麒麟がくる第四十四回「本能寺の変」【あらすじ簡単まとめ】

 
 
※ネタバレあり
 
大河ドラマ麒麟きりんがくる』
 
最終話で描かれたのは、戦国を揺るがした一大事件「本能寺の変」です。
 
信長を裏切った光秀の覚悟とは…。

その先に、麒麟がくる世は待っているのか…?

以下よりあらすじを辿りましょう。

 

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麒麟がくる(第四十四話)のあらすじ

 1582年、安土城にて、織田家は徳川家康(演:風間俊介)を招いた宴を開きます。

「長篠の戦い」にて、織田・徳川連合軍が武田家を下した戦勝祝いでした。

この席において、家康の希望で饗応役に選ばれた光秀(演:長谷川博己)。

(※饗応役…宴の準備などをする世話役のこと)

しかし、宴の最中に信長(演:染谷将太)の逆鱗に触れ、その役を解かれてしまいます。

家康が光秀を饗応役に選んだのは、信長に信用しきれない部分があるゆえ。

それを見抜いた信長は、光秀を役から廃することで家康の出方を試したのです。

毛利攻めを巡って衝突する光秀と信長

 饗応役を外されたことに憤る光秀でしたが、信長は間髪入れずに次の命を下します。

備中で毛利家と戦をしている羽柴秀吉(演:佐々木蔵之介)が苦戦しているため、その応援に向かえというものでした。
 
ただ、このとき信長が示した毛利攻めの方針に、光秀は疑問を覚えます。

その内容は…

・四国の大名・長宗我部元親ちょうそかべもとちかが毛利攻めに非協力的なため、三男の織田信孝を討伐に向かわせる

・毛利輝元は将軍・足利義昭(演:滝藤賢一)の存在を戦の大義名分としているため、光秀が義昭の討伐に向かう

というものでした。

光秀が言うに、長宗我部の織田家への忠義はたしかなもの。

非協力的というのは、信長にその旨を報告した秀吉の言いがかりだといいます。

そしてなにより、将軍を武家の棟梁と慕う光秀は、その討伐を引き受けることなどできません。

これらの処遇を巡って信長と光秀は衝突。

結局は信長に押し切られる形で、光秀は毛利攻めの戦支度を整えていくこととなります。

しかしその心中は、信長への謀反へと静かに傾けられていくのでした。

「本能寺の変」!束の間の天下へ

1582年5月29日、信長は自身も毛利攻めに出陣するため、側近を連れて本能寺へ入ります。

備中へと足を向けるはずの明智軍はこの機を狙い、6月2日明朝に挙兵。

信長が宿所とする本能寺を取り囲みます。

信長は少数の兵でこれに抵抗するも、徐々に追い詰められて自刃。

この日をもって光秀は天下人となります。

しかし…新たな世を作っていこうと意気込む光秀の前に立ちふさがった人物がいました。

羽柴秀吉です。

兼ねてから光秀に味方してきた細川藤孝(演:眞島秀和)は、光秀の謀反を事前に察知して秀吉に報告。

これを受けて本来は備中にいるはずの秀吉が不意をつく形で、勝ちに酔いしれる明智軍を下します。

藤孝の想いは早まる光秀を止めることでしたが、秀吉はこれを自身が天下人となる好機と捉え、意図して信長が討たれたあとに駆け付けるのです。

こうして光秀の天下は束の間の出来事に終わってしまいました。

その後、秀吉は関白となり、朝廷と歩み寄る形で新たな世を作っていきます。

ただ…そんな時勢の最中、街へ繰り出した駒(演:門脇麦)は、討たれたはずの光秀の後ろ姿を目撃することとなります。

 

麒麟がくる(第四十四話)の見どころ


ここからは今回の見どころを詳しく辿っていきましょう!

