ワーグナーとナチス 意外な関係性が明らかに!?

 

19世紀ドイツで活躍した作曲家にして指揮者の

リヒャルト・ワーグナー

「ニーベルングの指環」、「ワルキューレ」など、多くの歌劇作品を世に送り出したロマン派の音楽家です。

「楽劇王」という名でも知られるワーグナーには、熱狂的なファンが多いことでも知られています。

ところで、その中の一人に後のドイツの支配者、ヒトラーがいたことをご存知ですか。

今回は、ヒトラーが率いたナチスとワーグナー作品の関係性について、ご紹介していきます。

 

ワーグナーとナチス 2つを結ぶもの

リヒャルド・ワーグナー

Richard Wagner
リヒャルド・ワーグナー
出典:Wikipedia

ここからは早速、ワーグナーとヒトラー、そしてヒトラーが率いたナチスとの関係を見ていきましょう。

ナチスの「民族主義」

ナチスがドイツを支配していた20世紀前半、ヒトラーは純粋なドイツ人の伝統を国民に意識させる政策を執っていました。

芸術作品や文学そして音楽などの文化活動を厳しく取り締まり、前衛的な作品やユダヤ人を含めた非アーリア人が作るものに対し、

「野蛮である」

というレッテルを貼ったのです。

そしてそれとは反対に例えば音楽の分野では、バッハやベートーヴェンなど古典的な作品を推奨し、その中にはワーグナーの作品も含まれていました。

ドイツ音楽の伝統を築いた優れた巨匠の作品を普及させることで、ドイツ国民の自尊心を高め民族的な枠組みを意識させる狙いがあったことがうかがえます。

ワーグナーの熱烈なファン

ナチスの方針として古典的な作品を推奨していたヒトラー。

特にワーグナーに関しては彼個人が長年のファンであったと言うことができます。

ワーグナーのオペラ作品を自ら歌えてしまうほど何度も鑑賞し、彼の功績を称えて毎年開催されるバイロイト音楽祭にも頻繁に足を運んでいました。

そしてヒトラーはナチスの総統として国民に対して演説を行う際にも、ワーグナーの作品に出てくるセリフをたびたび引用しています。

さらには党大会でも彼の作品を活用し、国民の心に音楽と共にその思想を根付かせていったのです。

しかしヒトラーは、ただ単にワーグナー作品の熱烈なファンだったからナチスの政策にも活用した、というわけではありませんでした。

ワーグナー作品の効果

ヒトラーが長年好み、ナチスの政策の一部にも取り入れたワーグナーの歌劇作品たち。

実は彼の作品が時の独裁者にここまで愛されたのには、それ相応の理由がありました。

ワーグナー作品の多くの特徴として、明瞭で力強いリズムの印象を挙げることができます。

鑑賞者は繰り返されるこの印象によって、作品が進むにつれて知らぬ間にのめり込み、徐々に高められていく興奮と陶酔の中に浸っているのです。

ヒトラーはこの特徴に気づき、自らの政策に利用することを思いつきました。

そして国民が多く集まる場でワーグナーの作品を持ち込み、そのリズムと演説によって人々の心に深く入り込んでいくことになります。

このようにして、ヒトラーは文化作品も巧みに取り入れ、強大なナチス政権を築くことに成功したのです。

つまりワーグナー作品は、ドイツ国民にナショナリズムを芽生えさせるために、ナチス政権に利用されてしまったのです。

 

ワーグナーと反ユダヤ主義

ここまで、ワーグナーの作品とナチス政権の意外な関係性についてご紹介してきました。

現在でも多くのファンを持つワーグナーの作品が、ナチスの独裁政治に利用されていたと知って複雑な心境を抱く人も多いのは事実です。

しかし独裁者の心をも掴んだということは、ワーグナー自身にヒトラーとの何かしらの共通点があったのでは、と考えることもできます。

事実として、ワーグナーは反ユダヤ主義的な動向でも知られているのです。

親交のあった人物にユダヤ人も多くいた一方で、音楽的なものに関してのユダヤ人の活躍を激しく糾弾する文章を、偽名を使って発表していました。

ワーグナーの反ユダヤ的傾向が、どれほど強いものだったのかは曖昧です。

しかしその事実が、後の時代の独裁者に少なからず影響を与えていたということは想像に難くありません。

 

きょうのまとめ

今回は、19世紀に活躍したドイツ音楽界の巨匠ワーグナーと、ナチス政権の関係性をご紹介しました。

いかがでしたでしたか。

意外な事実を垣間見ることができたのではないでしょうか。

最後に、今回ご紹介した内容を簡単にまとめると

① ナチスの総統ヒトラーはワーグナーの長年のファンだった。

② ワーグナーの作品はナチス政権に利用されていた。

③ ワーグナー自身にも反ユダヤ主義的な傾向が見られた。

感性を刺激し、感受性に訴えることの多い芸術作品は理屈を抜きに人の心に入り込みます。

特にワーグナーの作品に見られるような、物語、歌、音楽、舞台などを含めた総合芸術と言われるものたちは、人々のあらゆる感覚を刺激します。

その効果を巧みに取り入れたナチスのしたたかさに恐れを抱く一方、芸術の持つ可能性と危うさについて、人々は改めて認識しなければならないのではないでしょうか。

 
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