千利休は多くの名言を残した人物です。
今回は、その中から6つの名言を選び、その言葉の意味についてご紹介いたします。
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茶の湯の神髄とは。『利休七則』
まずは、利休が弟子への「茶の湯」の心得、「利休七則」です。
利休名言① 「それが十分にできましたら、私はあなたのお弟子に・・・」
茶の湯の神髄について質問された時千利休は、
と答えました。
「師匠様、それくらいは存じています」
と、主張する弟子に利休はこう告げたそうです。
利休の彼の茶の湯に対する深い考えを示す言葉です。
人をもてなすということはどういうことなのか、いつでもどこでも当たり前のことを当たり前にやり遂げることの難しさを諭しています。
利休による和歌形式の茶の心得『利休百首』
千利休が茶道の精神、作法の心得などを、初心者にもわかりやすく覚えやすいように、和歌の形を借りて、五・七・五・七・七の歌で表し、百首集めたものです。
中には、茶道に限らず、普段の生活での心得に通じるものもあります。
利休名言② 「稽古とは・・・」
稽古とは 一より習ひ 十を知り 十よりかへる もとのその一
(稽古というものは一から順番に始めて十まで進んだら、またもう一度最初の一に戻って二、三、四、と進んでいきなさい)
利休は何度も繰り返す稽古の重要性を説きました。
十まで進んでそこで終わらせるのではなく、初心に戻りながら何度も繰り返すことが、新たな発見を導き、学びを確実にするという教えです。
利休名言③ 「茶の湯とは・・・」
茶の湯とは ただ湯をわかし 茶をたてて 飲むばかりなる 本を知るべし
(茶の湯というのは、ただ湯を沸かして茶を飲むだけのことです。それができていますか?)
茶の湯を学び、十まで進んだあとに一に戻って来たとき、することはただ茶を飲むだけのこと。
当時は、茶の湯の場が驕りや、見栄や策謀など本来の目的と違って使われるようになっていった時代。
シンプルだけれども、本質であるただ「茶を飲む」ことを忘れるなと釘を刺したかのようですね。
どこかの大名にとっては耳の痛い言葉だったかもしれません。
利休名言④ 「釜一つあれば・・・」
釜一つ あれば茶の湯は なるものを 数の道具を 持つは愚な
(茶の湯は最低限の道具さえあればいいのだから、たくさん買いそろえる必要などない)
シンプルさを好む利休らしい言葉です。
茶道具の数や高価さはお点前の良し悪しを決めるのではありません。
茶の湯の席での腕前、人への気遣い、人との出会いなど
「茶を道具で点てるのではなく、心で点てよ」
という意味の言葉です。
彼はまた、
数多く ある道具を 押しかくし 無きがまねする 人も愚な
(多くの道具を持つのが愚かなのと同様に、あるのに隠して無いフリをし活用しないのも愚かだ)
とも言っていますよ。
名器を買い集めるコレクターのような大名もいた中で、質素を好んだ千利休は心のなかでこんな言葉を反芻していたのかもしれません。
罪に問われた千利休が発した、怒りの言葉
千利休は己の信じる茶の湯の形を貫こうとした人物です。
しかし、その妥協しない性格が災いしてか、天下人・豊臣秀吉との間も次第にぎこちなくなり、そして険悪へとなっていきました。
利休名言⑤ 「頭を下げて・・・」
これは、秀吉に罪に問われた時の利休の言葉だと言われます。
謝罪すれば許されるのではないかというアドバイスに対し、利休はこう言って謝罪を拒否しました。
利休は彼の美学を守りたかったのか、それともこれは政治権力への反骨精神の表れだったのでしょうか。
利休の怒りの辞世
茶聖・千利休は1591年に豊臣秀吉に命ぜられ、切腹をして果てました。
どうして利休が切腹を命じられることになったのかについては諸説あって、定かではありません。
彼は死の前日に、自分の思いを言葉にした遺偈とよばれる、辞世を残しました。
人生七十 力囲希咄
吾這寶剣 祖佛共殺堤る我得具足の一太刀
今此時ぞ天に抛
(人生七十年。いあああっとうっ(←気合いの掛け声)。
わがこの宝剣で、祖先の仏を我もろとも殺してしまえ。
この使いこなした刀を引っさげて
今、この時に天に投げうつのだ<落ちてくる刀で、この身を突き刺そう!>)
解釈はいろいろありますが、意訳するとこのようになります。
忿怒の感情があふれたすさまじい辞世です。
わびさびを愛した茶人のイメージとは異なりますね。
利休は秀吉に命令された自分の切腹を、よほど理不尽な仕打ちだと思っていたはずです。
きょうのまとめ
今回は、安土桃山時代の茶聖として活躍した茶人・千利休の残した名言をご紹介しました。
簡単にまとめると
①千利休は『利休七則』『利休百首』など多くの名言を残している
②利休の名言には茶の湯や生き方に対するシンプルな心得や忠告が詰まっている
③利休の辞世には、理不尽な死を迎える彼の怒りと無念さが表現されていた
となりました。
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