麒麟がくる第四十二回「離れゆく心」|Xデーの兆し

 

『麒麟がくる』第四十二回の放映が終了した。

予告編の情報量が多すぎて一体何が起きるのか事前には読み切れなかった筆者だったが、本編の内容はぎっちり充実。

ますます緊張感あふれる明智光秀(十兵衛)や織田信長たちのドラマについて、見たまま感じたままをお伝えしたい。
 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 

集約していくストーリー

今回の第四十二話を含め、あと3話となった『麒麟がくる』。

さすがに話は明らかに本能寺の変へとフォーカスしつつあるのがわかる。

ヒンヤリと近づいて来るXデー。

白状しよう。

実はちょっと怖じ気づいてる。

今まであれほど「明智光秀が本能寺の変を起こす動機」を知りたがってたんだが。

明確に動機を知る時は、光秀がまもなく信長を討ちに行くという時だ。

それがコワイ。

筆者はまだ心の準備が整ってないのである。

みんなの本音を知る唯一の人・光秀

ドラマの重要人物たちが次々と明智光秀にそれぞれの立場や信長についての考えを訴える。

・正親町天皇 → 「信長が道を間違えぬよう、しかと見届けよ」

・将軍・足利義昭 → 「そなた一人の京であれば考えもしよう・・・信長のいる京へは戻らん」

・徳川家康 → 「私を束縛する織田信長から逃げ出したい」

・松永久秀の謀反

・荒木村重の謀反

そういや、佐久間信盛さくまのぶもりも信長から叱責されたのを怨みそうだし。

家康などは、鷹狩りの時に自分の家臣たちが信長を狙おうとしていたことさえ光秀に告白している。

さらに駒ちゃんからは将軍義昭の言葉として、

「(将軍は)十兵衛(光秀)となら麒麟を呼んでこれるやもしれぬ」

と期待のダメ押しされてしまうのだ。

ここではあえて、

・光秀が主君・信長の頭越しに正親町天皇に会ったこと

・戦の最中に将軍足利義昭に会いに鞆の浦へ行ったこと

・徳川家康が光秀に会うために船で摂津にやって来たこと

などのご都合主義には目をつぶろう。

多くの重要人物たちの本音を知ってるってことは、光秀ってメチャクチャ信用されてる。

真面目な彼のことだ、彼らの言葉を真正面から受け取っているに違いない。

一方で、ライバル羽柴秀吉は信長からのミッションをスイスイこなし、傲慢になってきている。

要注意だ。

フラグの乱立

はっきり言って、本能寺のフラグは立ちまくっている。

あれも怪しい、これだってきっかけになりそう・・・。

それも。

これも。

誰が見ても乱立状態だ。

まさか、ドラマは「本能寺の変の動機」について、黒幕説・怨恨説など可能な限りの理由全部をストーリーに投入するつもりじゃないだろうな。 

いろんな動機をブレンドした上、「麒麟を連れてくるのは光秀」というトッピングを加えてこのまま本能寺へと驀進するのか。

 

悲しきナンバーワン・信長

今回、権力者・信長の振る舞いは相手の立場など考えず、自分の欲しいものばかり要求する暴君そのものだった。

だが、光秀に怒りをぶつけたその姿は哀れに見えはしなかったか?

哀れな主君

信長は、光秀を何度も扇子で打ちえた。

そうなったのは光秀自身のせいでもある。

きっかけとして家康の息子や妻の処分について意見しようとしたからだ。

彼が言うことは正しいが、ストレートすぎた。

信長は言った。

「頼む。これ以上わしを困らせるな。わしが唯一頼りに思うておるそなたじゃ」

この言葉はウソではなかっただろう。

家康たちが光秀を頼りに思うのと同様、信長も光秀を頼ろうとしていた。

その彼に裏切られたと感じた信長は、このあと怒りを抑えきれずに爆発させたのだ。

疑心暗鬼にかられた信長は、帝との会話について口を割らない光秀の顔や頭を何度も打った。

緊張感あふれた2人の対決場面では、怪我をさせられた光秀よりも、信長のほうが哀れに見えて仕方がなかった。

 

Xデーに向けて

考えずにはいられない。

脚本家の池端俊策氏は「本能寺の変・Xデー」をどう展開するのだろう。

信長役の染谷将太は、本能寺の変の台本を読んで震えたという。

我々があっと驚く仕掛けを期待したい。

残すところあと2話。

もうすぐ光秀ともお別れだ。

告白しよう。

筆者はホントは光秀に生き延びてもらいたい! 

もー、「100日後に死ぬワニ」以上のハラハラ気分なのだ。

だって我々は知ってる。

現状こそ多くの者たちが光秀の謀反を歓迎するように見えるが、本能寺の変のあと、彼に味方する者はごくわずかだということを。

そして謀反成功の11日後に秀吉によって彼の人生が終わってしまうことも。

もうこうなったら筆者は俗説通り、光秀が天海僧正に生まれ変わったとしても受け入れる覚悟である。

光秀の命、なんとかならんものか。

 

麒麟がくる第四十二回「離れゆく心」

ついにもう第四十二回となった。

回を追うごとに一つ一つのセリフや行動に重い意味がついて回り、間違いなく信長と光秀、そして秀吉と光秀の関係は悪化している。

そして、もうそれは誰にも止められそうもない。

今回の感想の簡単なまとめ

①織田信長の横暴ぶりは目に余り始め、豊臣秀吉の態度はかなり傲慢に。光秀との関係もますます悪化しそう

②信長に不満を持つ重要人物たちによる「反信長」のフラグが乱立状態に

③自分の感情がコントロールできず、光秀を打ち据える信長がどこか哀れに見える

④「本能寺の変・Xデー」に向けての伏線回収に期待すると同時に、光秀を失いたくない思いも

今や秀吉はほぼ光秀と対等な立場となった。

強敵ライバルと化した彼は実に憂鬱な存在だ。

彼さえいなければ、光秀は死ななかったかも、などと無駄なことを考える筆者である。

さあ、1579年までやってきた。

本能寺の変まであと3年。

そしてドラマは残すところたったの2回。
 

目次に戻る ▶▶

 

合わせて読みたい
麒麟がくるのその他の回のあらすじ、感想はこちらをどうぞ。
関連記事 >>>> 「麒麟がくる」感想あらすじまとめ

 










合わせて読みたい記事



コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

eight − four =

ABOUTこの記事をかいた人

歴史ライター、商業コピーライター 愛媛生まれ大阪育ち。バンコク、ロンドンを経て現在マドリッド在住。日本史オタク。趣味は、日本史の中でまだよく知られていない素敵な人物を発掘すること。路上生活者や移民の観察、空想。よっぱらい師匠の言葉「漫画は文化」を深く信じている。 明石 白(@akashihaku)Twitter https://twitter.com/akashihaku