前田利家は
養女や庶子(正妻以外の側室などから生まれた子供)も含め19人の子供が居ました。
利家と正妻まつの間に生まれた息子は利長と利政です。
前田家の次代を担った2人の息子について紹介します。
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長男・利長
まずは長男の利長についてみていきましょう。
利長の半生
永録5年(1562年)に生まれたのが利家の長男である利長です。
利家が25歳で妻のまつが16歳の時に授かった最初の子で、尾張の荒子城で生まれ、利家とまつと共に暮らしました。
前田家が仕える織田信長が安土城を完成させた時に、15歳の利長は安土城で信長の下に仕えた時期もあったようです。
信長が明智光秀の謀反に倒れる本能寺の変が起きます。
利長は信長の娘である永姫を、前田家の旧領(この時期に前田家は加賀へ移っている)である荒子で匿います。
信長亡き後に起きた羽柴秀吉と柴田勝家の戦いである、
「賤ヶ岳の戦い」に利長は父・利家と共に出陣し共に秀吉に従います。
利家の息子として直に居た利長は嫡男として育ち、慶長3年(1598年)に前田家の家督を継ぎます。
利長の苦難
時代は豊臣秀吉の天下。
しかし、翌年に秀吉と父の利家が亡くなってしまいます。
利家の後を継いで豊臣家を支える重臣の五大老の一人となった利長は、太閤秀吉の死で台頭し始める徳川家康と対峙する事になります。
家康の力が大きくなると利家は見越していたのかこう遺言を残します。
死後三年の間加州(加賀)へ下る事無用
「加賀へ帰らず大坂で豊臣家を守れ」と言う意味です。
しかし利家の死後半年経たない8月には、利長は加賀へ帰ってしまいます。
この帰国は「家康が利長に勧めた」とも言われています。
利長が居ない間に家康は大坂で動き、利長が家康を暗殺しようとした首謀者に仕立てて征伐すると決めます。
大坂で自分が濡れ衣を着せられて合戦になる事に利長は驚きます。
この利長への疑惑騒動は利家の妻であり、
利長の母親であるまつ(芳春院)を家康へ人質として送る事で落ち着きます。
このように長男・利長は戦国武将として様々な苦労をしていました。
次男・利政
天正6年(1578年)に次男の利政が生まれます。
兄の利長から見ると16歳年下の弟になります。
利政が15歳で元服した時には豊臣秀吉の時代になっていました。
戦国武将としては秀吉の息子である秀頼の護衛をする詰番衆を務めます。
父親の前田利家は豊臣家の重臣として五大老になります。
利政は豊臣家から侍従・従四位の官位と、能登22万5000石の領地を与えられ大名になります。
豊臣家から手厚い報酬を受けながら利政は仕えます。
次男利政と兄弟の不和
割れる兄弟
利家が亡くなる直前に前田家の兄弟で問題が起きます。
利政が武士を辞めると言い出したのです。
理由は、
・兄の利長は家康に苦悩する
ということです。
そんな様子を見て豊臣家に高い忠誠心がある利政は、将来に望みを失い武士を辞めようとしたのです。
利家は説得して「利長に仕えるよう」に言いつけます。
利長に対しても「利政を我が子と同じように接するよう」、遺書に残して兄弟を何とか結束させます。
利政は父の説得に応じ、前田家を支える武士となります。
関ヶ原の戦い
しかし兄弟の仲は関ケ原の戦いの際に、決定的になります。
利長は家康が総大将の東軍に付くと決めましたが、利政が出陣することはありませんでした。
正室が西軍の人質になっているせいもありますが、「家康嫌い」の為に東軍での出陣をしなかったのです。
利長の説得にも応じず兄弟の仲は割れてしまいました。
利政は出陣しなかった事で家康から領地を没収されます。
大名から転落した利政でしたが今度こそ武士を捨て出家します。
母親のまつによって500石を与えられ不自由はありませんでした。
利政は「宗悦」と名を変え京で静かに余生を過ごします。
対する利長は関ケ原の戦いでの戦功から40万石の領地加増を受け、前田家は加賀・能登・越中120万石の領地を持つ大名に成長します。
利長は利家の四男である利常に前田家を継がせます。
大坂冬の陣の前の慶長14年(1614年)5月に病で亡くなります。
きょうのまとめ
前田家の長男と次男はまさに対照的です。
利長はその役目を果たしながら前田家の繁栄と存続に尽くします。対して利政は自分の気持ちに正直でした。
これは利家とまつが兄弟の中でも利政を一番可愛がり、甘やかされていたのもあるでしょう。
嫡男としてしっかり育てられた利長と、次男で甘く待遇の良い環境にあった利政
親の接し方と外部環境の違いが二人の生き方、性格に現れたのかもしれません。
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