江戸時代の大ロングセラー井原西鶴の『日本永代蔵』が説く「お金持ちのなり方」

 

『日本永代蔵(にほんえいだいぐら)』

永代(末永い)蔵を建てる。

すなわち、
長きにわたって「お金持ち」でいられるようになるにはどうすればいいか?

を説いた”自己啓発本”です。

さすがは商都大坂でもまれ、成り上がった井原西鶴らしい著作ですね。

『好色一代男』

『世間胸算用(せけんむなさんよう)』

など

数多い名作やベストセラーを生み出した井原西鶴ですが、

中でもこの

『日本永代蔵』

は一番のベストセラー・ロングセラー(天保時代にもなお売れていたようです)として知られております。

さあ、シビアにせまったその中身を見てまいりましょう。

 

天道は何もいわずに、国土に深い恵みを与えている。

井原西鶴
出典:Wikipedia

ここから書かれていることは賛否両論いろいろお感じになるでしょうが、

とにかく、
私はこの作品の文章の現代語訳から要約したものを、
文意をいじらずそのまま紹介いたします。

「天道は何もいわずに、国土に深い恵みを与えている。

ところが人間は誠実でありながらも、偽(いつわ)りがちである。

というのも人の心は本来空虚なもので、外物に反応して善とも悪とも形を現すが、外物が去ればまたもとの空虚に帰してしまうものだからである。

そうした善と悪との間をゆれ動く人の世に在って、政治が正しい今の時代を豊かに生きている人は、まことに人の中の人であって、凡人(ぼんじん)ではない。」

 

金銀にまさる宝のあろうはずはない

「まことに人の命は、あっという間に煙となってしまう。

死んでしまえば金銀は何の役に立とう。

瓦石にもおとるものだ。

あの世で役には立たない。

とはいうものの、残しておけば子孫のためになるものである。

ひそかに思うに、世にあるほどの願いは、なんにもよらず金銀の力でかなわぬことが天下にあろうか。

ままならぬのはたった一つ、地水火風空の生命だけであって、それよりほかにはない。

とすれば、金銀にまさる宝のあろうはずはない。」

 

『日本永代蔵』流お金持ちのなり方

さあ、ここからはハウツーです。
まず注意から。

利息には気を付けろ!

ある船問屋が

「仕合丸(しあわせまる)」

と書いて、

その船出の時に

「借りると縁起がいいよ!」

と気前よくお金を貸していました。

すると、

近方遠方へと噂が噂を呼んで、

人々は信じ、

どこからとなくやって来てはドンドン借り、

元手の貸し金1貫文がやがて1年で2倍になり、

さらに
年年倍々で13年目には8192貫にまでなりました。

ムダづかいはするな!

景気のいい男がちょっと出がけのついでに

「老後の話のネタにでもなれば」

と、

茶屋に遊びに入りました。

しかし、
すっかりはまってしまい、

女遊びはやりたい放題、

周りには太鼓持ちを侍らし、

遊行の三昧をつくしていると、

4、5年のうちに2千貫目の財産は塵(ちり)も灰もなくなってしまいました。

それを聞き、ある身持ちの堅い金持ちが息子にこう語って聞かせました。

「今時はもうこんな不景気な世だってのに、よくもまあ!」

記者弁)現代でも
本当のお金持ちは倹約家だ

とは筆者もよく聞きます。

出すところとおさえるところを心得ていらっしゃるのかもしれません。

もうけ話はどこにでもいっぱい転がっている!

ある貧しい老女がいました。

ある時に港に行ってみると、

そこにはあんまりいっぱいで置きどころなくこぼれてしまった米があります。

老女はそれを見て塵掃除をしている風を装い、

こっそりとひろい集めました。

朝、夕食べてもなおあまりが出るので、

貯めては売りはらい、

してるうちに威勢がよくなり、

さらに金貸しも始めて、

もうそれは大変なお大尽様にまでなりました。

ほしいものは買うな!惜しいものを売れ!

この心がけで稼いで、

奢(おご)りをやめたら、

いい結果を見るのは決定です。

だから
商いの心がけは売り物や元手を強くして、

気を大きく持つのがよいです。

秘伝の妙薬”長者丸”

長者(お金持ち)になりたいなら秘伝の妙薬を紹介いたしましょう。

早起き5両、家業20両、よなべ8両、倹約10両、健康7両、この50両の薬を細かく砕いて飲みなさい。

これだけじゃありませんよ。

毒を断ちませんと。

ぜいたくと借金はダメですよ!

 

きょうのまとめ

いかがだったでしょうか。

井原西鶴もおそらく同じ町人として実際に方々で見聞きしたことを記したものでしょう。

時代はちがいますが、

何かせまってくるものがありませんか?

『日本永代蔵』流お金持ちのなり方

① 利息には気を付けろ!

② ムダづかいはするな!

③ もうけ話はどこにでも転がっている!

④ ほしいものは買うな!惜しいものを売れ!

⑤ 秘伝の妙薬”長者丸”と毒断ち

どれも一見何気ないことなのですが、

実際やるとなると大変そうです。

ほかにも、
「芸事にのめりこみすぎると身持ちが悪くなる」

だとか、
「娘にはうわついたことに慣れさせずに、家をそつなく切り盛りできるように厳しくしつけなさい」

など、

興味深かったり、
意外だな、
と思える意見がいろいろと載っております。

ご興味を持たれた方はぜひ、その本物、もしくは現代語訳した書物をご覧ください。

 
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