

光秀は、

・米もろくに買えない貧しい家族や読み書きを学ぶ子供たちを放っておいて、帰蝶の所や桶狭間など馬で右往左往した。しかも帰蝶には「遅い」と言われた

・桶狭間の戦いには関わらず、戦い終わった信長を褒めた

・道端に用意されていた桶の水を求められるまま信長に飲ませてやった

・勝ち戦の後、城に戻る道中の信長に対して「次は何をなされます」などと質問攻めにした

・左馬之助所在不明のまま、一人で笑いながら馬で駆け去っていった

ツッコミどころがありすぎる。

いろいろある中、かなりウザく感じたのは、光秀の信長への質問攻めだ。

まるで、今オリンピックで金メダル取ったばっかの選手に、次の大会への抱負を無理矢理言わせ、さらに

「次のオリンピックも金でしょ?」

とたたみかけるおバカレポーターみたいじゃん。

結局青年・光秀は何をした?

今回の光秀登場は、道三を回想するための媒介としての役割がほとんどだった気がしている。

道三の言葉「大きな国」を繰り返し視聴者に見せるためだけの存在。

こんなん霊が降りてきたイタコみたいなもんである。

言っておくが、明智光秀を演じる長谷川博己には全く不満はない。

彼の演技のおかげもあって、これまでの暗い、ヒール的な明智光秀のイメージから、生真面目でまっすぐな好青年というのはすでに視聴者の我々にインプットされている。

しかし、本来、このドラマは光秀の空白の青年期が脚本家による新たな解釈とフィクションで明らかになるとされていたはず。

でも、特に越前に行ってからの光秀は何もせず、空白のまんま。

中途半端に信長に関わったりせず、鉄砲の腕を磨くとか、近年史料が見つかって話題になったように、医学の知識を積むとかさ。

後年あれだけ活躍する武将として何か自分磨きをする時間を描いてもよかったのでは・・・? 

 

今後への期待

いろいろ言ったけれど、やっぱ明智光秀のことはずっと応援したい。

ほんと、頑張れ。

彼が世に躍り出るのはこれからだ。

史実にあるようにやり手光秀としてガンガン活躍してほしい。

それから駒ちゃん、芳仁からもらったその万能薬、使いすぎて歴史ドラマをあまりウソっぽくしないでちょ。

 

麒麟がくる第二十一回「決戦!桶狭間」

第二十一回の「決戦!桶狭間」は、主人公の明智光秀とは関係のないところで鮮やかな信長勝利で幕を閉じた。

大きな期待を残しつつコロナによる大河ドラマ放映は休止へと突入する。

我々はこれまでのストーリーを思い返しながら、辛抱強く明智光秀のテレビ再登場を待つことにしよう。

そしたら、休み明けの『麒麟がくる』はもっと美味しくなってるはずだから。

今回の感想の簡単なまとめ

① 桶狭間のクライマックス毛利新介の躍動感と今川義元の最期の瞳に描かれた恐怖に圧倒。新しい大河ドラマの演出を見た

② 今川から自由になった松平元康の今後の活躍に期待

③ はっきりしない光秀の青年期。だが、ドラマの放映休止が明けてからの史実に基づく光秀の活躍を待とう!

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku