麒麟がくる第三十六回「訣(けつ)別」|将軍と信長、光秀と将軍の訣別

 

ついに将軍・足利義昭は織田信長と全面対決することとなった。

そして、かつて信長への仕官を断り、迷わず将軍義昭に仕えた明智光秀(十兵衛)は、将軍義昭の元を去った。

光秀にとって大きな変化となった『麒麟がくる』シリーズ第36回

今週もドラマの感想を見たまま、感じたままをお伝えする。

 
 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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もっとこんなドラマが見たいんですが

コロナのせいでドラマ撮影に影響が出るのは理解できるが、日本史上有名な合戦も地図とナレーションの説明ばかりでこなされると寂しい限りである。

視聴者は話の流れを理解したい

家康が三方ヶ原の戦いで武田信玄に負けた。

戦闘シーンはもとより、勝った方負けた方も一切登場せず終わってしまった。

せっかくドラマに登場した武田信玄も、もうじき死んでしまうし、いいとこナシである。

またストーリーが、ある事柄や感動シーンだけのパッチワークで構成されているのも気になる。

それぞれの間をつなぐ説明が不十分なせいで、視聴者は状況を理解しきれないのではないだろうか。

例えば、松永久秀がなぜ将軍の敵になっちゃったのか、ドラマを観ていてわかります? 

なんか説明が足りない気がするのだ。

光秀の仲間たちを知りたい

筆者は、光秀と帝・将軍・信長などの身分の高い人物との交流だけでなく、光秀と彼の同僚武将や家臣たちとの関係をもっと観てみたい。

そういう意味で、今回佐々木信盛のぶもり(演:金子ノブアキ)や柴田勝家(演:安藤政信)らとの会話があったのは嬉しかった。

彼らのような光秀同様に信長に仕える武将たちや、明智左馬助さまのすけや藤田伝吾などいい味出してる家臣たちとの交流をもっと描いて欲しいと思うのだが・・・。

 

光秀に共感するために

エライ人たちからことごとく頼りにされている光秀。

主人公だからカッコイイのも結構。

でもさ、みんななんで光秀に頼るの? 

根拠は?

・武功を挙げた光秀は信長に好かれて当然だが、それ以前からなぜか信長が光秀を気に入っていた謎

・将軍が嫌いな信長のお気に入りの光秀を好む謎

・帝が直接関連のない武将・光秀に興味を持つ謎

これらは、分かるようで分からない。

大体、光秀も光秀だ。

エライ人に好かれたら彼もみんなを好きになってる。

あれか? 

「好き好きって積極的にされるとボクも好きになっちゃう」タイプなのか? 

将軍、天皇、信長について今彼が本当にどう思っているかをもう少し説明して欲しい。

「みんな同じに好き」じゃダメだ。

でないと光秀の取る行動に共感できない。

ただ、今回光秀の妻・煕子との仲睦まじいシーンを見れたのはよかった。

こういう夫婦の絆を感じさせるようなシーンの積み重ねがあればあるほど、のちの悲劇に共感するのだから。

 

御簾とお歯黒の帝

「かの者が来たか」と喜ぶ帝は、なぜか光秀のことが好きなのだ。

官位が足りないために昇殿できなかった光秀だが、姿は見えないながらもなんと天皇と会話した。

あんなのアリナンデスカ? 

それにしても、坂東玉三郎って御簾みすの中の天皇姿」がとってもお似合い。

彼のお歯黒はぐろでさえ見えてもギョッとすることはない。

なんて自然なお歯黒なんだ。

玉三郎を天皇に仕立てた配役の妙である。

 

今日も泣く将軍

いつもながら滝藤賢一の演じる将軍義昭は上手いと思う。

彼は計算して「必死で公方様であろうとする一人の男」を創り出している。

情緒不安定な将軍

元々聖人っぽいイメージだった義昭も、近ごろめっきりガラが悪くなり、急に剣術の稽古を始めてハイテンション。

痛々しくて見ているこっちが居心地悪い。

かと思えば、ことあるごとに涙目になってしまう将軍。

アップダウンが激しいな。

もう摂津晴門もいないのに、彼の信長に対する敵意が止まらない。

泣かずに危機管理を

今回、信長との対決を前にして、将軍は光秀に信長を捨てて自分の味方となるよう命じた。

光秀は以前からこんな状況になる可能性を知らなかったはずはない。

視聴者的には、「ほれ光秀、これをきっかけにさっさと信長に就け!」であるが、光秀的にはそうではなかったらしい。

将軍と2人で号泣したのである。

いや、苦しいのはわかるけどぉ。

大の男2人(しかも将軍と戦国大名)だよ? 

特に将軍義昭は最近泣きすぎです。

結局、光秀は信長から離れるのを断り、泣きながら二条城の廊下を走り去った。

将軍は光秀を鳥に例え「また飛んで戻ってくるやもしれん」なんて悠長なこと言ってたけど、自分に味方しないと表明した武将を放置するのは、危機管理上問題ではないのか。

とはいえ、光秀がついに信長家臣一本となったのはスッキリした。

それにしても、このシーンでの音楽はよかった。

「感動を底上げする感じ」といったら言い方悪いか。

白状すれば、今でこそ冷静にこんなこと書いてる筆者も、観た時は感動したのである。

 

麒麟がくる第三十六回「訣(けつ)別」

前エピソードでは、将軍義昭の苛立ちや信長への不信の苦しみが描かれていた。

そしてついにその将軍が決断し、朝倉氏や武田氏など信長包囲網を利用して織田信長への戦いを挑むことになったこの第三十六回。

「訣別」とは、将軍と信長そして光秀と将軍の訣別だったのだ。

今回の感想の簡単なまとめ

① 重要な合戦シーンや明智光秀の他の武将との交流などドラマの流れに共感できるような描き方をして欲しい

② 光秀と煕子の仲睦まじいシーンに好感

③ ついに信長の家臣一本となった光秀のポジションにスッキリ

④ 将軍と信長そして光秀と将軍の訣別に感動しながらも、2人の号泣に違和感も

今後は、幕臣ではなく織田信長の家臣となった明智光秀の主君・信長との関係に注目していきたい。

 
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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku