恐怖の必殺呪文発動!?水野忠邦『株仲間解散』とその理由

 

とんでもレベルでの貨幣改悪(お金にふくまれる金・銀などの割合を減らし、発行しまくる)!

無理やり出世するためのわいろ資金集めに借金をバシバシ踏み倒す!

自分が出世するためなら家が石高格下げになり、家臣とその家族、領民一同みなきゅうきゅうとしてもお構いなし!
何なら一人ご家老が諫言切腹(私が腹を斬るかわりに無茶をやめてくださいね、という意味)をして果てている。

でも言うことを聞かない!

そして泣く子も黙る使い魔「 妖怪 」こと鳥居耀蔵(とりいようぞう)をはべらせ。

向かうところ敵なしの「 失政大魔王 」水野忠邦様!

さあ、今日は彼の必殺呪文『 株仲間解散 』を、唱える理由も含め、徹底解剖だ!

 

株仲間とは?

江戸の改革でたびたび出てくる『 株仲間 』。

その中身はというと、

要はカルテル。

商人の一部の人たちでつくる同業組合のようなもの。

江戸時代が始まったころは、以前の時代からの楽市楽座路線を引き継いでおりました。

カルテル禁止ですね。

規制緩和。

自由競争。

しかし、江戸時代も進んでくるとしだいに商品経済が活発になってまいります。

戦争は起きませんし、

街道が整備され、海路交易なんかも盛んになってまいりますし、

いろんな分野で新技術、新商品、特産品開発が進んでまいります。

すると、
次第に自分たちの商業テリトリー内をちゃんと取り仕切ろう、という団体が私的に出てくるんですね。

仲間です。

やがて、幕府はこうして大きくなってきた商業界を統制しようと、

さらには『 冥加金(みょうがきん。幕府が特権を認めるかわりに払わせるお金) 』という名目での現金収入をあてこもうと、

公的に認め、

田沼意次(おきつぐ)の時代にいたっては
「 ジャンジャンやれ 」
という風にすらなります。

商人たちがこういった特権にあずかりたくて、幕府役人などへのわいろが横行したりもしました。

 

キャー――ッ!魔王様必殺呪文発動!

魔王様(水野忠邦)の時代になると、江戸の物価が高騰しておりました。

魔王様はこう思いました。

「 株仲間のせいだな 」

あいつらは
自分たちで談合して値段を吊り上げる傾向がある。

魔王様はこうして禁断の大呪文を唱えることになるのです!

 

もうとめられない!『 進撃の水野 』

いつもそうなのですが、魔王様はひとたび走り出すともうとまりません!

それがどれだけ的外れでも。

無茶なことでも。

いかな犠牲がおころうとも。

「 退かぬ!媚びぬ!かえりみぬ! 」

ただ、相手が目上の場合、その様相はかなり変わってきますが……。

「 金さん 」こと北町奉行遠山景元やその盟友矢部定謙(やべさだのり)らは言います。

「 水野様。

今、江戸で物価が上がってるのは江戸への流通が十分でないからです 」

「 そうです。そんな状況なりにうまくこちらに流してくれているのは株仲間あってのことです 」

「 彼らを解散にしちゃ。こっちによけいに物資が来なくなり、インフレはもう止まりませんよ 」

魔王様、使い魔鳥居耀蔵もろとも怖すぎますっ!

大魔王様は「 使い魔 」を使いました。

「 妖怪 」こと鳥居耀蔵です。

こいつもさすがに魔王様に見込まれた男です。

耀蔵は「 昔の罪を蒸し返す 」を唱えた。

矢部は幕府をクビになった。(HP 35/260)

矢部は桑名藩にあずけられた。(HP 5/260)

矢部は間もなく病死した。(HP

矢部は抗議の絶食自殺をとげたともいわれております。

耀蔵は金さんを北町奉行からクビにした。

一応替わりに「 大目付(おおめつけ) 」というもっともらしいポストだけ用意した。

格式だけ高い。いわゆる態のよい「 窓際送り 」。(HP 133/273)

さて、「 魔王 」の「 魔王 」たるゆえんがジリジリと伝わり始めてきたのではないでしょうか。

きょうのまとめ

案の定です。
金さんや矢部の言ったとおりに『 株仲間解散 』は大失敗。

せっかく株仲間たちがコントロールしていた江戸の商業界は混乱におちいり、あげくに物量が減り、物価はよけいに上がってしまいました。

同じ「 魔王 」でも「 第六天魔王 」織田信長とはまた質の違うおっそろしい「 魔王 」っぷりです。

① 株仲間とはカルテルのようなもの

② 江戸時代が進み、商品経済が世に浸透するにつれ、株仲間が重要な役割を示すようになった

③ 水野忠邦は強引に彼らを解散し、やっちまった

いかがだったでしょう。

時代の悪さもありますし、勝てば官軍負ければ賊軍……。

しかし、彼のこういう性質を許し、台頭させ、たよっている幕府に対しても思うところがございませんか。

『 乱世 』という名のパンドラの箱はこのように開くべきして開きました、とさ。

 

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