後醍醐天皇が吉野へ逃走!なぜ朝廷が二つになってしまったの?

後醍醐天皇

 

現在、「天皇」と呼ばれる人は何人いるでしょうか?

答えはもちろん一人です。

ですが日本史上、同時に二人の天皇が存在していた時代がありました。

それが「南北朝時代」です。

今回は南北朝時代がどのように始まったのか、わかりやすく紹介していきます。

 

南北朝時代とは

文観開眼『絹本著色後醍醐天皇御像』(清浄光寺蔵、重要文化財)
出典:Wikipedia

いわゆる南北朝時代とは、1336年から1392年までの57年間を指します。

この間、朝廷が二つ存在するという異例の事態となりました。

一つ(南朝)は現在の奈良県・吉野、もう一つ(北朝)は現在の京都にあったため、

それぞれの位置関係から南北朝時代と呼ばれています。

 

二つの朝廷は様々な勢力の支持を受け、抗争を始めます。

そして争いは全国に広がり、「南北朝の動乱」と呼ばれる内乱が繰り広げられました。

さらに二つの朝廷は、それぞれが天皇を立てます。

下記を見てもらうとわかりますが、同時期に天皇が二人存在していますよね。

【参考】南北朝時代の天皇

<南朝>

  1. 後醍醐天皇(1318~1339)(第96代)(※1)
  2. 後村上天皇(1339~1368)(第97代)
  3. 長慶天皇(1368~1383?)(第98代)
  4. 後亀山天皇(1383?~1392)(第99代)

※1 歴代天皇としてカウントされるのは、南朝側の天皇です。

<北朝>

  1. 光厳天皇(1331~1333)
  2. 光明天皇(1336~1348)
  3. 崇光天皇(1348~1351)
  4. 後光厳天皇(1352~1371)
  5. 後円融天皇(1371~1382)

 

もう、めちゃくちゃですね。

ですがこんな状況を生んだのは、後醍醐天皇自身だったのです。

 

後醍醐天皇が吉野に朝廷をつくるまで

平安時代以降、天皇は京にいるものです。

にもかかわらず、後醍醐天皇は吉野に移って南朝を開きました。

それでは、なぜ後醍醐天皇がこんな行動に出たのか、その理由を順を追って見ていきましょう。

「建武の新政」の失敗

鎌倉幕府に不満を持っていた後醍醐天皇は、倒幕を企てます。

その詳しい理由については、下記の記事をお読みください。

 

後醍醐天皇の願いは、足利尊氏・新田義貞・楠木正成といった武士たちの活躍によって成し遂げられます。

そして後醍醐天皇は自ら政治を行おうと、「建武の新政」を始めました(1333年)。

ですが「建武の新政」のやり方は武士たちの反感を買っただけでなく、社会までも混乱に陥れてしまいます。

ここら辺の事情をもっと詳しく知りたい方は、下記をお読みください。

 

 

足利尊氏との対立

そんな中、足利尊氏が動きます。

中先代の乱(※2)を鎮めるため、建武政権の許可なく鎌倉へと向かったのです。

※2 鎌倉幕府再興のため、北条時行(幕府の権力者であった北条高時の子)が起こした乱のこと(1335年)。

乱を鎮めた後、建武政権は帰ってこいと命令を出しましたが、尊氏はこれを拒否

建武政権に反旗を翻した尊氏は、後醍醐天皇に忠誠を誓う楠木正成や新田義貞らと、各地で戦いを繰り広げました。

 

そして足利尊氏はついに京都を占領し、光明天皇(※3)を擁立します(1336年8月)。

※3大覚寺統の後醍醐天皇に対し、光明天皇は持明院統。兄は後醍醐天皇によって廃された光厳天皇。

渡した三種の神器は偽物?

一方後醍醐天皇は比叡山に逃れ、三種の神器(※)も尊氏側に引き渡しています。

※皇位のしるし。八咫鏡やたのかがみ草薙剣くさなぎのつるぎ八坂瓊曲玉やさかにのまがたまの三つ。

しかし後醍醐天皇は、渡した三種の神器は偽物であるとして、自身の皇位の正統性を主張。

その年の12月には吉野に逃れ、南朝を開きます。

その後、室町幕府第3代将軍・足利義満の仲介によって三種の神器が北朝側に戻るまで、

南北朝はおよそ半世紀、対立を続けたのでした。

 

きょうのまとめ

今回は後醍醐天皇が南朝を開いた経緯について、簡単に紹介しました。

① 南北朝時代は天皇が同時期に二人存在し、全国で内乱が繰り広げられていた

② 後醍醐天皇と対立した足利尊氏は、京都で光明天皇を擁立した(北朝)

③ 吉野に逃れた後醍醐天皇は、自らの皇位の正統性を主張した(南朝)

こちらのサイトでは他にも、後醍醐天皇にまつわる記事をわかりやすく書いています。

より理解を深めたい方は、ぜひお読みになってください。

 
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