夏目漱石の小説『こころ』を読んだことはありますか?
学生時代に読んだ(読まされた)という方も多いのではないでしょうか。
作品中には多くの人が共感できる名言があふれています。
もう忘れてしまった方も多いかもしれませんが、
今回はそんな名言たちをご紹介していきます。
『こころ』とは
長編小説『こころ(こゝろ)』は、夏目漱石の代表作の一つです。
小説の中にも出てくるのですが、この作品は乃木希典の殉死(※)に影響を受けています。
書生であった語り手の「私」と、世間とは距離を置いて暮らしていた「先生」。
「先生」は過去の出来事をきっかけに、厭世的な人間になってしまったのです。
かつて先生に何があったのか。
その答えは本の後半に書かれています。
そして明治天皇の後を追って殉死した乃木希典のように、「先生」も「明治の精神」に殉死するのです。
私は久しぶりに『こころ』を読んでみました。
学生時代、夏休みの課題として出されたので仕方なく読んだことがあります。
正直に言うと、その時はストーリーを追うのに必死で、作品を味わうことができませんでした。
ですがこの年になると(あえて伏せておきます……)、心にグッとくる表現が多いことに気が付きました。
『こころ』の名言
それでは、私が個人的に感動した『こころ』の名言をいくつか紹介していきます。
いずれも「先生」が「私」に向けて放った言葉です。
若さについて
学生時代を振り返ると、誰かと一緒にいたいという願望が少なからずあったことを思い出します。
そのために、何かに働きかけたりすることもあったように思えます。
若いうちほど淋しいものはありません。
(出典:夏目漱石『こころ』以下同様)
目的物がないから動くのです。あれば落ち付けるだろうと思って動きたくなるのです
恋愛について
いい年をした私ですが、いまだに恋愛はよくわかりません。笑
ですが夏目漱石の美しい表現を目の当たりにすると、なるほどなと思うのです。
香をかぎ得るのは、香を焚き出した瞬間に限るごとく、酒を味わうのは、酒を飲み始めた刹那 にあるごとく、恋の衝動にもこういう際どい一点が、時間の上に存在しているとしか思われないのです。
こういう嫉妬は愛の半面じゃないでしょうか。私は結婚してから、この感情がだんだん薄らい で行くのを自覚しました。その代り愛情の方も決して元のように猛烈ではないのです。
人間について
私が『こころ』を読んでいて、特に共感したのが以下の二つです。
かつてはその人の膝の前に跪いたという記憶が、今度はその人の頭の上に足を載せさせようとするのです。私は未来の侮辱を受けないために、今の尊敬を斥けたいと思うのです。私は今より一層淋しい未来の私を我慢する代りに、淋しい今の私を我慢したいのです。
悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな 普通の人間なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。
その通り! と持った方も多いはず。
これを機に、久しぶりに『こころ』もう一度読んでみませんか?
あの頃にはわからなかった価値も、今なら理解することができるはずです。
きょうのまとめ
今回は夏目漱石の『こころ』に出てくる名言などについて簡単にご紹介しました。
② 乃木希典の殉死の影響を受けて書かれた作品である
③ 作品中に出てくる「先生」の言葉の意味は、人生経験を積むほど理解できるようになる
こちらのサイトでは他にも、明治時代に活躍した人物についてわかりやすく書いています。
より興味を深めたい方は、ぜひお読みになってくださいね!
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