木曽義仲の対平家の戦さの中で、
一番知られたものがこの倶利伽羅峠の戦いでしょう。
1183年に越中(富山)・加賀(石川)国の国境にある砺波山の倶利伽羅峠で繰り広げられた木曽義仲軍と平維盛軍の合戦です。
義仲軍3万、維盛軍7万の兵だったと言われます。
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倶利伽羅峠の戦いとは
猿ヶ馬場と呼ばれた場所から少し離れた山中で、源氏と平家の先鋒はわずか60mの距離でにらみ合っていたといいます。
義仲軍にはある計略がありましたが、平氏側は義仲の考えを知りません。
夜が来るまで平氏と源氏の睨み合いは続きました。
木曽義仲の計略
義仲軍は戦いを急ぎません。
その理由は2つ。
・挟み撃ちに都合がよい夜を待っていた
夜を待つ間、義仲軍はそれぞれの持ち場で待機していました。
義仲と彼が全幅の信頼を置く、
・小諸/依田隊
・今井隊
・根井/巴隊
たちは平維盛軍を静かに取り囲み、息をひそめて機会を狙っていたのです。
義仲軍、倶利伽羅峠の大勝
夜が更け、維盛軍が疲れのためにうとうとしていた時、ついに源氏軍は襲いかかりました。
一斉に鬨の声を上げ、太鼓を打ち鳴らし、法螺貝を吹いたので、その雄叫びと軍勢の音は、山にこだまして響き渡り、さらに何倍もの軍勢の音のように聞こえたかもしれません。
油断をしていた平氏たちは大パニック。
気づいた時には源氏の白旗が目前にありました。
混乱して退却しようとする維盛軍に樋口兼光の隊が立ちはだかります。
源氏に迫られ方向感覚を失った平家は、ただ一箇所空いている南の谷へ一斉に向かいました。
彼らは、そこが深い深い谷であったことに気づかなかったか、忘れてしまっていたのです。
断崖の急斜面を多くの兵士が落ちていきました。
彼らは戦うどころか、谷底に落ち、更に上から次々落ちてくる味方によって押し殺されてしまったのでした。
一万騎以上の馬と人が亡くなったその谷は地獄谷と呼ばれるようになったとのことです。
火牛の計
このとき、義仲がこの倶利伽羅峠の戦いで使った一つの奇策があったと言われます。
それが「火牛の計」。
400から500頭の牛を集めて、その角に燃えさかる松明を括り付けて平家の陣に突進させた、という戦法です。
倶利伽羅峠の戦いはこの奇策でも有名です。
『源平盛衰記』にはその一場面が記されていますが、この戦術が実際に使われたのかどうかは明確ではありません。
眼前に松明の炎をつきつけられた牛が、敵中に向かってまっすぐ突進するとは考えられず、むしろ後ろに退くのでは、という意見もあるのです。
というわけで、「火牛の計」は創作の可能性もありますが、そうであったとしても、義仲軍の奇襲攻撃は大成功であり、その鮮やかな勝利を示す一つの例として作られた話なのかもしれません。
勝利の秘訣
義仲軍3万は、平家軍7万に比べて少数にもかかわらず大勝しました。
勝因は、地勢や山道を熟知する在地豪族が義仲の各隊についており、地の利を生かした攻め方ができたからです。
この後、義仲の別軍が志雄山で危機に陥っていることを聞いた義仲は、軍を連れて援護に向かいます。
平家は勝利する寸前でしたが、義仲が向かって来ていることを知るやいなや「倶利伽羅峠から援軍が来たのでは勝ち目がない」として退却してしまいました。
それくらい、義仲軍には勢いがあったのです。
京へ、そして平家追放へ
倶利伽羅峠で大敗した平家は、義仲追討のための約10万の軍の大半を失い、平維盛は命からがら京へ逃げ帰りました。
義仲軍は、続く篠原の戦いにも勝利し、周辺地域の武士たちを集めながらどんどん京へと進軍しました。
そしてついに1183年7月に遂に念願の上洛を果たしたのです。
義仲軍が一番勢いに乗っていた時期でした。
大軍を失った平家はもはや防戦のしようがなく、安徳天皇を伴って京から西国へ落ち延びるしかなかったわけです。
きょうのまとめ
木曽義仲が平家と戦った戦のうちで、最も知られた倶利伽羅峠の戦いについてご紹介いたしました。
簡単にまとめると
① 倶利伽羅峠の戦いは、兵の数3万の義仲軍が7万の平維盛軍に大勝した。
② 勝因は地の利のある在住武士たちと共に練った戦略を用いたことだった。
③ この戦いで勢いにのった義仲軍が上洛し、平家は京を追われることになった。
大軍を率いた平家軍でしたが、都暮らしの長い彼らに土地勘のない山中での戦いは厳しいものだったのです。
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