遷都しまくったり、大仏をつくったり……。
何かとお金を使って財政を悪化させてしまった聖武天皇ですが、文化には大きく貢献しました。
そこで今回は、聖武天皇の時代に栄えた天平文化について紹介します。
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聖武天皇の天平年間に栄えた文化
天平文化とは奈良時代の文化のこと。
聖武天皇の天平年間(聖武天皇の在位期間の元号は、神亀・天平・天平感宝の3つが存在)に栄えたことから、こう呼ばれています。
天平文化の特徴
よくいわれる天平文化の特徴としては、
- 国際色豊か
- 貴族中心
- 仏教的
などが挙げられます。
聖武天皇の時代なので、貴族中心・仏教的ということは直観的に理解しやすいですね。
一方国際色豊か、というのは唐(現在の中国)を介して、
インドやペルシアなどの文化も受け入れていたということです。
当時派遣されていた遣唐使によって、そういった文化がもたらされました。
さて、一口に文化といっても、様々な分野がありますよね。
文学、学問、美術、建築……。
以下では特に、その時代の宝物が保管されている、
東大寺の正倉院について紹介していきます。
当時の宝物が眠る東大寺正倉院
東大寺の正倉院とは「奈良の大仏さま」がいらっしゃる大仏殿の、北西にある木造の建物のことをいいます。
正倉院も大仏殿と同時期につくられたもので、天平文化を代表する建築様式・校倉造り(三角形の木材をくみ上げて壁とする方法。)です。
東大寺の正倉院には聖武天皇の遺愛品など、天平文化を代表する作品が収められています。
そのほか、東大寺に関する文書や大仏開眼会に使われた仏具なども所蔵されています。
東大寺正倉院は1997年に国宝に指定され、その翌年には世界遺産にも登録されました。
現在は宮内庁の所管となっていますが、宝物の一部は毎年秋になると、「奈良国立博物館」で一般公開されます。
気になる方はチェックしてみてくださいね。
なお奈良国立博物館・東新館入口に書かれた
という文字は、
聖武天皇が書いた文字を一つ一つ拾ってきて、組み合わせたものです。
達筆ですよ!
正倉院にまつわる後世のエピソード
さて、まさに国の宝である正倉院宝物には、こんな驚きのエピソードもあります。
権力の象徴・蘭奢待
蘭奢待とは香木、つまり良い香りのする木ですね。
と書くとありがたみがなさそうですが、東大寺の正倉院に眠る蘭奢待(正式には黄熟香といいます。蘭奢待は雅名で、「東大寺」という文字が隠されています。)は
「天下第一の名香」と呼ばれるほどの名品です。
国宝どころか、伝説の香木ともいわれています。
そんな蘭奢待を削ったと伝わる人物は、結構いるのです。
例えば、
- 足利義満
- 足利義教
- 足利義政
- 織田信長
- 明治天皇
らが切り取ったと伝わっています。
蘭奢待は権力者のみが切り取ることのできる、いわば権力の象徴。
特に織田信長は、時の正親町天皇と対立してまで、切り取りの許可を得たそうです。
なお、蘭奢待は50回以上切り取られた跡が残っているそう。
伝説の香木なのに、削られすぎではないでしょうか……。笑
明治時代まさかの宝物流出
東大寺正倉院は勅封といい、天皇の許可なく開くことができない決まりになっていました。
ですが幕末や明治時代になると、なぜか正倉院に収められている宝物に増減がみられるようになります。
あの明治の元勲・伊藤博文も、正倉院の宝物を取っていたのではないか、という疑惑があります。
明治18年、当時の宮内卿であった伊藤博文は正倉院の宝物を拝観し、宝剣を東京へと持ち帰っています。
宝剣は天覧に供されて返却されたのですが、数が数本合わないそうです。
伊藤博文は愛刀家として有名だったので、もしや……という疑いがあります。
さらに大久保利通も勅許を得て、染織品類を殖産興業のために頒布していたといいますから驚きです。
これらはまだ、出所がわかるから良いほうです。
なぜか民間人が正倉院の宝物を所蔵しており、それらが本人が亡くなったあとに出てきたため、
世間を騒がせたこともありました。
きょうのまとめ
今回は、聖武天皇の遺品などが納められた「東大寺正倉院」などについて、簡単にご紹介しました。
② 東大寺の正倉院には天平文化の宝物が数多く収められている
③ 伝説の香木・蘭奢待は、時の権力者たちによって削り取られてきた
④ 明治時代頃、なぜか正倉院の宝物が民間にまで流出していた
こちらのサイトでは他にも、聖武天皇にまつわる記事をわかりやすく書いています。
より理解を深めたい方は、ぜひお読みになってくださいね。
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