日野富子、淀殿と共に日本三悪女の一人に入ると言われる
北条政子。
あの源頼朝の奥さんですから、気は強く、強烈なエピソードの持ち主でした。
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情愛の深さと悪女の理由
北条政子は、夫である源頼朝が亡くなったあとも鎌倉幕府を支えた女傑です。
頼朝への情愛は深く、ジェラシーにまかせた行動は豪快そのもの。
子供を愛していたにもかかわらず、「子を捨てて権力を選んだ」と言われても仕方のないような行動があったことも事実です。
これらが悪女と呼ばれる理由になりました。
嫉妬が原因の大夫婦喧嘩
当時は、政略結婚がほとんどでしたが
政子と頼朝は恋愛結婚でした。
しかし1182年に政子が二人目の子供を妊娠中
頼朝が亀の前という女性を寵愛している
ことが発覚。
激高した政子はなんと亀の前が身を寄せていた伏見広綱の屋敷を、
義理の祖父牧宗親に命じて打ち壊します。
一説によると命じるだけでなく、政子本人もお付きの者を連れて一緒に打ち壊したとか。
しかも笑いながら・・・。
今度は激怒した頼朝が、宗親の髻(マゲのこと)を切り落とします。
すると政子が独断で広綱を流刑に。
なんとも激しいやり合いで、巻き込まれた人々はたまったものではありません。
14歳で伊豆に流されるまで京での習慣が身についていた頼朝にとって、子孫多く残すために正室の他に側室を持つことは当然のこと。
が、東国育ちの政子は男女同権であり、夫婦は協力して領地を守るという考えだったので、どうしても頼朝を許せなかったのです。
政子を恐れる人々
政子が亀の前の家を襲撃する4ヶ月ほど前のこと。
頼朝は兄の源義平の未亡人である新田義重の娘・祥寿姫を妻に迎えようとします。
しかし、政子の怒りを恐れた義重は娘を他に嫁がせています。
また、懲りない頼朝がこっそりと通って別の妾に子を産ませます。
その妾・大進局が生んだ男児のためのお祝いの儀式は、政子を怖がって省略されました。
政子を恐れて子の乳母になる者さえ見つからなかったという話しも。
のち、その男児は密かに京の仁和寺へ出家しています。
女性ならではの優しい情愛の一面も
一度怒りが爆発すれば激しかった政子も、戦いで夫を亡くした未亡人に対する慈悲深さもありました。
頼朝と対立し、最終的には追い詰められて自刃した弟の源義経の愛妾・静御前との対面の時のこと。
政子に舞いをリクエストされた静は、義経を慕う歌と舞いを披露しました。
それに怒って彼女を処罰しようとする頼朝を政子は止めます。
と、頼朝をなだめたのです。
静が京へ戻る際には、政子が沢山の土産の品を持たせました。
子に冷徹な母なのか、優れた女性執政者か
頼朝は1199年に落馬が元で亡くなっています。
その後出家した政子は「尼御台」と呼ばれ、18歳で将軍職を継いだ長男頼家の後見人となりました。
二つの将軍暗殺事件
頼家は、人の愛妾を奪ってあわや戦を仕掛けられそうになる上、遊興にふけり、蹴鞠狂いとなって政治に関心を向けません。
さらに乳母の夫の比企能員を重用したことから、比企氏が台頭して北条氏の脅威となったのです。
そこで政子は頼家を伊豆の修善寺に幽閉。
頼家からの嘆願の手紙さえも送らせることを禁じるほどの徹底ぶりでした。
そして翌年頼家は暗殺されたのです。
3代将軍となったのが次男の実朝。
彼は教養に富んだ文化人で、後鳥羽上皇との関係も良好。
公家政権との融和を図りましたが、それが御家人たちの不満を招き始めます。
そして1219年、実朝は右大臣に昇進した拝賀の式のために鶴岡八幡宮に入ったところで、頼家の息子の公暁に暗殺されてしまいます。
公暁は何者かにそそのかされて暗殺実行犯となったのですが、その後口封じのためか、のち彼も殺されました。
暗殺事件でトクした者
二人の息子を暗殺され、すでに娘も亡くしていた政子。
これで頼朝からの源氏の血は絶えたのです。
そして政子の弟・北条義時が、鎌倉幕府の実質的な最高指導者として執権となりました。
その後100年以上続く北条氏の執権政治。
二人の将軍暗殺事件のメリットはいずれも北条氏を指さします。
これらの事件に北条氏や政子は無関係でしょうか?
おわりに
政子が自分の子供を失った悲しみを吐露したという記録が残っています。
彼女は夫も子供も全て失った悲劇の母親で、悲しみを乗り越えて鎌倉幕府を支えた気丈な女性でしょうか。
それとも北条氏の執権政治を続け、実家に権力を集中させるために夫の愛人を許さず、実子たちをも犠牲にした悪女でしょうか。
あなたはどちらが本当だと思いますか。
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