麒麟がくる第三十一回「逃げよ信長」【あらすじ簡単まとめ】

 

※ネタバレあり

大河ドラマ麒麟きりんがくる』

第三十一話では、打倒朝倉を掲げ越前を目指す織田家の一幕が描かれました。

みかど勅命ちょくめいから諸大名を携えた信長でしたが、その勢いを揺るがしたのは浅井長政の裏切り。

窮地に追い込まれた信長を逃がすため、光秀は敵軍を食い止める大任を引き受けます。

以下よりあらすじを辿っていきましょう。

 

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麒麟がくる(第三十一話)のあらすじ

1970年、織田信長(演:染谷将太)は、若狭・国吉城にて

・三河の徳川家康(演:風間俊介)

・大和の松永久秀(演:吉田剛太郎)

・摂津の池田勝正

らを集結。

越前は朝倉義景(演:ユースケ・サンタマリア)の打倒を目掛け、戦の支度へと入りました。

この面々に加え、近隣の国衆・地侍が戦に加勢したいと多数名乗り出たことで、織田勢は総数3万の大軍に。

その勢いをもって、敦賀の手筒山城・金ヶ崎城を陥落、わずか2日で朝倉領の敦賀をものにしてみせます。

次に目指すは朝倉義景の本拠地、越前・一乗谷。

信長は近江・小谷城を居城とする浅井長政(演:金井浩人)に南方の守備を任せ、金ヶ崎城から一気に一乗谷を攻めるつもりでいました。

朝倉をどう攻め落とすかに軍議は白熱…そんな最中、偵察から戻った明智左馬助(演:間宮祥太郎)より、光秀のもとに思いもよらない知らせが舞い込んできます。

なんと、浅井長政が信長を裏切り、織田勢が拠点としている金ヶ崎城へと、9千の兵を携えて進軍を始めたというのです。

手筒山城では激戦を強いられたのに対し、金ヶ崎城はあっけなく明け渡したという朝倉勢。

それも浅井家との結託で、織田軍を金ヶ崎で挟み撃ちにするという作戦だったのです。

信長は長政に妹・お市を嫁がせており、織田家と浅井家は固い友好を誓った仲。

光秀からの報告を受けた信長は、その裏切りを信じ切れず、憤りを露わにします。

しかし、いくら許せない事態であったとしても、朝倉・浅井両家の挟み撃ちにあえば、信長の命さえも危ぶまれる。

そう踏んだ光秀は今回の戦を諦め、逃げることを信長に懇願するのでした。

結果、光秀と木下藤吉郎(演:佐々木蔵之介)がしんがりを務め、敵軍を食い止めたことで織田勢はほぼ無傷で京へと帰還。

光秀も後を追って京へ向かいますが…。

 

麒麟がくる(第三十一話)の見どころ

ここからは今回の見どころを詳しく辿っていきましょう!

徳川家康との再会

朝倉領の敦賀を2日で落とし、歓喜の酒に浸る織田軍。

そんな祝宴の最中、今作を序盤から見ていた人には懐かしい気分にさせられる、光秀と家康のやり取りが見られました。

「いつぞや、薬草売りの百姓からもろうた干し柿の味、今も忘れてはおりませぬ」

と、口にしたのは家康。

そう、第四回「尾張潜入指令」にて、織田家の人質となっていた幼き家康が、百姓に扮した光秀に励まされるシーンがあったのを覚えているでしょうか?

