「白河の 清きに魚も 住みかねて もとの濁りの田沼恋しき 」
とは、当時松平定信の主導していた政治改革を歌ったものです。
白河とは陸奥白河藩主の松平定信のこと。
田沼とは松平定信以前に幕府の政治を中心的に取り仕切っていた田沼意次のことです。
タカラ〇カではございませんが、
「清く!正しく!美しく!」
大のマジメ政治家松平定信の寛政の改革をここにふりかえってみましょう。
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若いエリート政治家松平定信
松平定信はあの名君徳川吉宗の孫です。
そして、早熟の優等生!
陸奥白河藩主松平定邦の養子に入り、
特に東北地方に猛威をふるった天明の大飢饉で、
なんと藩内に一人も餓死者を出さない、
というものすごい成果を残し、
鳴り物入りで老中首座(今でいう総理大臣のようなもの)・将軍輔佐に任命されます。
この時、定信まだ28才!
寛政の改革の始まりです。
田沼意次のやり方が気に食わない!
それ以前の幕府を取り仕切っていたのが田沼意次です。
松平定信はこの田沼のやり方がことごとに気に入りません。
プライベートの恨みもあったのかもしれません。
その上、田沼のやり方は定信的にまったく
「清く!正しく!美しく!」
ありません。
お金や商業をやたらと重んじ、コメや農業をないがしろ。
おかげでわいろがはびこり、綱紀ゆるゆるでなんかチャラい!
さらには、農地荒廃で天明の大飢饉の被害が深刻すぎる!
定信の
「にごり沼クリーンアップ大作戦」
(当時はそういっておりません)
が始まります。
寛政の改革の内容
株仲間といえば田沼の代名詞。
それだけでなく、専売制など。
一部の商人に特権を与え、替わりに幕府の税収を上げる、
というのが田沼政策の柱です。
おかげでその特権にあずかりたくて、
政府の要人などに
「どうぞよしなに」
と、わいろを渡すのが横行!
定信、
「株仲間解散!」
「専売制廃止!」
と一刀両断です。
そして何よりも大事なのが飢饉対策です。
囲米……各藩にコメの備蓄を命じます。
江戸の町々にお金を積み立てさせ、飢饉などのいざという時に備えた
・旧里帰農令:
江戸にいっぱい流入していた人たちが元の農村に帰る場合、無事に帰り、田畑を耕せるように給付金をほどこした
さらには、
犯罪者の更生施設。犯罪者に大工・手内職・土木などの職業訓練をほどこす。彼らの自立支援。再犯防止
といった味な政策も行いました。
そして、旗本・御家人(ともに幕府配下の武士)を守るため、
旗本・御家人の借金の帳消し、または利子の引き下げ
を実施いたしました。
質素倹約と思想統制
定信の経済・財政政策の柱は
「質素倹約」
です。
実の祖父徳川吉宗と同じように、余計な出費をおさえ、健全化を目指します。
ただ、ここもお祖父さんと同じように、庶民らにまで倹約を押し付けます。
おかげで庶民らは娯楽が失われ、不況におちいって、不満も高まり、
一番上に紹介したような歌がよまれることとなってしまったのです。
寛政の改革で残念と言わざるをえないところの一つは、こんなに痛みをともなったわりに、肝心かなめの幕府財政に対してさほどの効果が上がらなかったところです。
さらに、
「寛政異学の禁」
といって、儒学は朱子学以外認めない、というちょっと極端な思想統制まで行います。
朱子学は目上の人を重んじる「忠」を大事にする。
ほかは違うからアウト!
というちょっと乱暴な論理です。
よほど、「武士」や「将軍家」の格を上げたかったのでしょうか。
さらには蘭学も「残念!」
在野コメンテーターの政府批判などは「ありえるわけないですから!」
とばかりにバッサバッサとアウトにしてゆきました。
はあ……。
とうとう、朝廷にまでいちゃもんをはさみこみ、時の将軍徳川家斉もドン引きです。
「俺、この人にはついていけない……」
と、して定信を時の権力から引きずり下ろし、
寛政の改革はあえなく6年ほどで終わってしまいました。
きょうのまとめ
といっても定信はまだまだ34才です。
今時、こんなに若く気鋭のトップ政治家なんて世界中を見渡しても稀です。
彼はこれまでの成功や挫折、確かな才覚を活かしてお膝元の白河藩の政治に専念するようになります。
どんどん実績を上げ、今でも白河では松平定信と言えば藩の大名君としてたたえられ続けております。
① 松平定信は前任の田沼意次のやり方と真逆の政策を続々打った
② 松平定信は飢饉や犯罪者更生に様々な対策を行った
③ 松平定信の幕府での政策はちょっと押しつけがましいところがあり、自信の失脚にまでつながってしまった
いかがだったでしょう。
年功を挙げてからの第2次松平定信政権というのがあったら、彼はどんな政治をしたのでしょうね。
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