※ネタバレあり
大河ドラマ『麒麟がくる』
第三十話で描かれたのは、来たる朝倉義景との戦に備え、策を巡らせる織田信長の一幕。
勢力の不利をくつがえした光秀の提案とは…?
以下よりあらすじを辿っていきましょう!
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麒麟がくる(第三十話)のあらすじ
「舞台と映像(テレビ)では違う表現方法が求められます。これはわたしにとって新たな挑戦であり、楽しさでもあります。正親町天皇とはどういう人物なのか?映像を通して少しでも感じとっていただければと思います」(坂東玉三郎)#麒麟がくる
今夜放送!
[総合/BS4K]夜8時 [BSP]午後6時 pic.twitter.com/IjZAumwwO5— 【公式】大河ドラマ「麒麟がくる」毎週日曜放送 (@nhk_kirin) November 1, 2020
1569年夏、織田信長(演:染谷将太)は美濃・岐阜城に光秀(演:長谷川博己)をはじめ、幕府の主要人物を呼び集めます。
光秀は美濃で待つ妻子に会うという口上での帰郷でしたが、実のところこれは戦の前触れ。
越前の大名・朝倉義景(演:ユースケ・サンタマリア)を討つ算段を立てるための招集でした。
朝倉は信長を討ち、自身が将軍の守護の座に取って代わろうという考え。
これは摂津晴門(演:片岡鶴太郎)率いる幕府内の反織田派から促されてのものでした。
噂を聞きつけた信長は自ら先手を打つべきと見ますが、着実にその地位を築き上げてきた大大名・朝倉との戦に臨むには、織田家だけでは心もとありません。
ただ…幕府奉公衆は今回の件に乗り気ではなく、「成り上がり」と揶揄されるその印象のせいで協力する大名もいない状況です。
このことを信長から相談された光秀は、ある提案をします。
「今回の戦が世を平らかにするため必要なものと帝(天皇)が認めれば大義名分が立つ」
…と。
これを聞いた信長は上洛し、正親町天皇(演:坂東玉三郎)に拝謁。
天皇は信長のこれまでの武勇を称え、戦の勅命を下します。
これにより信長は晴れて諸大名の協力を得られる状況に。
しかし相変わらず、幕府は乗り気ではなく…?
麒麟がくる(第三十話)の見どころ
ここからはさらに詳しく、今回の見どころを辿っていきましょう!
朝倉義景との戦に割れる幕府内の意見
「義昭様を上洛させ、幕府を再興するためなら手段は選ばない。たとえ、朝倉義景の嫡男に毒を盛ることになっても。三淵は清濁併せのむような面がある人間なので、そこに後悔はないはず。摂津のことは認めてはいないけど、使える毒だと思っているのではないでしょうか」(谷原章介)#麒麟がくる pic.twitter.com/25u1fJcsvj
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朝倉義景との戦を控えた信長は
・松永久秀(演:吉田剛太郎)
・三淵藤英(演:谷原章介)
という、幕府の主要人物3人を美濃・岐阜城に呼び寄せました。
もとより朝倉との戦を不利と見て行われた今回の招集ですが、この一件に対し三者の意見は大きく割れます。
光秀:「私は十年もの月日を越前で過ごした。朝倉様と戦をするには、相当な兵の数と銭がいる…」
松永:「金など戦に勝てばいくらでも転がり込んでくる。今の信長殿の勢いがあれば、たとえ相手が誰であろうと負けることはあるまい」
三淵:「公方様は朝倉様にお世話になったことがあるゆえ、共に戦うわけには参りますまい。戦に加わるには大義名分が必要」
…という感じ。
光秀は信長に協力的なものの朝倉の力を熟知しているゆえ、戸惑うところはある様子。
一方、松永は信長ならきっとやってのけると見ており、問題となる資金調達の面も、松永自身の経験から打開策をもっていそうです。
そして今回、一番のネックとなったのが三淵藤英の意見でした。
大名が戦をしたときに仲裁するのが将軍の役目。
その将軍の側近としては、上洛を手助けした信長とはいえ、小競り合いにおいて一大名に肩入れするわけにはいかないようです。
そう、この戦を有利に進めるには、諸大名の協力はもちろん、なにより幕府を納得させる口実が必要なのでした。
帰蝶との再会シーンも
岐阜城では光秀と帰蝶(演:川口春奈)が9年ぶりに再会するシーンもありました。
嫡男の奇妙丸は木登りで高いところに上り過ぎて降りられなくなった折、光秀が子どものころ、同じことで泣いていたことがあったと帰蝶から聞かされていた様子。
「そなたが泣き虫十兵衛か」
と、父親譲りの礼儀知らずぶりが微笑ましいですね。
本筋に関係のある部分は、帰蝶が今回の戦をどう思っているのか、光秀が訪ねたことです。
帰蝶いわく、信長に美濃を追われた斎藤龍興も朝倉を戦にたきつけている一員だとのこと…。
上洛を助けても幕府を完全には味方に付けられず、諸大名には相変わらず敵が多い。
成り上がり者と揶揄される信長の天下への道は、そう容易くはないようです。
御所の塀を直した信長と、光秀の提案
「朝倉相手に一人では勝てぬ。なにか良い手はないか」
こう信長から持ち掛けられた光秀は美濃へくる途中、荒れ果てていた御所の塀が綺麗に直されていたのを見たことを挙げます。
「昔父上がお直ししたのだが、今また見る影もないと公家たちが嘆くのを聞いた。父上への供養と思うてな」
と、塀を直した張本人である信長は返します。
前回も信長の父・信秀が御所の塀を直すため、帝に4千貫の資金を送った話がありましたね。
それは幕府が帝の守護を放棄しているため、自身がその役目を買って出なければと考えてのこと。
そう、いうなれば今回の信長も、幕府の役目を代わりに果たしているといえます。
そのことから、帝を味方に付けられるのではないかというのが、光秀の考えでした。
日本という国において、帝からの命とは天からの命に等しいもの。
帝から直々に認められれば、幕府や諸大名が協力する大義名分にもなり得ます。
その事実に対し、例え話として光秀が挙げたのは、自身が昔読んで感銘を受けたこんな話。
父親:「一番尊い仏から教わったのだ」
少年:「その一番尊い仏は、誰から教わったの?」
父親:「…空より降ってきた者からだ」
この父親の答えは、少年の質問に窮して苦し紛れに言ったものでした。
つまり人は本当に困ったとき、神様の類に頼るしかなくなるということ。
帝が絶対的存在である限り、誰も背くことなどできないはずなのです。
帝からの勅命とあっても乗り気ではない幕府…
「帝(みかど)に拝謁するシーンの撮影は、いつもとは違う厳かな雰囲気があり緊張しました。御簾(みす)が少しだけ上がるというのもステキだなと・・・顔までは見えないけれど、帝と自分の間にある御簾が上がったことに私自身も演じてる中で、とても感動しました」(染谷将太)#麒麟がくる pic.twitter.com/oPDsQUMMEu
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1570年2月、光秀の提案から上洛し、時の正親町天皇への拝謁を果たした信長。
この拝謁で信長は桶狭間の戦いから上洛まで、兼ねてからの武勇を称えられ、また御所の修善に関しても感謝を述べられます。
本題である朝倉義景との戦についても、
「この都、畿内を平らかにするための戦ならばやむなし」
と、直々に勅命を受けることに。
この一件から、信長に協力するため、諸大名が京へと集まってくるようになり、もはや向かうところ敵なし。
…と思うところですが、実は帝からの勅命とあっても、幕府の賛同は得られませんでした。
帝からの勅命は、朝倉義景を討つという直接的なものではなく、その従属国である若狭の武藤友益との戦に対し、幕府も総出で参加するようにというもの。
これはいきなり朝倉を狙うと大事になってしまうため、まずは外堀から…という、信長の考えでしょう。
勅命を聞いた将軍・足利義昭(演:滝藤賢一)は承知こそするものの、
「戦があれば和議の仲立ちをするのが将軍の役目と思うておる。この都で吉報を待つ」
と、京からはあくまで動かない構え。
そして
「信長は思い上がるのもいい加減にしろ」
と切り出したのが、政所筆頭の摂津晴門です。
例として、朝倉から織田へと幕府の拠り所を乗り換えた際、すんなりことが運んだのは三淵の策略があってこそだと話す摂津。
ここで以前、朝倉を戦意喪失させた嫡男の暗殺は、三淵が企てたものであったことを光秀は初めて知ります。
上洛という、誰も手を挙げなかった大儀を成したつもりでいるが、それは幕府関係者の尽力があってこそのもの。
「信長はそのことをわきまえるべきだ」
と摂津は言い、幕府が戦に参加しない意志を強固に示すのです。
中立を選ぶ幕府の意向はわかります。
…しかしそもそも摂津は朝倉に文を送り、戦をたきつけた張本人。
この男だけは、ただ戦況を信長の不利に運びたいだけにしか思えないですね…。
実は帝とつながっていた東庵先生
今回、少ししか出番がなかった医師・望月東庵(演:堺正章)ですが、信長がすんなりと正親町天皇に拝謁できたのは、何を隠そうこの人のおかげです。
どうやら東庵先生は帝の囲碁仲間らしく、碁を興じるなか、織田信長が会いたがっていることに対してどう思うかを、帝が先生に問うシーンがありました。
「越後の上杉輝虎も”上洛し天下に平安と静謐をもたらしてみせる”と胸張っておりましたが、今日まで音沙汰なし。信長はそれを曲がりなりにも果たした。見るべきところはあるかと」
そう答えた東庵先生。
この意見を聞き入れ、帝は信長を内裏に上げたと考えられます。
昔は朝廷に出入りしていたこともあったと話していた東庵ですが、まさか帝と直々につながっているとは…。
義昭と駒の関係
「将軍なのに誰も言うことを聞いてくれない。本音や弱みをさらけ出せるのは光秀と駒だけ。特に駒は、貧しい人や病気の人たちを助けたいという僧侶の頃からの夢を語り合える特別な存在。そのころの自分を知ってくれている唯一の人だということも大きいと思います」(滝藤賢一)#麒麟がくる pic.twitter.com/gsFBqsX8YP
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さてさて、ここからは本筋と別に展開されている、義昭と医師助手・駒(演:門脇麦)のプロジェクトに関して。
前回、義昭は
「貧しい人や病気の人のための保護施設を京に建てたいと考えているものの、いかんせんお金が足りない」
という話をしていました。
そこから駒は京で話題となっている丸薬・芳仁丸の売り上げをたびたび、義昭のもとへ納めているようです。
二条城の城内で駒とすれ違った光秀も
「何用でここへ…?」
と不思議そうにしていましたね。
一方、義昭はたびたび売り上げを納めに来る駒に気の退ける部分はあるものの、やってきた駒と話をして過ごす時間が束の間の安息になっている様子。
「今もやまぬ諸国の戦のこと、幕府のこと、それが終日頭から去らず、気が休まらぬ。そなたとこうして会うていると、いっときすがすがしうなるのが不思議じゃ」
と、話します。
そしてなんと、話の流れからふたりは城を抜け出し、ホタルを見に行くことに。
このときのホタルを駒が捕まえており、夜も更けて暗くなった義昭の部屋に放つシーンもありました。
駒の手を握り、昔旅の一座にいたときに習った歌を聞かせてくれと頼む義昭。
やはりこのままふたりは恋仲になっていくのか…。
史実の足利義昭に正室はいないので、なるなら側室。
それでも庶民の駒としては玉の輿ですが、慈善事業を展開しようとしているふたりに、こんなことを言うのは野暮ですね。
麒麟がくる(第三十話)のまとめ
日本において絶対的存在である帝を味方につけるという、光秀の名案。
しかしそのアドバイスができたのは、そもそも信長に御所の塀を修善する気概があってこそです。
以前、帰蝶が
「十兵衛が考え、信長が動けば向かうところ敵なし」
と言っていたことがありましたよね。
今回はそんなふたりの相性の良さが光っていた回でした!
最後に今回のまとめです。
① 自身を狙う朝倉義景に対し、織田家だけでは太刀打ちできないと考えた信長。しかし幕府や諸大名に協力を募るには、それだけの大義名分が必要だった。
② 御所の塀を直し、帝の守護である幕府の代わりを果たした信長。光秀はその帝を味方につければ、戦の協力も取り付けられるはずと提案する。
③ 帝の勅命があっても、幕府はあくまで中立の立場で、京からは動かない構え。ただ摂津晴門に関しては、裏で朝倉をたきつけているなど、信長を不利にしたいだけ。
④ 芳仁丸の売り上げを納めに、義昭のもとへ通う駒。義昭にとって駒との時間は束の間の安息に…。このまま側室になってしまう?
史実だと浅井長政が信長を裏切り、信長を逃がすためのしんがりを光秀と藤吉郎が務める流れになるはず…。
これはまた熱い展開になりそうです!
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