そのとき気を紛らわすためにと、光秀が家康に差し出したのが干し柿でした。

人質として織田家や今川家をたらい回しにされていた家康は、母に会うため、光秀に城から連れ出してほしいと願いますが、監視の厳しいなかでそれは無理な話。

そのとき家康に向かって光秀が言ったのが、こんな言葉でした。

「今は辛くとも、日が変わり月が変われば、人の心も変わります。いずれ母上にも会える日が来ます。無理をせず、待つことです」

家康はその言葉通りじっと耐え忍び、信長が今川を討ったことで人質の身から脱すると、望み通り母親とも再会できたのです。

光秀の一言が名武将・徳川家康を育てる一因となったわけですね。

さらに家康はこんな言葉も口にします。

「武士はなんのために戦うのでしょうか。争いのない、戦のない世の中を作る。そのために戦う。しかしそのような世の中が、果たして我らが生きているうちに訪れるのか…」

家康が戦の先に望むものは、光秀の望むそれと同じ

江戸幕府を成立させ、平和な世の中を実現させた家康には、ひょっとすると光秀の願いも託されていた…のかもしれませんね。

浅井長政の裏切り

今回、織田家の朝倉攻めが予想だにしない展開となったのは、すべてここから。

そう、浅井長政の裏切りです。

その理由は信長の妹であり、長政の妻・お市に向けて語られます。

そもそも、朝倉家と浅井家は長政の父の代から長きに渡って友好を誓ってきた仲。

そのことを踏まえ、織田家からお市を嫁に貰う際、信長は長政に

「朝倉には手を出さない」

という約束をしていたというのです。

さらに信長は当主の座を守るため、実の弟までも殺してしまう男。

妹のお市を嫁がせているとはいえ、浅井家もいつ切られるかわからないという言い分を、長政は挙げます。

「お市、もはやそなたは信長の妹ではない。この長政の妻じゃ」

そう口にする長政には、兼ねてからの盟友・朝倉との縁を選び、織田家を敵に回す覚悟の表れを感じました。

信長が弟・信勝を殺したのは、彼自身命を狙われてのこと。

しかし信長を危険視した長政の考えもわからなくないですね。

戦国の動乱のなか、同盟などあってないようなものということも事実といいますから…。

しんがりに名乗りを挙げた木下藤吉郎

信長に対し、戦を諦めて逃亡することを直々に進言したことから、浅井・朝倉を食い止めるしんがりを命じられた光秀。

そこに今回、もうひとりこの大役を引き受けようと名乗りを挙げた男がいました。

木下藤吉郎です。

ただしんがりというのは、少数の兵だけで追手を食い止める非常に危険な役どころ。

命さえ落としかねないと、光秀は藤吉郎の身を案じます。

すると藤吉郎から返ってきたのは、

「死んで名が残るなら、藤吉郎、本望でござる!」

という言葉でした。

藤吉郎は今や千人の足軽を預けられる身となったものの、その実、百姓上がりだと馬鹿にされ、織田家の家臣からはなかなか認められないことに葛藤を覚えている様子。

所詮は百姓上がり、それも百姓とは名ばかりで田畑も持たぬただの貧乏人の出だと、藤吉郎は自身の素性を洗いざらい、光秀に話します。

なかには、病気の妹に精をつけるためにと姉が置いていってくれた芋を空腹のあまり自分が食べてしまい、翌日に妹が亡くなったという話も…。

彼が武士になりたがったのは、世の中に貢献することで妹の供養をしたいという意味もあるのかもしれませんね。

「この虫には羽がある。しかしこいつは飛ぶことを知らぬ。この虫はわしじゃ。わしは飛ばぬ虫で終わりたくない!」

と、その場にいた虫を捕まえて話す藤吉郎。

その眼差しからは

「浅ましい貧乏人の自分は結局誰にも認められず、地べたを這いずり回って生きるしかないのか?何も持たない、持つことも許されない自分にも、残せるものがあるなら!」

という想いを感じさせられました。

こうして藤吉郎は光秀と共に、しんがりを務めることとなります。

しんがりを務めてもなお認められない藤吉郎…

藤吉郎と光秀はしんがりを務める最中、二手に別れ、それぞれ別路で京へと帰還することになります。

ここでもまた、織田家家臣たちの藤吉郎の扱いのひどさが露わになりました。

なんと命からがら、傷だらけの様相で帰って来た藤吉郎に

「お前ごときにしんがりが務まるわけがない。どうせどこかで身を隠し、頃合いを見て逃げ帰ったのであろう」

などという言葉を投げかけたというのです。

光秀よりも藤吉郎のほうが先に戻ったことで、戦わずに逃げてきたと思われてしまったとのこと…。

藤吉郎からこの話を聞いた光秀は激怒し、酒を酌み交わして談笑する織田家家臣団に怒鳴り込みます。

