『麒麟がくる』第四十三回の放映が終了し、いよいよあと一回を残すだけとなった。
ついに、だな。
気になる本能寺の変はドラマの最終回へと持ち越された。
織田信長の横暴を一つ、また一つと目撃するにつけ、次第に心が決まっていく明智光秀(十兵衛)の様子、そして今後の進展についてなど、見たまま感じたままをお伝えしたい。
夢の本音
麒麟がくる File098
(第43回より)#麒麟がくる #麒麟File#明智光秀 #長谷川博己 pic.twitter.com/WF35K7s52Z— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) February 1, 2021
『麒麟がくる』の映像描写には、ときどきハッとするような美しい場面がある。
今回は、光秀の夢の中に月にまで届く幻想的で巨大な樹が登場した。
美しくて怪しく光る大樹は、かつて光秀が正親町天皇と話をした「月へ登る者」が空へ向かって登っていく樹だ。
樹に登っていくのは信長。
彼を呼び戻すために樹を切り倒そうとする光秀は、それが信長を殺すことと知っているのに木の幹めがけて斧を振るい続けるのだ。
つまり、光秀の心は無意識にも信長問題の解決方法に気づいているということか。
この夢はヤバい。
駒ちゃんに話して良いものかと心配になる。
光秀の妻・煕子がいない今は、駒ちゃんにしか話す相手がいないのか。
明智左馬助あたりじゃダメなんだろうか。
この夢を正当化するかのように信長は情緒不安定気味だし、何かを期待する人々の視線が光秀に押し寄せている。
結局本能寺の変の動機とは、シンプルな一つのものではなく、いろいろなことが合わさった複合的な動機のように見える。
それだとドラマとしての驚きや新鮮味には欠けるが、現実とはそんなものかもしれない。
今回、信長はひどかった。
正親町天皇の東宮を別に移し、助命したはずの波多野秀治らを磔にし、首を塩漬けに。
佐久間信盛は追放され、光秀だって足蹴にされた。
皆の気持ちはよくわかる。
夢の樹を切り倒せば信長が落ちて死ぬ。
だが、この樹は切った本人の光秀だって倒れる樹の下敷きになるかもしれない危険をはらむ。
やっぱりこれは悪夢なんだろうか。
光秀と帰蝶
「また、十兵衛と再会することができました。ちょっぴり切ないですが、十兵衛の背中を押し希望を託す、とてもすてきなシーンになったと思います。ぜひ最後まで、帰蝶のことを見守ってください」(川口春奈)#麒麟がくる
今夜放送!
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帰蝶の再登場を楽しみにしていた。
今一体何歳の設定なのか、全く老けた様子もなく絶好調の美しさだ。
さて、彼女に期待していたのは予告編で聞こえてきていた衝撃のひと言、「信長に毒を盛る」だ。
それが光秀の質問
「もしも帰蝶の父親の斎藤道三だったら信長についてどうするか」
への回答だった。
今回、彼女の発言はどれも印象的だ。
彼女はこう言った。
「今の信長様を作ったのは父上であり、そなたなのじゃ」
「よろず作った者がその始末をなすほかあるまい」
要は、
「光秀よ、あんたがそそのかしたんだから、信長のことは責任持って始末してよね」
ということか。
「私はそう答える父上が大っ嫌いじゃ」
とも言った帰蝶だが、
「じたばたせず、静かに夜を迎えることができればよいのじゃが。世はままならぬ」
と添えた。
やっぱり彼女は光秀にダメ押しをしてる。
涙ぐんだ帰蝶は本当に美しい。
筆者は今回、帰蝶役が川口春奈でよかったと心から思った。
だけどやっぱ帰蝶は帰蝶。
最後まで父親の名を語りながらも、夫殺害を示唆するコワイ女だ。
残り1回になって突然
「安土城に家康を招いての祝いの宴(うたげ)。歴史ファンにとっては有名なエピソードですが、それがどのような切り口で描かれるのか?台本を読んだとき、『えー、そうなの!』と驚いたし、『これは、おもしろい!』と思いました」(風間俊介)#麒麟がくる
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「麒麟がくる」を続けて視聴している人なら感じているだろうが、最近1回のエピソードの情報量が多く、消化するのに忙しい。
自分の墓穴へとまっしぐらな暴君信長
武田勝頼を討った戦勝祝いの饗応役に明智光秀が選ばれた。
饗応される側の家康が光秀を逆指名することにハッピーじゃない信長。
饗応の祝いの席で出された膳にいちゃもんを付け、光秀を皆の前で叱責した上、床に転がした。
気づいてないのかもしれないが、こうやって信長は自分の死を引き寄せている。
今回からワルな役回りで登場している森蘭丸に押さえつけられた光秀は、長谷川博己がこんな顔を作れるのかと驚くほどものすごい形相だった。
しかも、心の中で光秀はガンガン例の樹を切っていたよね。
今回、本能寺の変の動機については、なんだか複数動機説に思えるけれど、間違いなく光秀の怨恨説も入ってそう。
彼の気持ちはもう決まっているように見える。
消える人、登場する人
光秀の周辺事情はめまぐるしく変わっていく。
最終回直前になって旧知の人物の変化と新登場の人々の情報が、数多く投入された。
【武田勝頼】顔も出さないまま瞬殺された。
【細川藤孝】しばらく影が薄かった光秀の友人だが、ここにきて急に出番が増えた。
秀吉の信長批判を聞いてやったり、今は亡き三条西実澄の屋敷で、近衛前久と伊呂波太夫と一緒という不思議メンバーで信長の行動を愚痴っていた。
【森蘭丸】新登場。先ほども述べた信長の近習で、告げ口魔。
【丹羽長秀】新登場。嫌みな信長の重臣。
【曲直瀬道三】名前だけ新登場した帰蝶の目を治療する医者。
東庵先生のように公家や武家たちを治療して回った実在の医者である。
筆者はこの人物が東庵先生のモデルだと思っていた。
【黒田官兵衛】
羽柴秀吉の軍師として次回新登場予定。
まさか官兵衛は本能寺の変後に秀吉に中国大返しを勧める「今ですぞ!」のひと言だけのための登場か?
最終回直前になってもまだいろいろ気になる人々が登場するから目が離せない。
ドラマの終了がもう少し先ならいいのに。
麒麟がくる第四十三回「闇に光る樹」
第四十三回が終わった。
次が最終回だなんて、なんだかウソみたいだ。
今回の感想の簡単なまとめ
①光秀の夢に出た「闇に光る樹」は未来を暗示する不吉な夢の樹である
②やはり帰蝶は帰蝶。美しくてコワイ女
③最終回直前でも有名キャラクターがまだまだ登場する
いよいよ本能寺の変がやってくる。
ドラマは山崎の戦い、そして光秀の最期までちゃんと描いてくれるだろうか。
個人的には、明智左馬助と藤田伝伍らの活躍も見たいものだ。
1582年、本能寺の変まであとひと月。
次は最終回である。
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