福沢諭吉の「心訓七則」をご存知でしょうか。
他にも「福澤心訓」「福沢諭吉翁心訓」など様々な呼び方がされているものです。
ご存じのない方は、ぜひ一度読んでみてください。
今回は福沢諭吉と心訓七則について、ご紹介していきます。
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心訓七則とは?
ではまず、心訓七則の内容を見てみましょう。
決まりごとが7つ書かれているだけですので、すぐに読めます。
一、世の中で一番楽しく立派なことは、一生を貫く仕事を持つことである
一、世の中で一番みじめなことは、教養のないことである
一、世の中で一番さびいしことは、仕事のないことである
一、世の中で一番みにくいことは、他人の生活をうらやむことである
一、世の中で一番尊いことは、人に奉仕して決して恩を着せないことである
一、世の中で一番美しいことは、すべてのものに愛情を持つことである
一、世の中で一番悲しいことは、嘘をつくことである
いかがでしたでしょうか。
なんともぐうの音の出ない、これこそが真理というものでしょう。
シンプルな文章ながら、他人をうらやまず一生懸命に勉強をして、
世のため人のためになる仕事をしようという気持ちにさせてくれます。
こちらを座右の銘にしたり、その七則が書かれた額を飾っている人もいるのだとか。
多くの人びとが、こちらの言葉に感動・共感していることがわかります。
さすがは福沢諭吉先生!万歳!!!
慶応義塾のコメントがおもしろい
と思いきや、実はこの心訓七則は、福沢諭吉が作ったものではないそうです。
さっきの感動を返してくれ!
大切に額に入れているのは一体何なんだ!?
真の作者はいまだ謎だそうで、何者かが福沢諭吉の作であると仕立て上げたと言われています。
こちらの件に関して、慶応義塾もきっぱりと心訓七則は偽作であるとコメントしています。
そちらのコメントの一部がなかなかおもしろいので、ご紹介させてください。
末尾の一項「一、世の中で一番悲しいことは嘘をつくことである」と。
この心訓の作者は、最後に「嘘」をつくことは「世の中で一番悲しいこと」だと、自ら記したのは、皮肉といえば皮肉である。
(引用:[慶應義塾豆百科] No.98 福澤心訓)
嘘をついている人に、嘘をつくなと言われているのですからね。
単に福沢の作ということを否定するだけではなく、しっかりと笑いも入れてくれるなんて。
なぜ福沢諭吉が作成したことになったのか
それではなぜ、福沢が作ったものと言われるようになったのでしょうか。
作者がわからないくらいですから、はっきりとした理由もわかっていません。
ですが、福沢諭吉が息子たちのために書いた
『ひびのおしえ』(正式:ひゞのをしへ)の中には、こんなことが書かれていたのです。
第一 てんとうさまをおそれ、これをうやまい、そのこゝろにしたがふべし。たゞしこゝにいふてんとうさまとは、にちりんのことにはあらず、西洋のことばにてごつどゝいひ(God 神)、にほんのことばにほんやくすれば、ざうぶつしや(造物者、創造主)といふものなり。
第二 ちゝはゝ(父母)をうやまい、これをしたしみ、そのこゝろにしたがふべし。
第三 ひとをころす(殺す)べからず。けものをむごくとりあつかひ、むしけらをむゑきにころすべからず。
第四 ぬすみ(盗み)すべからず。ひとのおとしたるものをひらふべからず。
第五 いつはる(偽る)べからず。うそをついて、ひとのじやまをすべからず。
第六 むさぼるべからず。むやみによくばりて、ひとのものをほしがるべからず。
おやっ、なんだか似ていませんか?
第五と第六なんて、ほぼそのままではないでしょうか。
『ひびのおしえ』が子供を対象にした教えなら、
心訓七則はその大人版とでも言えるのではないでしょうか。
なるほど、真の作者はここからパクった・・・
いえ、インスパイアされたのかもしれませんね。
きょうのまとめ
今回は福沢諭吉が残したと「される」心訓七則についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
② 作者は不明、それを否定する慶應義塾のコメントがおもしろい
③ 福沢諭吉の『ひびのおしえ』の中には、よく似た内容が書かれていた
こちらのサイトでは、他にも福沢諭吉にまつわる記事をわかりやすく書いています。
ご興味をお持ちの方は、ぜひご覧になってくださいね!
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