※ネタバレあり
大河ドラマ『麒麟がくる』
第二十七話で描かれたのは、足利義昭擁する織田家の上洛の一幕。
敵軍の動向を探るべく、光秀は単身京へと潜入することになります。
その結果導きだされた、戦火をもたらさない平和的な上洛とは…?
以下よりあらすじを辿ってみましょう!
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麒麟がくる(第二十七話)のあらすじ
麒麟がくる File 073
(第27回より)#麒麟がくる #麒麟File#足利義昭 #滝藤賢一#三淵藤英 #谷原章介#細川藤孝 #眞島秀和#明智光秀 #長谷川博己#一色藤長 #上杉柊平 pic.twitter.com/i8NjBy9SkP— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) October 12, 2020
1568年7月、越前は朝倉のもとを離れ、織田信長(演:染谷将太)の治める美濃に入った足利義昭(演:滝藤賢一)擁する将軍家奉公衆。
義昭を新たな将軍とするべく、信長を味方に付けての上洛がここからまさに行われようとしていました。
信長は第一の障害となる近江の六角承禎との戦に向け、大名・浅井長政に協力を取り付けに動く構えを見せ、光秀にはそのかたわら、京の三好勢や朝廷の動向を調べるよう指示を下します。
単身、京へ潜入した光秀は、医師助手・駒(演:門脇麦)の伝手で旅芸人・伊呂波太夫(演:尾野真千子)に接触。
朝廷の人脈への取り次ぎを頼み、さらには敵となる三好の戦力は堺の豪商である会合衆が握っているという情報を手にします。
会合衆は戦のたびに海外から仕入れた鉄砲や金銭を三好家に融通しており、それが三好の強さの源だというのです。
ここで、会合衆の筆頭にあたる今井宗久(演:陣内孝則)の名が、駒から挙げられます。
宗久は以前、駒の薬を売りたいと申し出てきたことがあり、交渉次第では三好の戦力源を断つことができるかもしれないというのです。
こうして宗久と相対することになり、織田軍の味方に付いてほしいと願い出た光秀。
今回の戦は織田軍が有利と見ていた宗久からは、以下のような条件で織田軍の味方についてもいいと提示されます。
・武装せずに上洛し、京の町に決して火を放たないこと
この条件に織田の家臣団は、
「武装せずに上洛するなど、三好の罠に違いない」
と大荒れ。
しかしどのように上洛を成すかを決めるのはあくまでも次期将軍・足利義昭で、彼はこの鎧兜を着けずに上洛をするという方針を快諾します。
これによって会合衆は手はず通り三好家への協力を断ち、戦の後ろ盾がなくなった三好軍は京から立ち去ることに。
晴れて、足利義昭の上洛が成されることになるのです。
麒麟がくる(第二十七話)の見どころ
続いて今回の見どころを辿っていきましょう!
やはり優しすぎる将軍・足利義昭
「上洛シーンの撮影で馬上の義昭様の姿を見て、『もう自分たちがお支えするのは義輝様ではないのだな』と思うと、さみしかったです。過去を振り返ってもしかたないのですが、気高い志をもちながらも殺害された義輝様のことを考えると、やはり切ないものがありました」(谷原章介)#麒麟がくる pic.twitter.com/7MGj8rgxkl
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優しすぎるその性分から、将軍の器なしと諸大名に軽視されてきた足利義昭。
今回も冒頭から、その慈悲深さゆえに信長に難色を示される場面がありました。
義昭を美濃へ迎え入れる際、信長は忠誠の証として1千貫ぶんの金品を贈ります。
信長の意図は、戦には金が必要になるというものだったのですが、金品を前にした義昭から出た言葉は
「これだけあれば、1万の貧しい民が1ヶ月は暮らしていける」
というもの。
とてもこれから戦に臨む者の心構えではないと、信長から呆れられてしまいます。
幼少から仏門に入り、武士としての教育はまったく受けていないがゆえ、仕方がないと光秀もフォローしていましたが…。
ただその義昭が今回、上洛に関する方針の決定権をもっていたことで、織田家は余計な戦をせずに済むことになるんですよね。
宗久からの「鎧兜を着けずに上洛する」という条件を受けた義昭は
「それは妙案じゃな!私が上洛して最初になすべきことは、京の者たちに怖れを抱かせぬことじゃ。都で無事平穏に暮らせる、それができると約束してみせることじゃ」
と、なんの抵抗もなく受け入れるのです。
義昭のような慈悲の心をもった将軍でなければ、これも三好の罠だと勘繰り、京での戦はこじれていたかもしれません。
木下藤吉郎の語る織田信長の器
「京で光秀と密会します。三好勢の目を欺くため、お互い変装。藤吉郎は市場の魚売りに。光秀は…え?!それ逆に目立ちません??着こなしてるだけに…お楽しみに!」(佐々木蔵之介)#麒麟がくる
今夜放送!
