百人一首に収められた、紀貫之の歌をご存知でしょうか。
実はその歌には「続き」のエピソードがあったのです。
今回はその歌の意味・背景、そして気になる「続き」についてご紹介していきます。
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紀貫之の歌
それではまず百人一首に収められた、紀貫之の歌とその意味について見ていきましょう。
歌の意味
人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける
(引用:『紀貫之 コレクション日本歌人選 005』田中登/笠間書院)
【現代語訳】人の心はさあ、どうだかわかりません。馴染みのこの地では、梅の花が昔と変わらず良い香りで咲き誇っています。
この頃、歌に出てくる「花」といえば、桜を意味するのが一般的です。
そこら辺の事情については、下記の記事で触れていますのでご一読ください。
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ですが詞書(歌の前書きのこと)によると、この歌では「梅」のことを指しています。
確かに香という点では、桜よりも梅のほうがイメージしやすいですね。
さらにこの歌の「ふるさと」とは故郷ではなく、馴染みの場所という意味で使われています。
歌の背景
歌に詠まれた紀貫之の馴染みの場所は、奈良県にある長谷寺(櫻井市初瀬町)のことです。
かつては長谷寺参りのため、この地をよく訪れたという紀貫之。
久々に顔を見せた宿が、この歌の舞台です。
宿の主に、「泊まるところはあるのに、ずいぶん顔を見せてくれませんでしたね」
と恨みがましく言われた紀貫之。
すると機転をきかせ、庭に咲いていた梅を一枝折り、この歌を主に送りました。
ウィットに富んだ、大人の対応ですね。
歌の「続き」とは?
ですが実は、の歌には主からの返歌があります。
花だにも同じ昔に咲くものを植ゑたる人の心知らなむ
(引用:『紀貫之 コレクション日本歌人選 005』田中登/笠間書院)
【現代語訳】花でさえ昔と同じく咲いているのですから、ましてやそれを植えた人の心を推し量って欲しいものです。
主の皮肉をうまく返した紀貫之でしたが、さらにこんな歌まで贈られていました。
直接皮肉を言いあうのではなく、歌で伝えあう姿は非常に面白いですね。
貫之はもちろんですが、宿の主もかなりウィットに富んだ方だったのでしょう。
きょうのまとめ
今回は百人一首にも収められている「人はいさ…」の歌について、簡単に紹介しました。
② 「ふるさと」は故郷ではなく、馴染みの場所という意味である
③ 宿の主の皮肉に対して、機転をきかせて詠んだ歌だった
④ その歌に対し、宿の主もウィットに富んだ返歌をした
こちらのサイトでは他にも、紀貫之にまつわる記事をわかりやすく書いています。
より理解を深めたい方は、ぜひお読みになってください。
紀貫之に関する【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
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