歴史の授業で必ず習う、大化の改新。
古代日本の事件の中でもで有名な大化の改新ですが、
中心人物の中大兄皇子と中臣鎌足は、どのような関係だったのでしょうか。
今回は、出会いやエピソードを交えて二人の関係をご紹介します。
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そもそも、中大兄皇子と中臣鎌足とはどんな人?
初めに、中大兄皇子と中臣鎌足について簡単にご説明します。
中大兄皇子
後の天智天皇。
626年に舒明天皇の皇子として誕生。
弟に大海人皇子(天武天皇)がいます。
乙巳の変からはじまる大化の改新で、政治を豪族中心の政治から天皇中心の政治に転換しました。
663年の白村江の戦いで、百済(現韓国の一部)に援軍を出しますが、敗退します。
中臣鎌足
飛鳥時代の官人。
大化の改新以降、中大兄皇子の側近として、政治の中心で活躍します。
天皇となった中大兄皇子から、藤原姓を賜り、その後、隆盛する藤原氏の祖と呼ばれるようになります。
出会いから大化の改新のパートナーへ
飛鳥寺での出会い
聖徳太子の死後、豪族である蘇我氏の勢力が強くなります。
蘇我氏の権力は天皇を凌ぐ勢いになっており、蘇我氏の政治に不満をもっていた中臣鎌足は、蘇我氏打倒を密かに考えていました。
彼は、その中心人物を探し、優秀と評判の中大兄皇子に目をつけます。
そして、中大兄皇子と接近する絶好のチャンスが訪れました。
飛鳥寺の蹴鞠会です。
蹴鞠を楽しむ中大兄皇子の様子を、鎌足は伺っていました。
蹴鞠に夢中になった中大兄皇子の靴が、鞠を蹴ったタイミングで脱げてしまいます。
とっさに、鎌足は靴を拾い中大兄皇子に渡しました。
その時の中大兄皇子の丁寧な態度に鎌足は感激します。
ここから、中大兄皇子と中臣鎌足の関係が始まりました。
大化の改新
一方、皇子である中大兄皇子も、蘇我氏の政治の専横に危機感を募らせており、中臣鎌足と中大兄皇子はすぐに意気投合しました。
二人は遣唐使として唐で学んだ南淵請安の下で学問や政治について学び、親交を深めたそうです。
ついに二人は大臣の蘇我入鹿を倒すことを決め、蘇我入鹿の暗殺計画を立てました。
645年、天皇も出席する儀式の最中に暗殺は実行されました。
中大兄皇子が蘇我入鹿を斬りつけました。
中臣鎌足は弓を構えて控えていたそうです。
その後、入鹿の父親である蘇我蝦夷も自害に追い込み、蘇我氏を倒すことに成功しました。
これが「乙巳の変」です。
そして、二人は政治の中心となって、天皇が中心の中央集権を目指した一連の改革をはじめました。
また、初めて日本独自の年号を制定し「大化」としました。
乙巳の変から始まる、一連の政治改革のことを「大化の改新」といいます。
特別な信頼関係!二人のエピソード
女性の下賜(かし)
中大兄皇子は中臣鎌足に、二度も女性を下賜しています。
自分の妃であった鏡女王と、側室にと考えていた采女の安見児です。
采女とは各地の豪族によって天皇に献上された、特別美しい女性のことをいいます。
当時は、恩賞として女性を賜ることがあったようですが、それでも、自分の妃やお気に入りの女性を賜ることは、かなり異例のことです。
中大兄皇子にとって、中臣鎌足はそれほどに特別な臣下だったのでしょう。
感激した中臣鎌足は鏡女王を正妻に迎え、大切に扱いました。
また、采女の安見児を賜ったときは、こんな和歌を詠んでいます。
われはもや 安見児得たり 皆人の 得難にすといふ 安見児得たり
「安見児を手に入れたよ!皆が無理だと思っていた、安見児を手に入れた!」
安見児を手に入れたことと、自分は天皇(当時は皇子から天皇になっていました。)にとって、特別な臣下なのだという、二つの嬉しさを表現していると言われています。
大織冠と藤原姓
晩年、病に倒れた中臣鎌足を天智天皇は見舞いに訪れました。
病身でありながら、白村江の戦いの敗北に責任を感じている鎌足に、天皇は大織冠と藤原姓を授けます。
大織冠とは最高の冠位で、日本史史上、中臣鎌足の他に授かったものはいません。
その翌日に中臣鎌足は息を引き取りました。
その後、中臣鎌足は藤原鎌足と呼ばれるようになり、鎌足の子孫は藤原氏として繁栄を極めることになります。
きょうのまとめ
中大兄皇子と中臣鎌足の関係についていかがでしたでしょうか。
簡単にまとめると
① 飛鳥寺の蹴鞠会で出会った
② 南淵請安のもとで学びながら、親交を深めた
③ 蘇我氏打倒を決め、乙巳の変を成功させた
④ その後も大化の改新を二人で推し進める
⑤ 中大兄皇子は中臣鎌足への女性の下賜を二回も行った
⑥ 亡くなる直前に中臣鎌足は、中大兄皇子に大織冠という位と藤原姓を授かった
協力して蘇我氏を倒し、その後もパートナーとして日本の政治を変えた二人には、君主と臣下を越えた特別な絆を感じました。
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