「木下殿は立派にしんがりを務められた!戦場での働き、実に見事であった!誰のおかげでその酒が飲めるとお思いか!」

…と。

光秀の言葉がどれほど、家臣たちに響いたかはわかりません。

しかし自身の働きを少しでも理解してくれる人が現れたことは、藤吉郎にとって大きな支えとなったのではないでしょうか。

となると本能寺の変のあと、藤吉郎はその唯一の理解者を討って地位を確立するという、皮肉な展開が待っていることにもなるのですが…。

信長の悔し涙

「織田信長は死んではならぬのです」

そう言い、土下座までして懇願をした光秀を前に、戦を諦めて逃げるという選択をすることとなった信長。

「一人で考えたい。先に戻っておれ」

と、光秀を部屋の外へやったあとに聞こえてきたのは、悔しさを押し殺すかのようなうめき声でした。

涙を流しながら言葉にならぬ咆哮を繰り返す信長に、家臣たちも何事かと動揺を見せていましたね…。

今回の朝倉攻めは、帝より直々に勅命をいただいた戦。

その戦を投げ出し、逃げるということが信長はどうしても許せませんでした。

そしてなにより、原因は信用していた浅井長政の裏切りです。

帝の期待に応えたい想いと、長政の裏切りを信じたくない想い。

周囲の人間が喜んでくれることをやりがいとしている信長として、この戦に背を向けて逃げることはいかにも苦渋の決断だったのでしょう。

この戦は負けではない

光秀がしんがりの務めを終え、京へ戻ると、そこで待っていたのは抜け殻のようになった信長の姿でした。

帝より

「天下静謐せいひつのため励め」

という大任を授かって間もない信長は、今回、戦に負けてしまったことをどう報告すればいいのかと、すっかり落ち込んでしまっていました。

おまけに美濃で待つ帰蝶(演:川口春奈)までも戦果の報告を心待ちにしている様子。

周囲から多くの期待を寄せられるこの状況に、信長は

「負けたと報告すればよいのか…?」

と、光秀に問います。

すると、光秀が返したのはこんな言葉でした。

「この十兵衛、こたびの戦、負けと思うてはおりませぬ。信長さまが生きておいでなら、次がある。次がある限り、やがて大きな国が作れましょう。そこには平穏が訪れ、麒麟がくる…」

たしかに長政の裏切りに際し、無理に攻め込んで被害を出していれば、その先の展望はなにも望めなかったでしょう。

悔しさを押し殺し、逃げたからこそ次の展望がある。

そういう意味で今回の選択は最良だったといえ、光秀のいうように負け戦とはいえないのかもしれません。

朝倉攻めは浅井長政の裏切りにあったものの、約3万の兵をほぼ無傷で帰還させる結果となりました。

光秀はそれ自体が大儀であるとし、そのように将軍にも報告しようと信長に提案します。

ただ信長の今回の戦に反感を覚える幕府としては、今回の負けは動かぬ事実。

またこれより以前に信長は将軍との取り決めを記した殿中御掟でんちゅうおんおきてにて、将軍以上の権利を主張していたとのこと。

こういった事実から、信長の幕府や将軍との関係はより影の深いものとなっていきそうです…。

 

麒麟がくる(第三十一話)のまとめ

敦賀をわずか2日で落とすほどの勢いを見せた信長でしたが、浅井長政の裏切りにより、今回は敗走する結果に。

しかしこの戦に光秀が出した結論は、

「負け戦ではない」

というものでした。

事実上の勝ち負けではなく、次につながる戦であるかどうか。

光秀のこの考えからは、感情に流されず信長をサポートする名参謀の風情を感じさせられますね。

最後に今回のまとめをしておきましょう。

① 幼いころに光秀に励まされたことを覚えていた家康。あのときの一言がのちの天下人を育てる結果に?

② 浅井家と朝倉家は兼ねてからの盟友。信長は浅井家にお市を嫁に出す際、「朝倉には手を出さない」と約束していた。また実の弟を手にかけていることからも、長政は信長を危険だと判断した。

③ 百姓上がりゆえ馬鹿にされ、織田家の家臣たちから認めてもらえない藤吉郎。討ち死にしても名が残るなら本望だと、しんがりを買って出ることに。

帝の期待に応えたい想いと、長政の裏切りを信じたくない想いに苛まれた信長の逃亡は苦渋の決断。しかし次につながる決断を下せた信長を、光秀は大儀とした。

さて、今回は織田家が朝倉家に押し返される戦況となりましたが、次週、光秀が鉄砲の調達に動き、新たな作戦が決行されるようです。

そして将軍・足利義昭と信長の溝はさらに深まっていく様子…。

次週も落ち着く暇がない展開になりそうですね!

 

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