[総合/BS4K]夜8時 [BSP]午後6時 pic.twitter.com/ofv9mpNEcB— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) October 11, 2020
今回、敵地である京に潜入することになった光秀をフォローする役割として、木下藤吉郎(演:佐々木蔵之介)が先に潜入していました。
この藤吉郎から光秀に、信長がいかなる大名かを語る一幕が登場します。
「3月で城を作ってみせろ」「敵陣に乗り込んで大将を味方につけてこい」
など、信長はたびたび突拍子もないことを命じるという藤吉郎。
秀吉の武勇伝でも、一夜にして城が築かれたと敵を欺いた「一夜城」の逸話は有名ですよね。
要するにこういった彼の武勇伝は、大半は信長の無茶ぶりに応えるためのものだったわけです。
そして今回京に潜入していたのももちろん無茶ぶり。
藤吉郎が命じられていたのは、単に光秀のフォローのためだけではなく、
「織田信長が10万の兵を率いて上洛してくる」
という噂を京で流すことでした。
もちろん織田方がそれほどの大軍を率いているというのは大嘘で、ほんとはせいぜい2~3万程度。
嘘の情報に敵の動揺を誘おうという信長の機転に、光秀も感心していました。
そういった機転の効く部分ももちろんのこと、なにより藤吉郎が信長を主君として買っている部分は、武功を挙げると必ず褒美をくれることだといいます。
今回も
「これがうまく行ったら、次の戦は1000の兵をもたせてやると仰せられました。わしのような成り上がり者に!?」
と大層嬉しそうに話していました。
なんでも藤吉郎は幼少から
「針を千本売ってきたら、麦飯を腹いっぱい食わしてやる」
などといって働きに出されており、しかも両親がそういった約束を守ってくれたことは一度もなかったのだといいます。
幼少期のそういった体験が、してもらったことの恩は決して忘れない藤吉郎の人となりを育てたわけです。
駒や医師・望月藤庵(演:堺正章)と対面した際も、
「おかげで織田家の家臣となり、立派な武士となることができた」
と駿河で字を教えてもらったお礼をしっかり伝えていましたね。
藤吉郎は決して恩を忘れず、信長は決して約束を破らない。
このふたりの性分が惹かれ合い、この後に何にも代えがたい主従関係が築かれていくのです。
今井宗久を説得してみせた駒の願い
「宗久が、光秀にとんでもない要求を突き付けます。武士にとっては受け入れがたいものですが、宗久にも商人としての覚悟がありますから。そして、撮影前からめちゃくちゃ練習した僕の茶道の所作と長ゼリフにも注目です!」(陣内孝則)#麒麟がくる
今夜放送!
