高杉晋作が惚れ込んだ刀の名前をご存じでしょうか。
彼も他の剣客たちと同様に自分の刀に対するこだわりには特別なものがありました。
ここでは高杉の剣術の腕前や好みの刀のタイプ、
愛刀について紹介していきます。
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高杉晋作は強かった?
武家の男子として
武家の子供というものは、いずれ帯刀したときの腰に刀がある感覚に慣れるため、子供の頃より躾刀と呼ばれる木刀を身に付けていました。
高杉も同様で、彼の約40センチメートルの躾刀は、稽古胴や木刀などと一緒に遺品として東行記念館に残っています。
少年時代の高杉は勉学よりも剣術にかなり熱中していたということです。
剣術の腕前は?
高杉晋作の剣術の師匠は、長州藩の指南役をしていた内藤作兵衛。
高杉は1860年4月22歳の時に柳生新陰流の免許皆伝を授けられています。
そののち彼は北関東、信州、北陸を巡る剣術修行の旅に出て、各地で百人近い剣士たちとの他流試合で武者修行。
しかし、高杉晋作が実際に剣を振るったという記録は殆ど残っていません。
という記録がありますが、これが生涯で唯一人を斬ったとされる話しです。
免許皆伝の腕前の高杉はかなりの実力者だったことでしょう。
しかし、幕府側の警察機構であった新撰組などと違って、高杉のような勤皇の志士たちは、不用意に人を斬れば犯罪になります。
立場上、一個人がそう簡単に人を殺めることが出来なかったのだと考えられます。
好みの刀
引きずるほどの長い刀
高杉晋作の写真は何枚か伝わっていますが、
いずれの写真も高杉が正面のカメラを睨むようにした気合いを感じる写真です。
そして、写真の中でひときわ目立つのは、高杉の刀。
「これを見よ」とばかりに身に引きつけるように持った刀はなんだか少し長めです。
高杉晋作は長刀を好み、刀を引きずるようにして歩いたものだそうです。
同志の久保清太郎に手紙を送って刀の購入を依頼した際、
と念を押して
二尺五寸(75cm)の刀を頼んでいます。
小柄な高杉晋作がかなり長刀を好んでいたことがわかります。
これぞ高杉の愛刀 安芸国佐伯荘藤原貞安
刀の由来
「安芸国佐伯荘藤原貞安」は、もともと薩摩藩士梶原哲之助のものでした。
あるとき、土佐藩士の田中光顕は、断る梶原を拝み倒してまんまと自分の差料と交換することに成功。
その後、倒幕談合のために土佐藩の中岡慎太郎が長州へ出向いたとき、田中は高杉晋作との折衝にあたりました。
ところが、高杉は交渉をそっちのけにするほど田中光顕の刀に一目惚れ。
そう言って交渉に入ろうともしない高杉に根負けして
「弟子にしてしてくれるなら」
との条件で刀を譲ることを合意してしまった田中光顕。
高杉はこの刀を非常に大切にして身辺から離さず、死ぬときまで手放さなかったそうです。
後に田中光顕が恋しさ余って安芸国佐伯荘藤原貞安を探索しましたが、ついに発見できず、残念ながら現在までその所在は不明です。
薩摩拵えの長刀
長さ二尺六寸の安芸国佐伯荘藤原貞安は長めの刀で、幕末に志士の間で流行った「勤皇刀」と呼ばれた反りの少ない長刀。
典型的な薩摩拵えの刀で、全体に無骨な作りです。
薩摩拵えの特徴はいくつかあり、まず柄が長く、わずかに反っています。
そして目貫と呼ばれる装飾金具部分がなく、返り角という帯から鞘がぬけないためのストッパーや鍔が小さいのです。
さらに鍔には実戦の時に柄を取り落としても手から離れないよう手首に結ぶ紐通しの小さな穴が二つ空いています。
これらの特徴は高杉の写真に写る刀に一致します。
高杉はまず間違いなく安芸国佐伯荘藤原貞安を持って写真撮影に臨んだと言えるでしょう。
謎の粟田口
高杉の愛刀として「粟田口」の名もあがっています。
「粟田口」とは、京都粟田口に住んだ山城鍛冶の刀工の家名のこと。
粟田口派の中にもいろいろな刀工がいます。
山城国で鎌倉時代中期に活躍した刀工粟田口藤四郎吉光がよく知られていますが、吉光の作による刀は現代の国宝級で大変高価です。
さすがの高杉晋作でも持つことはできなかったでしょう。
ただし、粟田口一竿子忠綱という江戸時代中期に活躍した摂津の刀工の場合であれば可能だったかもしれません。
残念ですが、高杉がどの「粟田口」を持っていたのか、正確には刀工も刀の名称もはっきりとは分かっていません。
きょうのまとめ
高杉晋作が無理を言って入手した愛刀「安芸国佐伯荘藤原貞安」。
薩長同盟を結ぶことになる長州藩の高杉晋作が愛した刀が土佐藩士を通して得た
薩摩拵えの刀であるのは興味深いところ。
行方不明になったこの刀が今も日本のどこかに眠っているなら
一度見てみたいものですね。
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