麒麟がくる第二十八回「新しき幕府」の感想|光秀、就職おめでとう!

 

『麒麟がくる』第二十八回では、ついに第15代将軍・足利義昭が誕生した。

新将軍を立てた織田信長は幕府の立て直しに取りかかり始める。

明智光秀(十兵衛)も将軍の家臣として就職がかない、ついに「京~伏魔殿編」の開始である。

気分も新たにドラマの感想を見たまま感じたままお伝えしよう。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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新ステージで立場が変わる登場人物たち

明智光秀も将軍義昭のお側に勤める奉公衆の一員となった。

いやー、これまでの牢人生活、長かったね。

出世したこぎれいな光秀

ほとんどニートと同じ牢人だった光秀が、征夷大将軍に直接仕える幕臣になったのはかなりの出世だ。

就職にシンクロして光秀の服装も格別によくなった。

紺色の衣裳に包まれた光秀はなかなかスマートだし、ヒゲなんかたくわえちゃっている。

しかも身の回りの世話をしてくれる人も従え、これまでの越前でのボロ家生活が嘘のようだ。

筆者は彼の出世を素直に喜んであげたい。

悲報。一回り小さくなった松永久秀?

光秀が将軍に直接仕えるようになったところで、織田信長の傘下に入っている松永久秀とも、心なしか対等に話ができるようになった様子。

これもこの時代の習いなのだろう。

刻々と状況が変わっていく戦国の世では、武将間のステータスもマウンティング具合も日々変わっていく。

信長チームと将軍の奉公衆チームによる評定をおとなしく待ち、茶器の大名物おおめいぶつ

唐物茄子茶入付藻茄子からものなすちゃいれつくもなす」を信長に差し出す久秀が、以前の彼より一回り小さいような寂しさを感じちゃったのは筆者だけだろうか・・・。

だいじょぶ? 足利義昭

人が良く、庶民の生活を第一に考える、武士のトップらしくない将軍・足利義昭

将軍就任の時の緊張具合、本国寺の変で命を狙われた時の刀をかかえて呆然とした様子など、サムライ経験のない新米将軍のオロオロ具合を滝藤賢一が上手く演じている。

いい人なんだけど、光秀や細川藤孝が眉をひそめる摂津晴門せっつはるかどを疑いもなく政所頭人まんどころとうにんとして登用してしまう義昭が、伏魔殿のような京で将軍ビジネスをどうやって続けるのか。

大丈夫なのか? 

誰が味方なの?

そう思うのは筆者だけじゃないはず。

大人になってきた駒ちゃん

さて、当初とくらべ随分大人びたのが、駒ちゃん

服装や髪型が変わったせいもあるが、役者の門脇麦が演技の仕方を変えてきているのではないだろうか。

以前のようにすぐにふくれっ面をしたり、拗ねたりすることがなくなり、光秀や将軍義昭に対面したときの態度が一線を引いた大人になってきたと感じる。

しかし、彼らのような重要人物とのコネがあるなんて、ビジネスウーマンにはうらやましいくらいね。

ま、リアルではありえねー話だけど。 

 

本国寺の変後

1568年、将軍義昭が仮の住まいとしていた本国寺が、信長の留守中に三好三人衆に襲撃された。

本国寺の変である。

結局三人衆の軍は撤退し、将軍に大事はなかったが、この事件による影響は小さくはなかった。

信長のアノ性格が表面化してきたゾ

事件を受けて大急ぎで京へ舞い戻った信長は怒り心頭だ。

室町幕府政所頭人の摂津晴門せっつはるかどが、変事について自分にすぐに連絡しなかったからである。

信長にとって義昭は、「大きな世」を創るための大事な手駒なんだから、何かあったら困るのだ。

晴門を激しく叱責するシーンでは、信長の気性の激しさが露わになった。

また、将軍義昭の居城・二条城築城の際には、平気で石仏を割ってただの石として普請に利用する仏をも怖れぬその性格が光秀に何かを感じさせた。

つ・い・に・か・・・。

これらの示すところは、信長の性格上の問題、彼によるのちの比叡山焼き討ちだろう。

フラグは立った!

それにしても、染谷将太の演技はいい。

ヒゲもたくわえて貫禄も出てきた信長に、もう最初の頃の違和感はない。

どこから見てもワルの摂津晴門

幕府政所頭人として新登場の摂津晴門は、どうやら『麒麟がくる』の登場人物の中でも一番の悪役らしい。

今回からドラマに投入された「爆弾」だが、実は将軍義輝のころから仕えていた幕臣である。

表向きには織田信長に従順なフリをしながら、実のところは成り上がり者の信長を忌み嫌う役と、役者・片岡鶴太郎の演技がすごくしっくり。

鶴太郎はなかなか顔芸も達者で、今回は顔、特に目がアップとなったカットでは「曲者くせもの感」がアリアリだった。

とにかく良いところゼロの全方向的ワルらしい。

今までそんな嫌われキャラは登場してなかったけど、鶴太郎の演技と役柄がどこまで陰湿にストーリーをヒートアップしてくれるのかが楽しみだ。

そして明智光秀がこの男をどう扱うのか、その関わり方に注目したい。

 

麒麟がくる第二十八回 新しき幕府

『麒麟がくる』第二十八回「新しき幕府」は、「京~伏魔殿編」の一回目となった。

就任直後の将軍義昭の命が狙われ、悪役・摂津晴門も新登場。

幕臣として働き始めた光秀の周辺が騒がしくなってきた。

今回の感想の簡単なまとめ

① 祝!将軍の奉公衆として就職。明智光秀(十兵衛)が身綺麗になって出世した!

② 織田信長は本来のアノ性格が表面化か? 「問題アリ」のフラグが立ち始めたぞ

③ 『麒麟がくる』初の全方向型ワル・摂津晴門登場。ドラマを陰湿に盛り上げて欲しい

ドラマでは、信長のセリフに帰蝶が美濃に戻ってきた、というのがあったね。

そろそろ帰蝶に会いたいなぁ。

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku