麒麟がくる第七回「帰蝶の願い」の感想|みんなに頼られすぎの光秀

 

さあ、第七回『麒麟がくる』では、グッドニュースとバッドニュースが一度にやって来た。

京から戻ったばかりの明智光秀(十兵衛)は、対応で大忙しだ。

今回も第七回「帰蝶の願い」をいろんな角度から堪能し、見たまま感じたままをお伝えしまーす。

 

麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
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頼られっぱなしの便利屋・光秀

戦ばかりやっていた美濃国の斎藤道三(利政)と尾張国の織田信秀だが、信秀から道三へ和睦の申し出があった(グッドニュース)。

しかし、斎藤道三の娘・帰蝶が織田信秀の息子・信長の妻となることがその条件(バッドニュース)。

そして帰蝶はそれを嫌がっている(ベリーバッド)。

それに関し、皆が光秀を頼ってきたのが今回のエピソードだ。

何でもいいから上手くやってと願う明智光安

まず、叔父の明智光安だ。

幼くして父親を亡くした光秀を支えてきてやった光安だが、最近はや斎藤利政(道三)に光秀を連れてくるだけの引き継ぎ役である。

「粗相をせずに、上手くやれ」

などと言って結局全ては光秀に丸投げしてくる。

娘に手を焼いてるパパ・斎藤道三の思惑と皮算用

次は、斎藤道三。

なんでこんなに道三と光秀とのやり取りはおもしろいのだろう。

道三があの波の絵が描かれた部屋で坐っているのを見ると、何か事件を期待してしまう。

そんな彼に帰蝶の嫁入りの説得は出来かねると言った光秀。

道三が激昂して
「用はない。帰れ!」
と言えば、
「分かりました! ごめん!」
と、立ち去る光秀。

するとすぐさま
「呼び戻せ!」
とその場に残っていた光安にどなる道三。

コントか。

しかし、その後戻った光秀に道三は、実に明解な同盟の意義を語った。

海を持ち、港を持つ尾張の経済的な豊かさは、油商人の父親を持つ損得勘定に長けた道三でなくとも、魅力的だ。

はっきり言って帰蝶の女心などには全く思いが巡らない光秀。

この道三の説明で、同盟の代償として帰蝶の嫁入りに100%賛成とはならなくても、一応説得しようかな、くらいには思ったはずである。

激しい思い込み。斎藤義龍と愉快な仲間たち

おかしい。

久しぶりの登場、斎藤義龍さいとうよしたつ(高政)と稲葉良通いなばよしみち(一鉄)らにはかなりの距離を感じてしまう。

村田雄浩演じる稲葉良通なんて、笑顔までワルそうで、チーム・義龍の国衆たちに不思議なほど親近感が湧かない。

しかし、彼らが織田信秀との同盟と帰蝶の嫁入りという道三の方針に反対するのにも一理ある。

同盟すれば、他の織田氏と敵対し、駿河の今川義元まで敵に回すことになるのだ。

義龍らは光秀が彼らの考えに賛同していると思い込んでいるぞ。

光秀は、道三と義龍との間の板挟みに苦しむだろう。

つらい。

 

光秀をめぐる女性たち

ここで、ちょっと光秀の周囲にいる女性について再確認してみる。

帰蝶の願いは何だったのか?

まずは、イトコの帰蝶から。

帰蝶はやっぱ光秀のことが好きなのだ。

なんだかちょっと安易な気もするけれど。

帰蝶、お前もか。

じゃあ、第七回のタイトル「帰蝶の願い」とは何だったか考えてみる。

帰蝶は今回光秀に何度か頼み事をしている。

1.「嫁に出してはならぬ」とみんなに言って回ること

2.自分の目になって信長を見てくること

3.一緒に旅に出てくれること

これら、全部帰蝶の言葉である。

筆者的には、帰蝶の願いとは、光秀に「2・1・3」の順番で実行してもらうことである。

つまり、「信長を見て、うつけでダメだと判断したあと、帰蝶を嫁に出さないように皆を説得し、そして、帰蝶と一緒に旅に出る」という夢物語。

だが、もしも光秀が「信長は大した人物だから、嫁に行くべきだ」と言うなら、好きな光秀の言うことなら黙って聞く気なのだ。

光秀はそんな帰蝶の女心に気づいてない。

帰蝶は、らしくもなく泣いてたよ。

筆者的には、帰蝶はもっとサバサバ、高飛車の女王様でいて欲しかったけど。

駒ちゃん、恋はそこまでだ

駒ちゃんの「光秀大好き」が止まらない。

が、一方では戦災孤児の自分には、光秀への想いを遂げられないことも知っている。

ならやめとけ、駒ちゃん。

「想うても、身分や暮らし向きのことで思いが遂げられぬ者、嫁ぐことがかなわぬ者はどうすればいいのでしょうか」

そう光秀の母・牧の方に告げる駒ちゃん。

絶対に、バレてる・・・。

駒ちゃんが光秀を好きなこと、牧の方にはバレてるよ。

光秀の母・牧の方の存在感!

というわけで、ドラマの中では牧の方は意外なほど存在感を増してきた。

石川さゆり演じる明智光秀の母・牧は、駒ちゃんや帰蝶、菊丸などのわりと現代的な芝居の中にあって、その渋い演技が大河ドラマの矜持を保っている。

今回、彼女が駒ちゃんに厳しく諭した場面では、武家の女性らしさが全開した。

囲碁も強いし。

そういうキリリとした面と、光秀の優しい母としての面を併せ持つ牧の方。

ここに理想の武家の母親を見た。

 

麒麟がくる第七回「帰蝶の願い」

「織田信秀と斎藤道三は同盟の証しとして道三の娘の帰蝶を信秀の息子・信長と政略結婚させた」

と書けば一行ほどの歴史の事実。

しかし、当事者たちは大変だった。

そんなわけで第七回では、帰蝶が嫁に行くか行かないかだけでほぼ1エピソードを使い切った。

今回は、

① 明智光秀こそ美濃の斎藤氏と尾張の織田氏の同盟のカギを握る帰蝶の輿入れのカギを握り、皆が頼る存在だ

② 帰蝶も駒も光秀が好きだが、光秀はそのことに全く気づいていない

③ 牧の方は武家の母としての理想だ

を確認した。

さらに、いつ出てくるかと思えば、最後の最後に登場した織田信長。

朝日を背負って海から登場する信長は、交易で財をなしたカリスマ武将に相応しいデビューっぷりである。

 

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歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku