麒麟がくる第三十四回「焼き討ちの代償」【あらすじ簡単まとめ】

 

※ネタバレあり

大河ドラマ麒麟きりんがくる』

第三十四話で描かれたのは、比叡山焼き討ちによって広まる信長の悪評、それに伴う幕府の動きでした。

大和における松永久秀vs筒井順慶の戦をきっかけにして、あわや断絶に持ち込まれるかと思われた幕府と信長の関係。

光秀はそれを阻止すべく奔走します。

以下よりあらすじを辿っていきましょう!

 

麒麟がくる(第三十四話)のあらすじ


1571年2月、織田信長(演:染谷将太)は朝倉・浅井家との戦において敵方についた比叡山延暦寺を急襲。

世にいう”比叡山焼き討ち”を決行します。

この戦で信長の危険性を思い知った将軍・足利義昭(演:滝藤賢一)は、政所頭人・摂津晴門(演:片岡鶴太郎)の進言で、幕府の方針を信長からの離反へと進めていくことに。

その第一手となったのが、大和における松永久秀(演:吉田剛太郎)と筒井順慶(演:駿河太郎)の戦において、幕府が筒井に味方するというものでした。

松永は義昭の上洛以来、織田方についた大名であり、筒井を攻略して大和の領地を占領する考えも、信長と相談のうえ決まったことです。

となれば、この戦で信長が味方するのは当然松永のほうで、幕府が筒井を援護すれば対立は必然。

上洛を支えた信長の恩義を表立って無下にすることはできないゆえ、幕府はあくまで他勢力の戦を理由に信長との縁を切ろうと考えたのです。

焼き討ちの代償として、ギリギリのところで保たれていた両者の関係が決裂へと足を進め始めたわけですね。

松永と筒井を引き合わせた光秀

大和の戦で幕府が筒井側につくという話を聞いた光秀(演:長谷川博己)は、

「信長と義昭の対立は絶対に避けねばならない」

と考え、比叡山の惨劇を悼みに京を訪れていた筒井のもとへ急ぎます。

このとき光秀が提案したのは、大和へ帰る前に、堺の豪商・今井宗久(演:陣内孝則)のもとで茶会に参加しないかというもの。

そう、この茶会には松永も招かれており、光秀はここで松永と筒井を引き合わせるのです。

こうして当人同士が直接話をすることになったものの、両者に和睦などする気は毛頭もありませんでした。

ただ…光秀の出した

「大和の代わりに、自分が信長から賜った近江の領地2万石を譲る」

という条件に、その気概を買った松永が納得。

無事、和睦が成立するに至ります。

信長は筒井に味方しようと考えていた?

光秀の機転により、義昭と信長の対立は寸前のところで食い止められました。

しかしそんな矢先、光秀は信長の口から信じられない考えを耳にすることになります。

なんと、信長は大和の戦において、松永ではなく筒井に味方をするつもりだったというのです。

その理由は

「幕府と対立して、京に戦火が起こると帝が悲しまれる」

というもの。

信長は比叡山焼き討ちのあとも正親町天皇おおぎまちてんのう(演:坂東玉三郎)に拝謁はいえつしており、その戦いぶりを

「大儀であった」

と称賛されたといいます。

しかし…天皇の内心は…?

そして比叡山を追い払われた天台座主てんだいざす覚恕かくじょ(演:春風亭小朝)は次なる大名を味方につけ、信長への復讐を画策します。

 

麒麟がくる(第三十四話)の見どころ

ここからは今回の見どころをさらに詳しく見ていきましょう!

信長の命に背いた光秀

今回の比叡山焼き討ちに際し、信長は山中に居合わせた者は女子ども関係なく

「皆、斬り捨てよ!」

と命を飛ばしました。

光秀はこれに思うところがあり、独断で女子どもを見逃す命を自陣に伝えます。

これはれっきとした命令違反。

高僧たちの居場所を突き止めたことから、光秀をこの戦の功労者と称える信長を前に、光秀はその場で命令に背いたことを告白します。

黙っていればわからないものを…実直な性格が表れていますね。

すると信長の口から出たのは

「それは聞かぬことにしておこう。ほかの者なら、その首はねてくれるところじゃ。山中に巣食う女子どもは、いずれ我らに牙をむく」

という言葉でした。

光秀のこの報告には

「抵抗しない者まで殺すのは度が過ぎている」

という密かな抗議の意味もあったと思うのですが、信長はそのやり方をひとつも悔いる様子はなく…。

ただただ、比叡山を壊滅に追い込んだ家臣たちを

「大儀であった!」

と満面の笑みで誉めそやすのでした。

光秀はこの戦で近江・志賀群に2万石の領地を賜ることとなりますが、その心中はさぞ複雑なものだったはず…。

怒れる将軍・足利義昭

比叡山焼き討ちの残り火は京にも届いており、足利義昭の住む二条城にも多数の負傷者が運び込まれていました。

惨状を目の当たりにした義昭は、

「何故この戦を止めようとしなかった!信長は何をしでかすかわからぬ男ぞ!」

と、奉公の三淵藤英(演:谷原章介)や摂津晴門を怒鳴りつけます。

「これを見て京の者が何と言うかわかるか?幕府は信長の言いなりで叡山滅亡の片棒を担いだ。

仏法の明かりが消え、世に闇が訪れるのは幕府が無能ゆえじゃと!」

…とも。

これに意見したのが摂津です。

「かかるありさまを招いた一因は、我らが皆、織田にはっきり物申せぬところにあろうかと存じます。公方さまが上洛を成就させてくれた大恩人と仰せらるるお方ゆえ、我らにも遠慮というものがござります」

散々裏で織田家排除の手ぐすねを引いておきながら、何が遠慮だと聞いて呆れますが…

この流れから、摂津は幕府が完全に織田家から離反することを提案するのです。

摂津の提案は以下の通り。

松永と筒井の戦において、織田方の敵である筒井に味方すれば、その立場をはっきりさせられる

近隣の大名たちは信長のような田舎大名に頭を下げたくないゆえ、幕府の味方につく

このようにして織田家と対立しても、幕府が負けることはないといいます。

すっかり頭に血が上ってしまった義昭はこの策略に同意することに。

ある意味、幕府の権限を握る義昭が善人であることは、織田家の排除を目論む摂津にとって課題でもありました。

今回で争いを好まない義昭を完全に絡めとり、摂津の思うままに事を進められるようになったというわけですね…。

「焼き討ちの代償」は光秀の次女・玉をも襲う

比叡山焼き討ちの後日、 光秀はその無残な戦の様子を夢に見てうなされることになります。

戦場には、なぜか長女・岸と次女・玉の姿が…。

ふたりが危機にさらされるこの夢は、ある種虫の知らせのような、災難の前触れでした。

標的となったのは次女の玉

南国からやってきた珍しい鳥が見たいと、家臣の藤田伝吾(演:徳重聡)に連れられ、市場を訪れていた玉に、民衆から石が投じられるのです。

信長の言った”山中に巣食う者の牙”とは、このことだったのでしょうか…。

「明智光秀!鬼!比叡のお山で何人殺した!」

罵声と共に投げられた石で、玉は頭を負傷し、医師・望月東庵(演:堺正章)のもとへ運ばれることに。

駆け付けた光秀は

「悪いのは父だ。父が叡山で戦をしたからだ。そなたをそのような目に遭わせたのも父だ」

と詫びます。

すると玉が返したのは…

「母上がおっしゃいました。父上はやむを得ず戦をされている。悪いのは戦だと」

という言葉。

また

「伝吾をしからないでください。私が市場へ連れて行ってとせがんだので…」

とも。

年端のいかない子どもの言葉とは、とても思えません…。

光秀は幕府の仕事で忙しいので、熙子ひろこ(演:木村文乃)の教育がよほどいいのでしょうか?

ともあれ、比叡山から難を逃れて逃げ延びた人々によって、信長の悪名は確実に広まりつつあるのでした。

玉の健気さが、よりその深刻さを際立たせることとなりましたね。

松永と筒井の和睦交渉

玉の一件で東庵のもとを訪れた光秀は、医師助手・駒(演:門脇麦)から

「大和の戦で幕府が筒井順慶につこうとしている」

という話を耳にします。

それをきっかけに幕府と織田家が対立するようなことがあれば、それこそ大惨事。

光秀は和睦の交渉すべく、京を訪れていた筒井の元を訪れます。

しかし筒井は、

「父祖以来の地に踏み込む松永を放ってはおけません」

と、和睦交渉には断じて応じないつもり。

そこで光秀が考えたのは、松永と筒井を引き合わせ、直接交渉をさせることでした。

こうして堺の今井宗久の茶会にて、相まみえることとなった両者ですが…

兼ねてからいがみ合っている以上、そうやすやすと話が進むことはありませんよね。

えき(中国の占い)を用いて戦の行く末を占う松永は、光秀にその結果を聞かれ

「敵を目の前にして、教えるわけにはいかん。のう、順慶」

と、筒井を威嚇。

そして

「この茶入れを千貫で買うというなら教えてやる」

と、いいところ十貫ほどの値打ちしかない壺を筒井に差し出します。

筒井も価値を見抜く目を持ち合わせており

「十貫ならば」

…と、緊張感の伝わるやり取りを展開。

松永が以前、信長に渡した茶入れの壺が千貫の値打ちものだったことも順慶は知っており、信長が松永に味方するのは、松永が媚びているがゆえだとも言いたげです。

本題には触れずとも、両者一歩も引かない様子が描写されていましたね。

松永を納得させた光秀の男気

このように、平行線を辿るかに見えた松永と筒井の和睦交渉ですが、光秀が松永にある提案をすることで事態は進展を迎えます。

松永が筒井と争っていたのは、戦の報酬として奪った領地を与えると信長から約束されていたゆえです。

その動機に対し、光秀は

「私が信長さまから拝領した志賀をお譲りいたします。石高は2万石。それでいかがでございましょう」

と申し出ます。

この提案には、さすがの松永も

「本気か!?」

と声を荒げていましたね。

戦国時代の所領というのは、武士の財産そのもの。

要するに光秀は

「信長が約束した報酬分を、私の自腹で払うので戦するのやめてもらえません?」

と、交渉したわけです。

戦を辞めさせたいという光秀の想いに私欲は一切なく、その男気を買った松永は和睦に応じることにします。

このあと松永は近江の領地には手をつけず、あくまでも光秀の心意気に動かされたことを物語っていました。

いずれにせよ、幕府と信長は袂を分かつ…?

光秀の男気により、今回は和睦交渉に応じた松永でしたが、その戦を断行しようとしていたのは彼自身、

「幕府と信長はいずれ袂を分かつ」

と考えているためでもあったようです。

義昭は神仏を尊び、信長は神仏を焼き滅ぼす

その性質から、相容れないことは必然であり、今回の対立を抑えたところで結果は同じであると…。

そして、光秀は信長のやり方に疑問を抱いているものの、そうしなければ世の中が変わらないと葛藤していることも、松永はお見通しでした。

松永は序盤からずっとキーパーソンでしたし、いつも状況の見定め方が鋭いですよね。

悪役として描かれることが多かった人物ですが、近年の研究ではそうとも言い切れないとされている松永久秀。

今作にはそういう部分もよく反映されているように感じます。

筒井順慶につこうとした信長の思惑・天皇の内心

驚かされたのが、信長がまさかの筒井順慶の味方につこうとしていたという話。

これ、松永さんが聞いたらそれこそ激怒しますよ…。

それもこれも、幕府との対立を避けるため、やむを得ないという理由だったのですが、

信長のこの立ち回りは幕府というよりも、正親町天皇おおぎまちてんのうのことを考えてのことでした。

上洛をなし、天皇から「当代一の武将」と称された信長は

「帝の仰せになることは万事重く、胸に届くお言葉じゃ」

と、もう天皇に首ったけ。

京で争いが起これば天皇が悲しむからと、筒井につくことも決めたといいます。

比叡山焼き討ちにしても、言ってしまえば京で幅を利かせている覚恕を追い払い、天皇に褒めてもらうため。

公家たちも覚恕に領地を奪われて困っているという話でしたしね…。

そう、信長はとにかく、自身の功績を褒めてくれる人が大好き。

そのためには手段を選ばないし、なんとしてでもやってのけるのです。

その様子を天皇も

「信長のほかに、誰があの覚恕を追い払うことができたであろう。覚恕は有り余る富で大名を従え、この都を我が物にせんとしたではないか」

と評していました。

しかし今回の焼き討ちには、さすがに思うところもあるらしく…

「褒めてほしそうだから、褒めてやった。しかし、まことを申さば無残な戦じゃ…」

という本音も漏れていましたね。

比叡山焼き討ちによって大幅に変わりつつある信長への世間の見方は、天皇にも確実に影響を及ぼしつつあるのでした。

覚恕が味方につけた新たなる大名とは


信長によって比叡山を追われた覚恕が逃れた場所は、甲斐国かいのくに

大名・武田信玄(演:石橋凌)のもとでした。

信玄は

「信長は仏法の火を消した鬼じゃ!覚恕さま。憎き信長を、この信玄が討ち滅ぼしてご覧に入れまする!」

と、信長への明確な敵意を示し、のちの戦況を予感させます。

そういえば武田は幕府からも上洛を促されていましたよね。

やはり覚恕や摂津らが企てる織田家排除の企ては、各地の有力大名の力を得て着々と推し進められていたのです。

このシーンで映し出されたのは、武田のトレードマークである赤備えの甲冑。

「甲斐の猛虎」と称されるその強さを彷彿とさせていました。

流れからいけば、武田の動きを危惧していた徳川家康(演:風間俊介)がまずはその軍勢と対峙することになりそうですが…この戦いがどのように描かれるのか…。

 

麒麟がくる(第三十四話)のまとめ

比叡山焼き討ちにより広まった信長の悪名は幕府との関係を如実に悪化させました。

また光秀や松永にしても、今回のやり方には動揺を隠しきれない様子。

なにより、甲斐の武田が動き出したことが、この一件の影響力を物語っていますね。

ただ…松永が

「これができればわしも天下を取っていた」

と信長を評したように、戦国の世を治めるには今回のような残酷さが必要となる場面もあるのでしょう。

それをやらねば、世を平らかにはできないのか…?

信長から重用されながらも、疑問を抱く光秀の葛藤に胸が痛みます。

最後に今回のまとめです。

比叡山焼き討ちで足利義昭が激怒。信長との関係を切るために、大和の戦で筒井の味方となるよう、摂津晴門が進言する。

織田家の敵である筒井側につく幕府の意向を知った光秀は、織田と幕府の対立を避けるため、筒井と松永の和睦交渉に奔走。松永に2万石の領地を差し出した男気により、交渉はまとまることに。

実は信長は幕府との対立を避けるため、筒井の味方をしようと考えていた。理由は京で争いごとをして天皇を困らせたくないから。天皇は覚恕を追い払ったことを褒めたが、信長の戦のやり方には疑問も…?

覚恕が逃れたのは甲斐国。甲斐の猛虎・武田信玄が信長を標的にする!

さて、幕府と織田家の対立が如実になっていくなか、次回予告では光秀がどちらにつくか、決断を迫られるような描写がありました。

幕臣として、将軍に忠義を誓ってきた光秀ですが…その心はどのように動かされていくのでしょう…。

 
目次に戻る ▶▶
 

 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 










合わせて読みたい記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

4 × five =