謀反に傾いていく光秀の決意

今回は光秀が謀反へと傾いていく様子が、さまざまな人物とのやり取りを通し、段階を経て描かれていました。

細川藤孝への相談

 
信長から将軍討伐の命が下され、光秀が一番に相談をもちかけたのが細川藤孝でした。

幕臣となった折も、織田家の家臣となった折も、いつも光秀を側で支えてきた藤孝。

このとき光秀が彼に問うたのは、信長から下された毛利攻めの手はずについて。

そして

「以前藤孝殿は、上様の行きすぎをお止めする折は、声を揃えて申し上げる覚悟があると言われた。今でもそのお覚悟はおありか?」

というものでした。

光秀としては、信長を下したのち、藤孝とも手を取り、天下を治めていきたいという考えだったのでしょう。

しかしこれを受けた藤孝は、光秀の謀反を危惧し、秀吉へ急ぎの文を出すのです。

藤孝は前回から光秀に対し、秀吉と相容れないことが治世のネックになると感じていました。

文を送ったのは、謀反を起こしても結局秀吉と戦になるなら、その前に光秀を止めなければという思いからでしょう。

信長に忠実な秀吉なら、きっとすぐに止めに戻ってくるという考えです。

ただ、そもそも秀吉の信長への忠誠心は偽物で、秀吉にとって信長が死ぬことはむしろ好都合でした。

こうして藤孝の知らせは、秀吉が新たに天下を治めるために完全に利用されてしまうのです…。

次女・たまへの言葉

細川藤孝にお供し、藤孝の嫡男・忠興(演:望月歩)と光秀の次女・たま(演:芦田愛菜)も京の光秀の館へとやってきます。

忠興に嫁いだたまは

「私を葛籠つづらに入れて持って歩きたいと言うておられます」

と、冗談が交わされるほど大事にされており、仲睦まじい夫婦仲が築かれていることを感じさせます。

そして、光秀と二人きりになったたまから飛び出したのがこんな言葉でした。

「嫁に行く前は父上が戦でお亡くなりになったら、私も後を追おうと思うておりました。今は忠興さまと共に生き、死ぬのだと。命がふたつあればよいのにと思います」

これに対して光秀が返したのは

「命はひとつでよい。そなたは忠興殿と長く生きよ。そのためにわしは戦うてみせる」

という言葉です。

自分のことはもう気にかけなくてよい、そんな意味を示すこの一節は、光秀が謀反の最中、命を落とす可能性を加味してのものに感じました。

たまは光秀の言わんとすることを察しながらも、

「父上も長う生きてくださりませ」

と返します。

万が一が起こるのかもしれないが、できるなら起こってほしくない…そんな想いが表れていました。

愛宕山での一夜

明智家の家臣たちに謀反の意志を示すその前日、光秀は丹波・愛宕山あたごやまに入り、ひとり静かな夜を過ごします。

愛宕山神社は戦の神が祀られる場所。

光秀はこの場所で考えを巡らせ、自身の行くべき道が示されるのを待つのです。

かつて斎藤道三(演:本木雅弘)が、嫡男・高政との一戦に際し、念仏を唱えて考えを巡らせていた場面を彷彿とさせますね。

そして愛宕山にて光秀が振り返っていたのは、信長から将軍討伐が言い渡され、反対の旨を伝えたそんな場面でした。

光秀:「はじめてお会いしたころ、殿は海で獲った魚を浜辺で安く売り、多くの民を喜ばせておられた。名もなき若者たちを集め、家臣とされ、大事に育てておられた。

