麒麟がくる第十九回「信長を暗殺せよ」の感想|さらば斎藤義龍

 

越前編が始まり、あのボッロボロの家で暮し始めた光秀たちは、幸せに暮しているのだろうか。

信長は絶対にお母さんに怒られるぞ・・・。

『麒麟がくる』第十九回を視聴する前にぼんやりそんなことを考えていた筆者が、ドラマの進展について見たまま感じたままをお伝えしたい。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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明智光秀と斎藤義龍の再会と別れ

まずは、長良川の戦い以来数年ぶりとなる光秀と斎藤高政改め義龍との対面についてぜひ。

悲しい義龍

2人の対面中、義龍の言葉にやるせなくなって何度「ああ」とため息をついたことか。

将軍の声がけで美濃から上洛していた斎藤義龍は、同様に上洛する織田信長の命を狙っていたが、松永久秀に釘を刺される。

それを光秀のアイデアだと知った義龍が光秀との対面を臨んだのだ。

対面の前に廊下で光秀とすれ違った時の義龍は邪悪な雰囲気バッチリ。

そのため、2人の対面は光秀以上に筆者も緊張して臨んだのである。

しかし、信じられないことに義龍は二言三言上から目線の言葉を光秀に投げかけた後には、

「わしに仕えてみぬか。手を貸せ」

と驚きのオファーを試みるのだ。

これには驚いた。

「あんた、まさか。まだ光秀のことを・・・」

当然拒否する光秀だが、義龍は意外にも彼が弟たちや父親を殺したことを悔いているとを認めてでも、光秀を獲得したかったのだ。

なぜ?

振り返れば、自分に従おうとしない光秀に苛立ちながらも、今まで何度も譲歩してチャンスを与えようとしてきた義龍だった。

家督を継いでから力尽くで斎藤家を引っ張ってきたものの、腹の中では何を考えているのかわからない家臣たちの中で孤独だった様子。

心が安まることもなかったのだろう。

以前の彼から何かが変わり、急に寂しそうに見えた義龍。

変わったのは彼のヒゲだけではない。

義龍に激しく同意!

しかし明智光秀も情にほだされたりはしない。

そりゃそうだろう。

確かに義龍はそれまでのやり方を後悔したかもしれないが、光秀にしてみりゃ義龍のせいで

・生まれ育った国を追われた

・家臣と別れざるを得なかった

・叔父を殺された

この3拍子を食らったのだ、仕官するわけない。

だが断られた義龍は、ある重要な質問を光秀にぶつけたのである。

そのひと言とは

「お主、一体何がしたいのだ」

である。

よくぞ聞いてくれた義龍さんよ。

筆者もその点をぜひ聞きたかった。

光秀は越前で仕官もせずに何してるのだ?

義龍の見納め

光秀本人も、斎藤道三の「大きな国を作れ」をどう実現するのかわからない。

でも、やりたいんだってさ。

「とにかくオレはでっかいことをやりたい!」

と強がる中二病に似た症状とでも言おうか。

義龍の部屋から出て行く光秀の背中に「さらばだ」と告げる義龍。

2年後に病死する義龍と光秀との最後の対面が本当にこのようなものだったとは思わないが、せめてドラマの中だけでも、2人の幼い頃から育んだ友情が垣間見えるようで、義龍がひどい悪者で終わらずに済んでよかった。

義龍は、織田信長と同様に親の愛情に飢えた寂しい男だったのだ。

ただ、彼は信長ほど突き抜けられなかった。

さらば、斎藤義龍。

 

サンドバッグ状態の信長

話しは前後するが、やっぱり信長は前回に母・土田御前お気に入りの弟を殺したため、彼女にひどく冷たく責められた。

予想通りである。

さすがに信長も覚悟はしていたようだが、

「そなたはいつも私の大切な物を壊した」

「そなたが私の側にいるだけで私の心はおだやかではなかった」

「そなたは弟を殺しただけではない。この母も殺したのです」

このように言われっぱなしである。

世間的には、尾張の成功者・織田信長だが、実の母親にこんなことを言われたら、かなり心はズタズタでしょう。

しかし、母に心をボロボロにされても、彼には恐ろしく頭のキレる帰蝶がいる。

これから吹っ切れるのか、狂気に拍車がかかるのか、天下取りへと駒を進めていく信長の動向が気になるところである。

なんぜ、彼は「もはや将軍家はアテにできぬ」と言い放ったくらいである。

 

ウソの光秀設定

さて、越前での光秀は、ずっぷりと牢人生活をしている。

でもそれってどうよ。

どこかウソっぽくない? 

子供たちを集めて読み書きを教え、アシスタントの明智佐馬助と共に日銭を稼ぐ日々。

評判はよいらしいが「あの子は子供が好きですから」って、ホントですかぁ? 

いくら尊敬するわれらが牧の方の発言とはいえ、信じられない。

既に全十九話となるドラマにおいて、彼が子供好きだった素振りなど一度たりとも見たことはない。

煕子も光秀との子を身ごもったことだし、父親となる光秀には子供好きでいてもらったほうが都合はよいが。

さらに、今回光秀は朝倉義景に頼まれて京に戻った将軍・足利義輝へ鷹を献上しに行くことになった。

だが、越前の大名の代わりに、牢人の光秀が将軍への献上品をもって上洛など、まずあり得ない。

朝倉義景は、どうして沢山いる家臣から信用できる者を選ばなかったのだ? 

どうしてこうも光秀はエライ人たち(例えば、松永久秀、将軍・足利義輝、三淵藤英など)から見込まれるのか。

その理由は「これはドラマであり、彼は主人公だから」だな。

はい、分かってます。

麒麟がくる第十九回「信長を暗殺せよ」

今回、記事の中では言及しなかったが、久々の松永久秀の登場も嬉しかった。

そして何より光秀と斎藤義龍との関係がキレイに終わったことに満足した第十九回である。

今回の感想の簡単なまとめ

① 明智光秀と斎藤義龍との対面で垣間見た2人のかすかな友情の跡と彼らの別れに納得

② 実の母親に「弟を殺し、母も殺した」と言われた織田信長の心の傷の深さと狂気が天下取りにどのように影響するか気になる

③ 光秀の急な子供好き、牢人なのに大名の朝倉義景に上洛を命ぜられるなど設定にウソ臭さはあるが、おかげでドラマはおもしろくなるのだ

正直言って、今エピソードのタイトル「信長を暗殺せよ」は、ドラマの中身に合ってない気がする筆者である。

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku