麒麟がくる第二十九回「摂津晴門の計略」の感想|将軍よりエライのは天皇!

 

NHK大河ドラマ『麒麟がくる』の公式発表があった。

ドラマの放送回数は当初の予定通り全44回、最終回の放送予定日は、2021年2月7日となるそうだ。

44回きっちり放映されることを多くの大河ファンと共に喜びながら、今週も『麒麟がくる』第二十九回の感想を見たまま感じたままお伝えしよう。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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まずは光秀+周辺ウォッチから始めよう

幕臣になった我らが主人公・明智光秀だが、その後も服装が変わったくらいで大きな変化はないようだ。

同僚となった細川藤孝ともすっかり対等に会話している。

当たり前だが、ドラマ初回から光秀を演じている役者の長谷川博己は、急に老け込むわけもなく、光秀のイメージは今のところ大きく変化していない。

一方、信長は回を増すごとに凄みを増してきている。

貫禄がつき、ヒゲも似合ってきた。

何より、彼のすることが段々エゲツなくなってきた。

二条城の普請では、前回のエピソードにあったように石仏を石垣に利用した事に加え、京の寺院から調度品や庭石などを献上させて城につぎ込む信長。

金と力を持つ大名の力技と驕りが見え始めた様子だ。

しかし、光秀はその点を特に問題にはしていない様子。

また木下藤吉郎(秀吉)の躍進が目に付く。

身分的にも待遇は良くなっているようだが、その頭の回転ぶり、行動力が随分と伸びてきたのではないか? 

迷いなく主人に付いていく家臣は強い。

なかなか油断ならない人物に育ってきている藤吉郎は、今では立派に光秀の視界に入るほど成長したのである。

ところで、ドラマでの光秀の年齢は現在40過ぎのハズである。

初回登場は20歳前くらいだったので、20年の経過だ。

そんなことを考えると、駒ちゃんや伊呂波太夫は一体今何歳なのだろう?

 

晴門の計略ってただの古典的な癒着?

第二十九話のタイトルを見て、一体どんなすごい計略があるのかと身構えていた筆者。

摂津晴門はイヤなヤツで、憎々しいが、タイトルから心配されるほどの計略があったわけではなかった

確かに晴門は追放された元関白・近衛前久このえさきひさの近衛家の領地を狙い、役職を利用して天皇家の領地にまで手を付けている。

寺社と癒着し、幕府内で私欲を貪ってもいた。

だが、今は光秀もそれに気づいており、野放しにはさせないだろう。

彼が光秀に対して行った罠や嫌みな行動、金の着服などは、タイトルで言うほどの大きな「計略」でもなかったかな、というのが正直な感想である。

ただ、片岡鶴太郎が演じる晴門は、イヤなヤツの記号はしっかり身に付けている。

喋り方といい、目や顔の表情を強調するカメラワークといい、歌舞伎芝居を見ているみたいだ。

全ての彼の悪行は、この鶴太郎の演技で陰湿で大袈裟にデフォルメされた。

これって結構エンターテイメントとして楽しめそうだ。

行け行け-晴門。

ちょっとばかし彼を応援してみることにする。

 

謎の無駄シーン

さて、皆さんはどれほどお気づきだろうか。

今回ドラマの進行上で不思議な展開と演出があったことを。

筆者はとても気になった。

なくてもストーリーに全く影響のなさそうな謎シーンを3つほど挙げてみよう。

明智光秀の鼓打ちシーン

近衛前久に「打って見よ」と言われた光秀。

昔、叔父に学んだという彼は、見事にを打って見せた。

が、それだけだった。

前久は「良い音じゃ」と言ったけど、それって一体何をさせたかったの? 

光秀も光秀だ。

意味も無く鼓を打たされたことに何ら疑問はなかったのか?

近衛前久の助言

さらに前久は「今(腐敗した)幕府を変えられるのは信長じゃ」と光秀にアドバイスするのだが、それってそれほどすごいこと?

光秀にしたら「うん、知ってる」ってレベルじゃない? 

その後前久は、光秀との謎会談をさっさと終えて席を立ってしまう。

結局、日本のトップは将軍ではなくみかど(天皇)であり、彼の窮状について説明したのは伊呂波太夫だった。

彼女が説明できるなら、なぜ手紙を出して光秀を呼びつけたのか。

中身の薄い会談だったと思わずにいられない。

駒ちゃんの団子

視聴者の中には、架空のキャラ・駒ちゃんを重要視しない方もいるかと思う。

駒ちゃんが将軍義昭に直接会って、2人でハナシをするなどあり得ないという意見もわかる。

だが、今回それにはあえて目をつぶった上で、さらなる無駄シーンについて述べてみよう。

それは、団子の場面。

本国寺の座敷で将軍義昭を待つ駒ちゃんは、出された団子を食べたらしいのだが、それを知って身を乗り出して団子の無くなった皿を見つめる将軍義昭。

そして串だけが残った皿がアップになった。

こんなシーンいる? 

団子はその後のハナシの展開に全く関係する様子もなかった-。

 

麒麟がくる第二十九回「摂津晴門の計略」

今回のエピソードでは、日本のトップが将軍ではなく、すっかり陰が薄くなった天皇であるという気づきがあった。

新築された二条城と対照的なボロボロの御所。

光秀が何を思ってその後の行動に影響するかが気になるところだ。

今回の感想の簡単なまとめ

① 明智光秀が大きく変わらない一方、織田信長や木下藤吉郎の変化が著しい

② 立場を利用して私腹を肥やし、古典的な幕府と寺社仏閣と癒着するワル・摂津晴門の表情は、歌舞伎の香りがするエンターテイメントだ

③ 意図がはっきりしない無駄なシーンが目に付いた

次回はいよいよ、信長の朝倉攻めとなり、戦国ドラマらしくなっていきそうだ。

大河ドラマ初出演の坂東玉三郎が演じる正親町おおぎまち天皇も見てみたい。

 
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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku