法然・親鸞・日蓮よくわからない鎌倉仏教の概要を簡単に説明

 

学校で鎌倉時代を教わっていると、急に出てきたイメージのある鎌倉仏教

とにかく「○○宗」の開祖を暗記した、という思い出のある方も多いのではないでしょうか。

今回は鎌倉仏教とは何だったのか、

法然・親鸞・日蓮、各宗の開祖と特徴について簡単に説明します。

 

鎌倉仏教とは?

鎌倉仏教とは簡単にいうと、鎌倉時代、日本仏教界に起きた革新運動のことです。

実際には平安時代の末期から鎌倉時代の中期頃とされていますが、この時期がポイントです。

当時の時代背景

この頃の日本は戦乱と飢饉ききんが多く、治安が悪化。

例えば平安末期の保元の乱(朝廷内の対立に源平の武士たちが動員された戦い(1156年))や養和の飢饉、源平の争乱、

鎌倉時代には承久の乱(後鳥羽上皇が倒幕を図った乱のこと(1221年))、寛喜かんぎの飢饉や鎌倉では大地震などが起こっています。

 

そのため貴族や武士たち、そして庶民の間でも社会不安が増していました。

そういった世相に応えるべく、日本人を宗祖とする新しい仏教がつくられました。

これが鎌倉仏教といわれるものです。

目的は人々の救済にあった

このような背景から、新しい仏教がわざわざ作られたわけです。

ということは、それまでに存在していた仏教(以下、旧仏教)では、

人びとの不安に対応できなかったということですね。

それもそのはず、旧仏教はあくまでも国を守るためにあったからです。

 

これに対して鎌倉仏教は、民衆の救済のための仏教ということができます。

そこで鎌倉仏教には、誰もが行いやすい修行を一つ選び、それに専念するという

  1. 易行いぎょう
  2. 選択せんちゃく
  3. 専修せんじゅ

という特徴があります。

こういった理由もあり、鎌倉仏教は在家信者を多く獲得、発展していきました。

 

それでは鎌倉仏教の宗祖と、その宗の特徴を簡単に見ていきましょう。

浄土宗系

鎌倉仏教にも、いくつかのグループがあります。

それではまず、浄土宗系(念仏が「南無阿弥陀仏」)と呼ばれるグループについて説明します。

浄土宗の開祖・法然

浄土宗の開祖は法然ほうねんです。

法然は美作国(現在の岡山県)の武士の生まれです。

父の遺言によって仏門に入り、比叡山延暦寺(滋賀県大津市にある、天台宗の総本山。平安仏教の中心地でもあった)で修行を積みました。

 

その後「南無阿弥陀仏」をひたすら唱えれば救われるという、

専修念仏の教えを説き、浄土宗を開いています。

法然の教えは、京都周辺の貴族や武士たちを中心として広がりました。

しかし旧仏教側の勢力からにらまれてしまい、讃岐(現在の香川県)へと流罪になっています。

浄土真宗の開祖・親鸞

浄土真宗の開祖は親鸞しんらんという、法然の弟子です。

親鸞はもとは貴族の出身でしたが、やはり比叡山延暦寺で修行を行いました。

越後(現在の新潟県)に流罪となりますが、その後許されます。

そして東国を中心として、武士や農民たちの間に布教を行いました。

 

親鸞の教えは、武士や漁師など戒律かいりつを守れない人々こそ救われる、

という悪人正機説が有名です。

なお、浄土真宗は真宗や一向宗(一心一向に阿弥陀仏に帰依する(=一向専修)とが由来)などとも呼ばれることがあります。

時宗の開祖・一遍

時宗の開祖は一遍いっぺんです。

もとは伊予国(現在の愛媛県)の武士の生まれでしたが、母を亡くして出家。

全国を巡り歩き(=遊行ゆぎょう)、

  • 踊念仏:念仏を唱えながら、太鼓などに合わせて踊ること
  • 賦算:念仏が書かれた札を配ること

を広めました。

一遍は死ぬ直前、自身の著書をすべて焼き払ったと伝わっています。

禅宗系

次は坐禅ざぜんを行う、禅宗系と呼ばれるグループについてです。

臨済宗を伝えた栄西

臨済宗の開祖は唐の僧・臨済義玄りんざいぎげんです。

栄西は備中吉備津神社の神職を務める家に生まれました。

しかし比叡山延暦寺で学び、二度、宋へ行っています。

このとき日本に伝えたのが臨済宗です。

 

臨済宗の教えは、坐禅と公案によって悟りを得ること。

当初は旧仏教から圧迫を受けましたが、鎌倉・室町幕府からは保護されました。

そのため、京都や鎌倉などの武士層を中心に広まっていきました。

曹洞宗を伝えた道元

曹洞そうとうも日本生まれではありません。

公家出身の道元どうげんが宋に渡り、日本へ持ち帰ったものです。

やはり道元も旧仏教からの圧迫を受け、越前(現在の福井県)へと下っています。

そこで開いたのが永平寺という、有名なお寺です。

 

曹洞宗といえは只管打坐しかんたざ

ひたすら坐禅をすることで、悟りを得るという修行法です。

曹洞宗は地方の武士や農民たちの間に広がりました。

 

天台宗系(日蓮宗)

最後は天台宗系といわれるグループ(とはいえ日蓮宗だけ)について紹介します。

日蓮宗(法華宗)の開祖は日蓮にちれんです。

日蓮は安房国(現在の千葉県)の漁師の子として生まれました。

出家後は比叡山延暦寺でも修行をしています。

他宗を攻撃した日蓮は伊豆と佐渡に流されますが、その後も布教を続けました。

 

日蓮宗の教えは、「南無妙法蓮華経」という題目を唱えることによって救われるとしたもの。

日蓮宗は武士や商工業者たちの間に広がりました。

 

きょうのまとめ

今回は鎌倉仏教が生まれた理由と各宗について、本当に簡単にご紹介しました。

① 鎌倉仏教とは、社会不安が広がったために生まれた新しい仏教のこと

② 鎌倉仏教の目的は国を守るためではなく、人々を救うことだった

③ 浄土宗・浄土真宗・時宗・臨済宗・曹洞宗・日蓮宗などが生まれた

こちらのサイトでは他にも、日本の仏教にまつわる記事をわかりやすく書いています。

より理解を深めたい方は、ぜひお読みになってくださいね。

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