麒麟がくる第三十八回「丹波攻略命令」|そのマント、お似合いです

 

『麒麟がくる』第三十八話では、ついに明智光秀(十兵衛)が難しい丹波攻略に乗り出すことになった。

光秀は最終コーナーへ向けてどう走っていくのか・・・。

今週もドラマの感想を見たまま、感じたまま書かせていただく。

 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 

クライマックスは本編前に終了!!

ふーむ。第38話を全部見終わってひと息ついたところで気づいたのは・・・。

今回のヤマ場は、なんと「アバンタイトル(オープニングタイトルの前)だった!」という事実である。

三淵の切腹

何と言うことだ。

ドラマのテーマ曲が流れる前にあの三淵藤英みぶちふじひで切腹して死んでしまった。

うっかり彼の切腹シーンを見逃した視聴者もあったのではないかと心配だ。

明智光秀(十兵衛)との付き合いも長い三淵の死はやっぱりショックである。

予感はあったし、予告編も観ていたから心構えはしてはいたが、これほど早々に逝ってしまうとは。

武田信玄だって先週同じオープニングタイトル前で亡くなった。

さてはこのドラマ、こういう構成が好きだな。

織田信長からの処分命令を光秀から聞くまでもなく、三淵は自分の死を悟っていた。

今振り返れば、やはり前エピソードの坂本城天守閣のシーンで、光秀と会話する彼は妙にさっぱりとした表情だったが、すでに死を覚悟していたのだ。

切腹場に巡らされた白木綿の幕が風にはためく中、三淵は一人で腹を切って死んでいった。

美しいが、悲しい場面。

光秀の信長への怒りがまた降り積もる。

三淵への疑問

だけどね。

やっぱりよくわからん。

歴史的な事実は別にして、どうして三淵が将軍・足利義昭よしあきに尽くそうとするのか、その理由がきちんとドラマの中で描かれていない。

義昭は、僧侶だった時はそれなりの人物だったが、今は駒ちゃんにうつつを抜かし、武士の棟梁としての器量はハテナマークの将軍だ。

どうして三淵ともあろう冷静な男がそこまで将軍に身を呈するのか、理由が見当たらない。

三淵はこう言った。

「十兵衛殿が信長殿を選んだように、私は公方様くぼうさまを選んだ。それだけのことだ」

「私の家は代々幕府に仕え、私は幕府から出る勇気はなかった」

セリフはキレイだが、これじゃ我々納得しませんよ。

「なぜ将軍義昭に尽くすのか」をドラマで表現してほしかった。

セリフだけで浅く登場人物の気持ちをなぞっても視聴者は納得しない。

ああ、三淵。

なんで?

そして信長よ、なんで三淵を? 

ひと言いいですか?

えー、この場を借りてひと言わせていただく。

史実としては、兄・三淵藤英と弟・細川藤孝ふじたかの兄弟関係は破綻していたようであるが、ドラマではそこまで仲悪くなかったよね?
 
前回信長のもとで兄弟タッグを組んで戦ったはずだ。

だから言いたい。

細川藤孝よ! 

知ってる? 

兄ちゃん死んだよ! 

信長に殺されたよ。

リアクションないんかい?
 

ドラマの時間配分がおかしい

『麒麟がくる』を視聴していてよくぶち当たる疑問がある。

「どうしてそんな(いらない)シーンに長く時間をかけるのか」というアレだ。

相変わらず不機嫌ではあるが、まずまず元気そうに鼓を打ってた元関白・近衛前久このえさきひさ

はっきり言って彼と光秀とのシーン、その前の光秀と伊呂波太夫とのシーンは必要ないだろう。

結局前久と話をしようがしまいが、光秀の丹波攻略には一切影響しなかった。

しつこく言うが、ドラマにはもっと時間をかけて表現するべきことが他にあると思う。
 

登場人物の成長と変化

ドラマの開始時点から考えるとすでに二十数年が経過している『麒麟がくる』の今。

竹千代は徳川家康になったし、赤ん坊だったたまちゃんは、しっかりした女の子に育っているし。

時間が経つのは早いねー。

光秀、マントがお似合いですよ

まだまだ「お殿様」感には欠けるけれど、坂本城での光秀は、上座に座って話を聞く姿も随分サマになってきた。

衣裳の色も年齢に合わせたのか、青や紺から鈍色にびいろになって今回は重厚感が増したようだ。

しかし、なんといってもマント

あの光秀の西洋マント姿に触れないわけにはいかない。

彼の姿は、まるで戦国ゲームの「信長コスプレ」そのもの。

周辺の人たちは笑っていたが、光秀なかなか似合ってたと思うのだが、どう? 

マントだけと思いきや、信長から靴やタイツまで一式全部もらったらしい。

2度着用することはないかもしれないが。

ヒゲ面の家臣たち

いつの頃からか光秀はヒゲをたくわえるようになったが、今回、取って付けたように光秀の重臣たちもヒゲ面で登場した。

藤田伝吾も明智左馬助も、顔には光秀以上に立派なおヒゲが。

正直言って左馬助が光秀のマント姿を笑ったとき、左馬助のヒゲに筆者の目は釘付けだった。

今回から顔に刀傷を持つ斎藤利三も加わり、光秀の本能寺襲撃チームも充実してきた。

頼もしいけど、彼ら以外の光秀の家臣を見ないのがちょっと心配。
 

天皇は光秀推し

正親町天皇は、もう絶対光秀のファンだろう。

明智光秀のことを

「万葉好みのかの珍しき鳥」

「かの者」

と言って会いたがる。

筆者は正親町おおぎまち天皇が好きではあるが、一体何がそれほど彼を光秀ファンにさせているのかよく分からない。

もう天皇は断然信長よりも光秀推しだ。

でもちょっとあざとく光秀を持ち上げすぎ、ちゃう?

 

麒麟がくる第三十八回「丹波攻略命令」

三淵の死、斎藤利三の件など人の命を軽く扱う信長に怒る光秀。

彼の心の中に、信長への不信感がまた静かに降り積もっていくのを見た気がした第三十八回であった。

今回の感想の簡単なまとめ

①美しくも悲しい三淵藤英の切腹シーンが番組早々に終了した無情

②お久しぶりの近衛前久のシーンは必要なかったのでは?

③光秀の「信長コスプレ」のマント姿、家臣たちのヒゲ面になごむ

④正親町天皇は主人公とはいえ明智光秀を持ち上げすぎでは?

今回、回想シーンで斎藤道三が一瞬登場したが、彼の時代はもう随分昔のような気がする。

最終回まであと6回だ。

 
目次に戻る ▶▶
 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 










合わせて読みたい記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

sixteen − 8 =

ABOUTこの記事をかいた人

歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku