麒麟がくる第三十七回「信長公と蘭奢待(らんじゃたい)」【あらすじ簡単まとめ】

 
 
※ネタバレあり
 
大河ドラマ麒麟きりんがくる』
 
第三十七話で描かれたのは、足利義昭や畿内の諸大名を退け、京の支配者となった信長の一幕。

大事を成した信長が望んだものは、歴代でもごく少数の者にしか認められていない、とある誉れでした。

信長の思惑に対し、光秀はまた疑念を募らせることに?

以下よりあらすじを辿ってみましょう!

 

麒麟がくる(第三十七話)のあらすじ

1573年3月、将軍・足利義昭(演:滝藤賢一)が織田信長(演:染谷将太)に挙兵します。

甲斐の武田信玄(演:石橋凌)は義昭の命を受け三河へと侵攻。

徳川・織田連合軍を下し、上洛へと確実に歩を進めていました。

武田・朝倉・浅井。

諸大名の加勢を取り付けての信長討伐は、いかにも義昭が優勢に思えたのですが…

今回は時の流れが完全に信長に味方をすることとなるのです。

室町幕府の滅亡

義昭vs信長の戦いは、信長の圧勝に終わります。

というのも、義昭の頼みの綱であった武田信玄が上洛の途上にて急死

大将を失った武田軍は、甲斐へと引き返さざるを得ない状況となってしまったのです。

それどころか、戦に参戦すると約束していたはずの朝倉、浅井さえも姿を現さない…。

皆、信玄不在という戦局を加味し、義昭を裏切ったということでしょうか?

ともあれ、なんの後ろ盾もなくなってしまった義昭は信長にあっさり捕らえられ、京から追い出されてしまうのでした。

240年続いた室町幕府は、このようにして、その歴史に終止符を打つこととになります。

朝倉・浅井との決着

義昭を京から追い出した信長の勢いはまだまだ止まりません。

続いて決着に踏み出したのは、京の覇権を巡り、兼ねてから睨み合ってきた朝倉浅井に対して。 

浅井の重臣が寝返ったという情報を耳にすると、信長はここぞとばかりに奇襲をかけるのです。

結果、浅井はもちろんのこと、越前・一乗谷で五代に渡り名をとどろかせた大大名・朝倉義景(演:ユースケ・サンタマリア)を下すことに。

さらに孤立していた松永久秀(演:吉田剛太郎)からも和解の要望が届き、京にて信長の地位を脅かす存在は皆無となります。

将軍なき京にて、信長による新たな世が築かれていく…。

時勢はそんな新時代の到来へと歩みを進めていきます。

蘭奢待の切り取りを望んだ信長

幕府や畿内の諸大名を下し、ある種の頂へと辿り着いた信長。

彼はその実感を得るべく、とある重要儀式を望みます。

それは東大寺正倉院にて、平安時代から納められている由緒正しき香木・蘭奢待らんじゃたいの切り取りでした。

蘭奢待はそれこそ天下における大事を成した者にのみ、所望が許される代物。

その一部を切り取って手元に置いておくことが許されたのは、歴代でも少数の将軍のみでした。

信長は東大寺や天皇の許しを得、その権利を手に入れます。

ところが、自身の功績にただただ酔いしれようとする信長に、光秀(演:長谷川博己)は思うところがあるらしく…。

 

麒麟がくる(第三十七話)の見どころ

ここからは今回の見どころを詳しく見ていきましょう!
 

ただただ悲しい公方様…

協力を取り付けた諸大名はこぞって上洛せず、信長に大敗を喫してしまった足利義昭

彼は処刑こそされなかったものの、京のはずれ、宇治・枇杷庄びわのしょうへと追いやられることとなってしまいます。

登場したのは、この枇杷庄で淋しく暮らす義昭を訪ねてきた(演:門脇麦)との一幕です。

駒がやってきた理由は、義昭からプレゼントされた虫かごを返すため。

トンボを捕まえて、ふたりで珍しがって喜んでいましたよね。

つまり思い出の品を返し、ふたりの関係もこれで終わりに…ということでしょう。

そういえば、義昭は信長との戦に駒から預かったお金を使っていましたが、もう返す宛てもなくなってしまったのでは?

いろいろ後味の悪い別れ方になってしまいましたね…。

と、それはまた別の話として、ここで問題になったのが、義昭がこの枇杷庄で何をしていたかです。

このとき義昭が書いていたものは、なんと信長討伐に向け、諸大名に再び協力を促す書状でした。

戦に負けて追いやられたと思えばまた戦。

そんな義昭の姿に駒が露わにしたのは、

「このまま戦を続けるなら、将軍をおやめください」

という悲痛な訴えでした。

上洛前、大和で駒が会った義昭は、それこそ戦とは無縁の僧。

毎日同じ時間に貧しい人たちに施しをし、

「自分にできることは限られている。仏には程遠い」

と言っていた、心優しき僧です。

「そのようなお方が将軍になられると聞いて、これからはきっとよい世の中になる、そう思いました」

と、駒は語ります。

それが今や戦、戦、戦…。

本来、義昭が望んだ治世はそんなやり方ではないだろうと、駒は訴えかけるのです。

ただ義昭自身、それが本意でないことは重々わかっています。

「睨み合う大名たちに和議を勧めても戦は止まぬ。幕府の旗のもと武家がまとまるよう働きかけても、戦は止まぬ!

これ以上、わしに何ができるのか答えは出ぬ。戦を終わらせるには、戦をするしかない」

という義昭。

彼は将軍という立場を得、理想だけでは何も変えられないこと、ときには望まぬ決断もしなければいけないことに気付いたのかもしれません。

以降も義昭は信長討伐を掲げ、諸大名への書状を書き続けることでしょう。

それが穏やかな世を作るために必要なことだと、彼なりに信じているのですから。

最後に義昭の言った

「わしは駒を欺いてしもうたのかもしれぬな…」

という一言が、いっそう重く響きましたね。

三淵藤英と光秀の複雑な関係

義昭の敗退をもって、将軍奉公・三淵藤英(演:谷原章介)も、信長のもとへ投降することとなりました。

実のところ、弟・細川藤孝(演:眞島秀和) は信長側についており、そのまま将軍に仕えた藤英とは、ちょっとした確執が生まれてしまいます。

忠義を誓った主君に最後まで尽くすのが正義か、時流を見極め、正しいと感じた者に従うのが正義か…。

三淵にも藤孝にも悪意はなく、これは価値観の問題

どちらが正しいというのも難しいですよね。

と、ここでそう感じていた筆者を代弁してくれるような光秀の一言を聞くことができました。

義昭と信長、どちらについてもおかしくなかった

三淵:「十兵衛殿、わしは負け、そなたは勝った。説得に応じたのはただひとつ、義昭さまのお命を助けていただけるかどうか…」

光秀:「私と三淵さまのあいだに勝ちも負けもございませぬ。あるのは紙一重の立場の違い…」

…そう、まったくもってそうなんです!

義昭にしても信長にしても、仕える身としては疑念を抱かざるを得ない部分が少なからずあります。

どちらを選ぶかというのは難しく、光秀が信長に付いたのもまさに紙一重の差だったのです。

最後まで義昭に尽くした三淵の気持ちも痛いほどわかる。

そんな光秀の気持ちを、このやり取りからは感じました。

三淵からのアドバイス

今回は三淵と光秀の関係を描いた場面がまだまだ登場します。

後半部分、三淵は自らの居城を取り壊され、光秀の坂本城に仕える身に。

かつては同じ幕臣として、同格の立場で相対していた人物の家臣になる。

…という、めちゃくちゃ複雑な感じになってしまうわけですね。

とはいえ両者の関係はギスギスするようなことはなく、三淵はここで、将軍の側近だったからこそできるアドバイスを光秀に送ります。

「主とはときに理解に苦しむ行動をするもの。そのときにこそ、どうつき従うか、そこが家臣の器。」

三淵の居城を取り壊したことも含め、信長の考えていることがよくわからないと悩んでいた光秀。

それに対し三淵の言葉は、主君に疑問を呈することができる家臣がいてこそ、事はうまく運んでいくと語っているようでした。

どんなに優れた主君でも、人間なら誰だって道を踏み間違えることがあります。

そこにストッパーをかけるのが、家臣の役目なのですね。

朝倉義景の散り際が意外と男らしい


義昭を追い払い、勢いを増す信長により、ついに滅亡の窮地へと立たされた越前・朝倉家。

越前編を見ていた人なら、朝倉義景(演:ユースケ・サンタマリア)のくせ者っぷりは周知のこと、彼がどんな最期を見せるのか、ある意味期待していた人も多いのでは?

義景といえば、揉め事を嫌い、とにかく他所の大名とは距離を置くことで自国を豊かにしていった人物です。

戦は得意ではないし、なんか情けない死に方しそうだなーと、個人的には思っていたのですが…その散り際が意外とかっこよかったんですよね!

越前へと攻め込んだ織田軍は一乗谷に火を放ち、追い詰められた朝倉義景は絶体絶命の状況に。

すると切腹用の刀を義景に差しだしたのが、朝倉家の重臣で義景の従弟にあたる朝倉景鏡かげあきら(演:手塚とおる)です。

「バカな!ここでわしが腹を切れば、100年続いた朝倉の名が絶え果てるぞ!」

そう言って義景は突っぱねるのですが、なんと景鏡は

「朝倉の名?この期に及んで…」

と、したり顔。

そう、景鏡は勝ち目がないと見るや義景を裏切り、信長方に寝返っていたのです。

義景が裏切りに気付いたときにはもう遅く、すでに居城を景鏡の家臣に取り囲まれている状態。

ただ…ここからの義景がかっこよかった!

