麒麟がくる第二十二回「京よりの使者」の感想|ひさしぶりの光秀はやはり貧乏

 

いやぁー、お久しぶりです。

前代未聞のコロナウィルスによる大河ドラマ放映中断のため、6月7日から長く中断されていた『麒麟がくる』の放映が8月30日、ついにお茶の間に戻ってきた。

総集編を見てこれまでのストーリーをおさらいしながらこの日を待っていた視聴者の皆さんも少なくなかったことと思う。

約3ヶ月ぶりに放送再開した『麒麟がくる』第二十二回

気持ちも新たに見たまま感じたままをお伝えしよう!

 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 

やっぱり主人公・明智光秀が気になる

前回、桶狭間の戦いで織田信長が今川義元を討って大勝利っ、てところで話は終了していた。

第二十二回では、ドラマの中の世界は桶狭間の戦いから4年が経過し、我らが主人公・明智光秀(十兵衛)と一家のみんなは不思議なくらい相変わらず越前での貧乏暮らしを続けていた・・・。

光秀と朝倉義景との関係

第二十二話の副題通り、「京よりの使者」である細川藤孝ほそかわふじたかは、越前の領主・朝倉義景あさくらよしかげに了解を得て、将軍・足利義輝あしかがよしてるに会うために光秀に上洛するよう誘いにやってきた。

対する光秀は無精髭を生やして、歴史書『吾妻鏡あづまかがみ』などを読む毎日。

好青年の明智秀満(左馬助)も、同じく牢人の身だし、妻の煕子ひろこは質屋通いを続けながら家計をやりくりしている状況である。

光秀一家の困窮ぶりから察するに、彼はやはり今も朝倉義景に仕官しているのではなさそうだ。

じゃあ、光秀と義景、この2人の関係性はどうなっているのか。

少々不気味で気になるのは、光秀の上洛を許す義景の

「そなたの家のことは案ぜずともよい・・・。留守の間、このわしがしかと面倒見るゆえ」

と言ったときのあの目つき。

光秀も何か感じた様子で眉をひそめたが、何か怖いな。

あとで何か起きるんじゃないだろうねぇ。

光秀の家族

光秀と煕子の間に生まれていたきしは、かわいらしい女の子に成長し、さらにもう一人、女の赤ちゃん・たまが誕生していた。

彼女こそ、のちに細川藤孝の息子である忠興ただおきの正妻となる細川ガラシャだ。

人見知りするはずの赤子のたまが、光秀の家に訪れた藤孝に抱かれても泣きもしなかったのは、その伏線というわけか。

 

消える将軍、登場する将軍

多くの視聴者たちは、もうじき将軍・足利義輝が死んでしまうことを知っている。

今回のエピソードには、義輝につきまとう死の予感と、義輝の死後に将軍となる足利義昭への期待の伏線が見えてきていた。

見る影もなくやさぐれた将軍・足利義輝

淡々と貧乏暮らししていた光秀、相変わらず飄々ひょうひょうと暮している様子の朝倉義景などと比べ、以前からすっかり様子が変わっちゃったのが、将軍・足利義輝だ。

京の支配者・三好長慶みよしながよしの操り人形となり、実行力のない形ばかりの将軍職に就いている自分の無力さを嘆き、失望し、かなり自暴自棄な様子。

剣に腕が立ち、日本の武将のトップとして恥ずかしくない剣豪将軍だというのに、「麒麟」が現れる泰平の世を作りたいというその理想の実現は難しそうで気の毒だ。

確かに、いかに力の無い将軍だとはいえ、

・越前にいる一介の牢人の明智光秀に相談する

・将軍復権のために織田信長を上洛させる使者の役目をいきなり光秀に命ずる

など、ちょっと都合が良すぎるとは思う。

しかしドラマの筋書き上、まだこれから派手な展開が起きることを考えれば、このストーリーのご都合主義とスピード感がないと、本能寺の変まで行き着けないからね!

義輝、可哀想だし。

善人そのもの 将来の将軍・足利義昭

今回、足利義昭が初登場した。

滝藤賢一たきとうけんいち演じる僧侶の覚慶かくけいが、のちに織田信長に奉じられて京へ上り、将軍・義昭となる。

ドラマの中でのやわらかな物腰と、庶民から慕われているという人物設定にはちょっと意外にも感じた。

実際の彼は、なかなか打たれ強い人物だ。

将軍となったのちに信長に京から追放されても、朝倉、浅井、武田、上杉などと組んで信長包囲網を構築して彼を苦しめた。

そう簡単には将軍の地位を手放そうとしなかった、最後の足利将軍だ。

僧侶としてささやかながら人のために尽くそうとした彼が、どんな風に信長を苦しめるしたたかな将軍へと変わっていくのか楽しみだ。

 

松永久秀というキャラ作り

さて、ドラマのストーリーとはちょっと外れているが、この男については言わずにはいられない。

吉田鋼太郎よしだこうたろう演じる松永久秀についてである。

現在ドラマの中では三好長慶の重臣として京で力を持つ松永久秀である。

彼は、ドラマの初回に登場してから、ずっと目を引くキャラクターだった。

したたかで人間味あふれる武将、そんな男がまたやらかした。

伊呂波太夫に言い寄りフラれるところ。

あのキャラにデジャヴを覚えた人いませんか?

まさに『おっさんずラブ』での吉田鋼太郎の演技を彷彿とさせ(NHKとは全く関係なくて申し訳ない)、不覚にも可愛らしささえ感じさせるあのおかしみ。

『麒麟がくる』オープニングの勇壮なテーマ音楽はかなり好評だが、今回の久秀と伊呂波太夫の当該シーンでは、BGMですらコミカルなのだ。

こりゃNHKの演出も吉田鋼太郎の十八番おはこ演技を絶対意識してるね。

彼にこんな演技をされると、眞島秀和ましまひでかず演じる細川藤孝まで(ご存知ない方のために。眞島秀和も『おっさんずラブ』に出演していた)もなんとなく色眼鏡で見てしまいそうで!

 

麒麟がくる第二十二回 京よりの使者

久しぶりの『麒麟がくる』第二十二回「京よりの使者」は、長いブランクの後だけに期待は大きかったが、やっぱり大河は良くないですか?

日曜イブニング、45分のタイムスリップ。

今回は、ほぼ全編で活躍する明智光秀の存在感に安心し、新たな登場人物などと共に次にやってくる波乱を予兆させられる回となった。

実は、関白・近衛前久このえさきひさなどについてもいろいろ突っ込みどころがあったけれど、その楽しみは次回以降に取っておこう。

今回の感想の簡単なまとめ

① 明智光秀とその一家の貧乏暮らしと、仕官もしていない朝倉義景との関係がなんとも不思議

② やさぐれてしまった剣豪将軍・足利義輝と将来の将軍・足利義昭となる僧侶・覚慶の登場の対比と今後の行方が気になる

③ 吉田鋼太郎だから作れる松永久秀というキャラクターに魅せられる

もうすでに越後編の後の「京~伏魔殿編」に新たに出演する俳優たちが発表されている。

どうかコロナに負けず、ドラマ作りが続いて欲しい・・・。
 

目次に戻る ▶▶

 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 










合わせて読みたい記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

13 − four =

ABOUTこの記事をかいた人

歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku