思い込みを排除せよ!フランシス・ベーコン「4つのイドラ」

 

16世紀後半から17世紀の前半にかけて活躍したイギリスの哲学者、

フランシス・ベーコン

「知識は力なり」という有名な言葉と共に人々に記憶されている彼は、学問の体系化を目指し後の思想家たちにも大きな影響を与えました。

そんな彼の代表的な思想の一つに「4つのイドラ」というものがあります。

学問を通して真実を追求するのに欠かせないこの考えには、普遍的で人間の本質を突くものがあります。

そこで今回はこの「4つのイドラ」について、その中身を一緒に紐解いていきましょう。

 

「イドラ」とは?

まずは、そもそも「イドラ」とは何なのかということについて。

この言葉の原型は、ラテン語のイドルム。

「心象」や「偶像」を意味するこの単語の複数形が「イドラ」になります。

フランシス・ベーコンの4つのイドラについて捉えるうえでは、「思い込み」「偏見」という解釈が一番適切です。

つまりイドラとは思い込みや偏見のことだと思っていただければ、彼の思想を理解しやすくなります。

 

フランシス・ベーコン 「4つのイドラ」

ここからは早速、フランシス・ベーコンの唱えた「4つのイドラ」についてご紹介していきます。

市場のイドラ

まずは「市場のイドラ」言語情報による偏見(思い込み)について。

人は噂話や人から聞いた話を、そのまま鵜呑みにしてしまうことがあります。

自分で実際のところを確かめることもなく、聞いたことをそのまま信じて思い込む。

この状況が創り出す偏見を、フランシス・ベーコンは「市場のイドラ」と名付けました。

確かに、市場には昔も今も多くの物や人が集まり、それに伴ってあらゆる情報が飛び交いますね。

洞窟のイドラ

次に「洞窟のイドラ」、これは個人的偏見(思い込み)について。

それぞれに全く異なった人生を歩んできた人間が、それぞれに身に着けた価値観判断基準で物事を決める。

傍から見れば違和感を覚えることでも、当人にとってそれが生まれたときから続くことであれば、それはその人にとって当たり前のことになります。

フランシス・ベーコンはこれを狭い洞窟に例え、「洞窟のイドラ」と名付けました。

劇場のイドラ

第3に「劇場のイドラ」権威ある者の伝統的な思考からくる偏見(思い込み)です。

権威ある者と言うのは、学者や医者、専門家等、「先生」が付くような人々。

そしてもっと身近なところで言えば、親や祖父母などが当てはまります。

この様な最もらしい人々から言われることは、自身もその道に詳しくない限り、そういうものなのだと思い込む傾向があります。

しかし実際には、その人に権威があることと、その事柄が必ず正しいかどうかはイコールではないのです。

フランシス・ベーコンはこれを「劇場のイドラ」と名付けました。

種族のイドラ

そして最後に「種族のイドラ」種族からくる偏見(思い込み)です。

種族と言うのはつまり人間

人は、そもそもこの「人間」という枠の中でしか物事を判断できない生き物なのです。

人間として生まれてきた地点で、ここから脱出する術はありません。

例え動物や虫、植物など自然界の生き物のことを思って行動しても、そこには必ず人間としての思い込みが介在します。

どう頑張っても動物の聴覚や嗅覚に敵わないように、人間は人間の感覚しか持ち合わせていないのです。

これを「種族のイドラ」と言います。

 

真実を探求

ここまでフランシス・ベーコンの提唱した4つのイドラを一緒に見てきました。

ご理解いただけたでしょうか。

しかしそもそも何故彼は、この思想を提唱するに至ったのか。

そこには、彼の時代まで続いてきた哲学に対する疑問が関係していました。

古代ギリシャが出発点となった哲学は、フランシス・ベーコンの時代まで、いわば自身の力を誇示する道具となっているところがありました。

誰かの意見を論破することに躍起になって、地位や名声を得るために競ったり。

ひとつの事柄をわざわざ理屈っぽくややこしくしてそれらしく発表しては、ドヤ顔をしたり。

真実を探求するための高尚であるはずの学問が、本来の目的からズレてしまっていたのです。

このことに危機感を覚えたフランシス・ベーコンは、誰かの発言や思い込みに頼ることなく、観察や実験によって事実を見極めることを世に説いたのです。

そこに用いたのが、この「4つのイドラ」でした。

 

きょうのまとめ

今回は16世紀から17世紀にかけて活躍したイギリスの哲学者、フランシス・ベーコンの「4つのイドラ」についてご紹介してきました。

いかがでしたか。

新たな学びを得られたでしょうか。

最後に、ご紹介した内容を簡単にまとめると

① 「4つのイドラ」はイギリスの哲学者フランシス・ベーコンが唱えた哲学思想である。

② 「イドラ」とは、思い込みや偏見を意味する。

③ フランシス・ベーコンはイドラを提唱することで、真実を導くための観察や実験の大切さを説いた。

フランシス・ベーコンが唱えたイドラ。

この考えは、あらゆるところで応用の効く普遍的な思想です。

頭のどこかに入れておくだけで、視野が広がり柔軟な考えをもって判断ができそうですね。

 

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