青木昆陽とオランダ語研究。そのころの世界情勢とあわせて

 

青木昆陽あおきこんようといえば、

サツマイモ栽培を普及させたことでよく知られております。

ただ、青木昆陽の功績はそれだけではありません。

一つは蘭学。

時は享保の改革真只中、その主導者である将軍徳川吉宗は青木昆陽に

オランダ語を学ばせます。

やがて、このことが後の日本に大きな影響を広げてゆくのですが。

さてさて、今回は青木昆陽と蘭学と当時の世界情勢とをチャンプルーにして紹介します。

 

篤実(とくじつ)に研究熱心な人となり

青子昆陽はもともと儒学者であり、

サツマイモ栽培と普及における働きぶりを認められて、

幕臣となります。

しかも、御書物御用達ごしょもつごようたしというお役目をいただきまして、在野の文書を集めたり、古文書の調査をしたり、しておりました。

 

青木昆陽のオランダ語研究

徳川吉宗という人は

財政を引き締めるだけでなく

開明な人で、国内に新たな産業を、商品を、という目論見があったのかもしれません。

洋馬や象をすでに日本に輸入したりしているような人です。

昆陽にオランダ語の習得を言いつけると、

昆陽はオランダ語通詞つうじ(幕府の通訳役人)に学び、

『和蘭文訳』

『和蘭文字略考』など

といった入門的なオランダ語習得書物を書き上げました。

 

青子昆陽の後を引き継ぐ者たち

それだけに成果はとどまりません。

昆陽にはオランダ語に一人の弟子がおりました。

前野良沢です。

この人はその後、杉田玄白らと一緒になってオランダ語の医書『たあへるあなとみあ』

を翻訳し、『解体新書』を書き上げます。

前野は杉田らの中にあって初歩的なオランダ語をもともと習得していた唯一の人材。

大変な戦力になったことは間違いありません。

そして、彼らの稀有けうな功績がさらに後の

高野長英や橋本佐内、福沢諭吉などへと受け継がれ、日本を大いに変えてゆきました!

 

そのころの欧米

私はここにおいて、世界に注目してほしいと思います。

そのころ、オランダは何をしていたのか?

それを取り巻く情勢はどうだったのか?

ヨーロッパでは大航海時代以来の旺盛おうせいな遠洋航海術と最新鋭の武装などによって世界を巻き込む植民地獲得競争大貿易社会へ!

おもいっきりグローバル社会ですね。

ヨーロッパは大国と大国がたがいに近くでひしめきあっていますから、

もうそれはそれは競争が熾烈しれつです!!

スペイン継承戦争、大北方戦争、オーストリア継承戦争、フレンチ・インディアン戦争、ポーランド分割……

そして、農業革命が起こり、人口は急増。

まもなく、産業革命なんてのもやってきます。

各地で人権思想が広がりを見せ、自由革命もボツボツと起こっております。

名誉革命アメリカ独立戦争……

日本は日本で地道な発展をとげておりますが、何かあちらはまた異質ですね。

さあ、その後から今へといたる日本の歴史を想像してみましょう。

そして、今の国際情勢と照らし合わせてもみましょう。

いろんなことが見えてきませんか。

 

海洋国家オランダの栄光と衰退

イギリスやフランス、アメリカよりもはるかに早く、市民が主役の社会を形成したオランダ

もともとの国土自体は狭く、海には開けておりました。

そして、彼らは長年の王政支配・旧教を実力で押しのけてゆく気概にもあふれております。

合理性、外へと出る意欲、たくみでしたたかな商業力、17世紀には世界に日の沈まぬ黄金時代を見せつけました。

特に香辛料などの豊富に採れる東南アジアから

銀や生糸、さらには独特に精巧な陶磁器を産するわれらが日本や中国などの東アジアにかけて

との交易においてはほかのヨーロッパ列強をも圧倒

あの、青と白と赤の横トリコロールが海上高くに翻然ほんぜんとはためいていたのです。

が、そんなオランダとてこの厳しすぎる列強の競争にいつまでも栄華を誇っていることはできませんでした。

イギリス、フランス、ロシアなどの台頭です。

植民地や交易権は彼らに着実にかすめとられてゆきます。

17世紀オランダの著名な写実画家ヨハネス・フェルメールがその絵に描いた世界地図はもはや塗り替えられようとしていたのです。

 

きょうのまとめ

19世紀の欧米を渡り歩いて明治日本にたどり着いた漂泊の文人

ラフカディオ=ハーン(小泉八雲)

はそんなどこまでも物質偏重で弱肉強食な世相をことのほか嫌っておりました。

それでいて私たちはそういった熱烈な進歩の絶大な恩恵を受け、一方で強大な覇権主義(個人などもふくむ)と隔絶して生きるのはものすごく難しいです。

そして、世界には日本と欧米以外に歴史がまだまだたっぷりあります。

① 青木昆陽は徳川吉宗にオランダ語の習得を命じられた

② 青木昆陽のオランダ語習得の成果を『解体新書』を編纂した前野良沢が継承し、その後の日本の蘭学への系譜へとつながっていった

③ そのころの欧米の競争と進歩は熾烈

こういう時代における青木昆陽のいろんな行いの意義とはどんなものでしょう。

 
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