心優しきお方。人の心がわかるお方と思うておりました。しかし殿は変わられた。戦のたびに…」

信長:「わしを変えたのは戦か?違う。乱れた世を変え、大きな世を作れとわしの背中を押したのは誰じゃ。そなたがわしを変えたのじゃ。

そなたが将軍を討たぬと言うのなら、わしがやる。わしが一人で大きな国を作り、帝さえもひれ伏す盤上の主となる!」

同時に光秀は帰蝶のこんなセリフも思い起こします。

「今の信長さまを作ったのは父上であり、そなたなのじゃ。作った者がその始末を成すほかあるまい」

信長、帰蝶が口を揃え、今の信長を作ったのは光秀だという。

この事実を踏まえ、光秀は信長への謀反を決意するのです。

翌日、光秀の前に集められた藤田伝吾(演:徳重聡)、明智左馬之助(演:間宮祥太郎)、斎藤利三(演:須賀貴匡)の三名。

彼らを前に光秀はこう言い放ちます。

「我らは備中へは行かぬ。京へ向かう。我が敵は本能寺にある。その名は織田信長と申す。

信長さまを討ち、心ある者と手を携え世を平らかにしてゆく。それが我が役目と思いいたった。

わしが間違うておると思うなら、この太刀でわしの首をはねよ」

三者から返された言葉は

「殿。みな、思うところは同じでござりまするぞ。」

というものでした。

家康に託された平和への想い

明智家の謀反の動きを知った徳川家康は、忍者の菊丸(演:岡村隆史)を光秀の元へ遣わします。

菊丸が家康から命じられたのは、光秀の護衛でした。

しかし光秀は菊丸に対し、すぐに家康の元へ戻るよう促すのです。
 
また家康はこのとき堺を訪れていましたが、危険が及ぶ可能性があるため、三河へ戻って次の時局に備えておいてほしいと菊丸に伝言を託します。

そしてこの場面でもっとも重要なのは、光秀のこの言葉です。

「この戦に勝ったあと、なんとしても家康殿のお力添えをいただき、共に天下を治めたい。

200年も、300年も穏やかな世が続く、政を行うてみたいのだ。

もしわしがこの戦に敗れても、後を頼みたいと、そうもお伝えしてくれ」

太平の世を担うために、自身と同じく平和を願う家康の力が必要だと、光秀は考えていたのですね。

そして200年続く穏やかな世…家康は江戸幕府でしっかりと実現させてみせますよ!

帝はこの戦をどう見る?

関白・近衛前久(演:本郷奏多)は、信長と光秀の関係悪化に謀反の可能性を見出し、正親町おおぎまち天皇(演:坂東玉三郎)に意見を求めます。

「双方が朝廷に力をお貸しいただきたいと願い出たとき、お上はどちらをお選びあそばされるか、御意を承りたく…」

これに対する天皇の答えは

「花を見、川を渡り、己の行くべきところへ行く者を、ただただ見守るだけぞ」

というものでした。

光秀が初めて天皇に拝謁した折、天皇が詠んでいた漢詩『胡隠君を尋ぬ』の一節を思わせるこの言葉。

これは光秀への信頼を表していました。

そして御所における月見の際は、信長の動向を見届けるようにと、光秀に言葉を贈った天皇。

ただ見守るだけとしたのは、すべてを光秀に託しているということですよね。

月へ上って帰ってきた者はいない。

光秀の謀反は、そう案じた天皇の想いに応えるものとなったのでしょうか?

暗躍する秀吉

細川藤孝からの文で光秀の謀反を知った秀吉は、それまでの信長への忠誠心が偽物であることを示すこんなセリフを発します。

「…やればよいのじゃ。明智さまが上さまをやれば、おもしろい。

明智さまが、天下をぐるりと回してくれるわい」

そして早々に備中を引き上げ、信長を下した光秀を逆賊として討つ手はずを整えるのです。

前回、細川藤孝が

「武家の棟梁は足利将軍。その気持ちは私のなかにも残っている。

よくわかるのだが、百姓の出の秀吉殿にはさっぱりわからぬ話…」

と、語るシーンがありましたよね。

秀吉は将軍のありがたみはおろか、そもそも武家自体を嫌っていました。

彼にとって、指導者は信長でも光秀でもダメだったのです。

光秀を下したあと、秀吉は関白となり、朝廷の一員として治世を行ったのも、武家中心の社会に嫌気がさしていたためなのでしょうね。

信長の最期

明智の軍勢が本能寺へと攻め込んできたことに気付いた信長が発したのは、こんな一言でした。

「十兵衛か。であれば、ぜひもなし」

肩を矢で貫かれながらも、笑みまで浮かべ、望むところと言わんばかりのこのセリフ。

何かにおいて、白黒をはっきりとさせたがる信長のこと、命令に反論を突きつけた光秀との関係も、この際はっきりさせたいと思っていたのでしょうね。

自ら弓を引き、槍を振るうその姿は、絶望的な劣勢に関わらず、むしろ清々しいぐらいの風合いを感じさせました。

まるでケンカ好きの不良少年が決闘に向かうときのような…。

最期は家臣の森蘭丸(演:板垣瑞生)に火をつけさせ、絶対に首は捕らせないという覚悟で自刃。

最期までほんとに不思議な人でした。

光秀は生きていた

時は流れて3年後、秀吉が天下を治めるその最中、街へと繰り出した駒は、雑踏に紛れていく光秀の後ろ姿を見つけます。

「明智光秀って秀吉との戦に負けたあと、そのまま死んだんじゃないの?これってドラマオリジナルの設定?」

と、思った人もいるはずですよね。

しかし、俗説ではありますが、史実でも本能寺の変のあと、明智光秀は長く生き延びていった説があるのを知っていますか?

出家して天海と名を改め、以後徳川家康の側近としてその治世を支えていったという説です。

天海と光秀の筆跡が似ていたり、光秀の墓所と天海の戒名に共通点があったりといった根拠も実はあります。

備後の足利義昭を尋ねた折、駒は

「そう、ご存知でございましょうか。十兵衛様が生きておいでになるという噂があるのを。

実は密かに丹波の山奥に潜み、いつかまた立ちあがる日に備えておいでだというのです」

と話していました。

これってまさに、僧として出家しているってことですよね!

そしてドラマがこの説を採用しているということは、このあと光秀は家康が江戸幕府を築いていくのをサポートするということです。

菊丸を通じ、家康に平和への想いを託した伏線もここで一気に回収されました。

本能寺の変のあと、駆け付けた伊呂波太夫いろはだゆう(演:尾野真千子)を前に

「駒殿に伝えてもらえるか。麒麟はこの明智十兵衛光秀が、必ず呼んでみせると」

と語った光秀。

その言葉に嘘はなかったわけです。

このラストシーンはちょっと意外で興奮してしまいました。

 

麒麟がくる(第四十四話)のまとめ

日本史上最大の謎とされている、明智光秀の 織田信長に対する謀反。

今作では、暴走する信長を止めるその役を担うため、光秀は兵を挙げました。

そして、天海の同一人物説を採用することで、光秀は見事に”麒麟がくる世”の立役者となったのです。

最後に今回のまとめをしておきましょう。

 
光秀に対し、信長は将軍・足利義昭の討伐を命じる。このほか、織田家に忠誠心のある大名も言いがかりで討伐対象に掲げており、反感を覚えた光秀は謀反へと向かう。

羽柴秀吉の信長への忠誠心は偽物だった。わざと光秀に信長を討たせ、そのあとの天下を狙う。のちに関白となったのは、武家中心の治世にうんざりしていたから。

光秀が平和への想いを託した相手は徳川家康。秀吉に敗れたあとも生き延び、側近として家康を支えていった? 
 

史実では悪役に見られがちな明智光秀。

今作でも徐々に闇落ちしていくのかと思っていましたが、最後までその正義感は変わりませんでした。

また、あまり注目されてこなかった人物や出来事にも触れられており、歴史の奥深さが感じられる作品だったと私は感じます。

約1年間、記事にお付き合いいただき、ありがとうございました。

本当に素晴らしい作品でした。

 

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