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光秀は京にて、朝廷のコネクションをもつ伊呂波太夫を頼るべく、太夫の妹分である医師助手・駒のもとを訪れます。
ここで光秀が京で三好との戦に挑むつもりだと知った駒は、戦に巻き込まれる民衆の想いをここぞとばかりにぶつけることに…。
「やむをえんのだ。戦のない世にするためには、幕府を立て直さねばならん」
という光秀に対し
「皆そう申して戦をしてきたのです。上洛をなさるのなら、刀を抜かずにおいでください。私たちの家に火を放たないでください!」
と訴える駒。
もちろん駒も感情的になった部分はあるでしょうし、将軍を決める一大事に戦は避けられないことは重々にわかっているはずです。
しかし権力が移り変わるごとに戦をしなければならないこの戦国の仕組み自体がおかしいのだと、彼女は問題定義をしているように見えました。
このあと駒と光秀は、太夫から三好の戦力源は今井宗久が握っているという情報を得て、宗久と話をつけることになります。
三好に戦で勝つのではなく、三好の戦力源を断って退かせるという策は、駒が考えたもの。
「三好様に協力すれば、織田様は堺の方々を敵とみなし、堺を攻めておいでになるかもしれません。三好様の味方をするのは、そういうことに踏み込むことではありませぬか?」
という駒の言い分が、宗久の心を動かしたといえます。
なんでも戦で解決しようとする諸大名の動向に疑問を抱く、彼女の庶民としての価値観が関わってきてこそ、今回の一件は穏便に運んだのですね。
信長と光秀の食い違い
「自分の家臣になれと言って光秀に断られる。将軍のそばに行きたいと言われるのは、何となくわかっていたのだと思います。誘いを断られても、信長の光秀に対する信頼感は何ひとつ揺るがないはず。ともに“大きな世をつくる”という野望でつながっていますから」(染谷将太)#麒麟がくる pic.twitter.com/bF3xsGuWo4
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今回の武装をせずに上洛するという方針に関して、信長は
「わしは父上から、戦に出た武士は勝って馬から降りるまで、兜は取るなと教えられた」
と話しており、織田家家臣団と同じく、あまり納得がいっていない様子でした。
しかし重要なのは、上洛を成したあとの話。
光秀の説く、幕府を再興しそこから権力を広げていくという案を成すために致し方なしと、信長は条件を飲んだのです。
そしてこれも上洛を成したあとのこと…
信長はそのあかつきに光秀が将軍に仕えるのか、織田家の家臣となるのかをこの場で問うのです。
織田家がさらに勢力を強めるために、どう動くべきかという問いに対し、上洛という答えを出した光秀。
その答えに乗った信長としては、このさきも光秀の力を頼りにしたいところだったはずですが…。
光秀が返したのは
「わたくしの心は決まっております。将軍のおそばに参ります」
という言葉。
「残念だが…わかった。以後そのように扱う。よいな」
と言った信長からは、その落胆ぶりがよく伝わってきました。
「誰も手だしのできない大きな国を作る」
光秀がそこを目指すのは、麒麟がやってくるような平らかな世を作るため。
しかし信長はそれよりも、自身の功績を世の中に認めてもらいたいという想いが強い。
この考え方の違いが、ふたりのあいだに大きな食い違いを生んでいるように感じます。
麒麟がくる(第二十七話)のまとめ
足利義昭の上洛は、駒や今井宗久、そして光秀のように本来、戦を望まない面々の願いが形になり、いたって穏便に成されることとなりました。
今回は信長と光秀との食い違いなど、今後の伏線となるような描写もありましたね。
このあたりの人間関係がどう動いていくのかも、非常に気になります。
最後に今回のまとめです。
① 優しすぎる将軍・足利義昭。しかしだからこそ「武装せずに上洛する」という今井宗久の条件もすんなり受け入れられた。
② 武功を立てれば必ず褒美を授ける織田信長と、してもらった恩は決して忘れない木下藤吉郎。このふたりの性分が合わさって、何にも代えがたい主従関係が築かれていく?
③ 三好家に協力する今井宗久を退かせたのは、戦をせずに権力争いを解決しようという、駒の庶民の価値観。
④ 幕府を建て直し、世を平らかにしたい光秀と、そこから権力を広げ、世の中に認められたい信長。ふたりのあいだに食い違いが…
同時に織田家など、諸大名たちにも新たな動きがあるようですが…?
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