無数の銃口を向け、自身を取り囲む家臣たちに対し義景が語った言葉は以下の通り。

「誰に筒先を向けておる。足利尊氏公から越前をあてがわれて以来、11代。一乗谷に本拠を構えて5代。

わしは朝倉宗家…朝倉義景じゃ!」

普通ならビビッて命乞いをするシチュエーションで、義景が語ったのは自らが守ってきた朝倉家の誇りでした。

光秀にとっては意地悪でいけすかない、とにかく金、金…という印象の主君だった義景。

しかしそれも考えてみれば、代々受け継いできた家系を守っていくためのことですよね。

報われた最期とは言い難いですが、少しでもいいところが見られてよかった!

蘭奢待を望む信長に対する光秀の思惑は…?


平安時代に中国から渡来し、以後、東大寺正倉院にて大事に大事に納められていた蘭奢待

これは伽羅きゃらというベトナム原産の香木で、現地でも数が少ないためめちゃくちゃ貴重な代物なのだとか。

この時代の日本にあることがまず奇跡といえるんじゃないでしょうか。

で、信長は今回、この蘭奢待の一部を切り取り、自身の手元に置いておくことを望みます。

堺の豪商・今井宗久いわく、蘭奢待はそれこそ、天下における大儀を成した者にしか見ることが叶わないといわれるほど神聖なもの。

しかし京を治め、ある種の頂に達した信長なら、その権利を得ることも容易い。

そう、宗久も語っていました。

蘭奢待の切り取りには、正親町天皇おおぎまちてんのうの許可も必要ということでしたが、天皇は今のところ、

「信長はうまく泳がせておけば使える」

という扱いのため、今回もすぐに許しを出していましたね。

ただ、この蘭奢待の切り取りに疑念を抱いたのが光秀でした。

京をようやく平定し、ここからどんな治世をしていくか、織田家一同は気合いを入れないといけないところ。

でも信長はただ自身の偉業に酔いしれようとしている。

なんか違うんだよなー…という感じ。

人から褒めてもらうために走る信長と、穏やかな世を作るために走る光秀の食い違いが、ここにきてまた登場しましたね。

宗久はこの光秀の疑念に対し

「あのお方は今、ご自身の値打ちを知りたがっている。人の値打ちは目には見えませぬ。しかし何か見える形でお知りになりたい。

見る景色が変われば人もまた変わる…」

と言っていました。

要するに覇者としての実感を得てこそ、わかってくることもあるということですよね。

それならたしかに、自身の偉業に酔いしれることも無駄にはなりませんが…。

蘭奢待を目の当たりにし、信長が今後の治世において考えを新たにするようなこともあるのでしょうか?

ちなみに、信長は切り取った蘭奢待の片割れを天皇に贈るのですが、この行動はあまりよくなかったみたいですね。

考えてみればたしかに、

「これ、あなたも見たことないですよね?僕は切り取りも許されたんですよ!」

と言っているみたいで、なんか失礼です…。

天皇は

「毛利輝元が所望していると聞いた」

といって、こともあろうに信長と敵対している毛利の元へこれを送ってしまうし…。

信長が知ったら、また一波乱あるかもしれませんよ?

 

麒麟がくる(第三十七話)のまとめ

足利義昭や畿内の諸大名を制圧し、京での覇権をほしいままにした織田信長。
 
この機に際して蘭奢待の切り取りを望んだ信長は、ある種ご褒美を求める子どものようでもありました。

ただただ、人からの誉れがほしい。

そういった動機の部分から光秀とはやはり食い違ってしまうわけですね。

それでも世の中を変えるために信長の行動力は欠かせません。

要は扱い方次第なのですが…光秀は今後どのように、信長を扱っていくのでしょう。

最後に今回のまとめです。
 

 
① 織田信長が足利義昭を返り討ちに。さらに覇権を争っていた朝倉・浅井を下し、京を平定する。

② 京を追われた義昭はそれでも、諸大名に信長討伐を促す書状を書き続ける。戦をするのは本意ではないが、信長を退けることでしか穏やかな世は作れないと信じているから?

③ 三淵藤英と光秀の関係が複雑…。ただ、義昭についた三淵の気持ちを光秀は理解し、三淵も光秀にアドバイスを送った。うん…複雑だけどいい関係!  
 
④ 蘭奢待の切り取りを望んだ信長に対し「これからどう世を治めていくかってときなのに…、偉業に酔いしれてる場合?」と疑念を覚える光秀。それも信長は褒められるため、光秀はおだやかな世を作るため…という動機の食い違いから。

さて、次回は信長の「丹波攻め」が幕を開けます。

幕府とのいさかいが終わり、いよいよ新章へ突入ですね!

朝廷を追われた近衛前久がどんな役回りで活躍するかも気になるところです。

 
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