蘇我蝦夷と聞いて、どんな人物を思い浮かべますか。
飛鳥時代に、天皇を凌ぐ権勢を誇り、政治を独占した悪い政治家のイメージでしょうか。
蘇我馬子や入鹿に比べて、若干、影の薄い蝦夷。
実際は一体どんな人物だったのでしょう。
今回は蘇我蝦夷についてご紹介させていただきます。
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蘇我蝦夷はどんな人?
- 出身地:大和(現在の奈良県)
- 生年月日:不詳(580年頃)
- 死亡年月日:645年7月11日(享年60歳前後)
- 飛鳥時代の有力豪族。
天皇を凌ぐ権力を誇り、政治の実権を握りました。
蘇我蝦夷 年表
西暦(年齢)
580??年(1歳)大和(現在の奈良県)に生まれる
626年(??歳)父親の馬子が亡くなり、権力を引き継ぐ
628年(??歳)皇位問題で対立した父方の叔父、境部摩理勢を殺害
629年(??歳)舒明天皇が即位
643年(??歳)皇極天皇が即位
643年(??歳)息子の入鹿に大臣の座を引き継ぐ
643年(??歳)山背大兄王殺害事件
645年(??歳)乙巳の変の翌日、自害
蘇我蝦夷の生涯
生い立ちから実権を握るまで
580年頃、蘇我蝦夷は蘇我馬子の長男として生まれました。
少年期から青年期にかけて丁未の乱や崇峻天皇殺害事件が起こります。
蝦夷は、父親の馬子が政敵を排除して蘇我家の繁栄を築いていく姿を見ながら育ちます。
626年、父親の馬子が亡くなると、大臣の座を引き継ぎ、蝦夷が政治の実権を握ります。
大臣の座に就くやいなや、叔父の境部摩理勢と天皇擁立問題で対立するようになります。
蝦夷が田村皇子を推したのに対し、
境部摩理勢は聖徳太子の息子の山背大兄王を推薦しました。
こうして蝦夷と境部摩理勢は対立を深めます。
そして
「境部摩理勢が蘇我馬子の墓の造営中に持ち場を離れて屋敷に引きこもる事件」
がきっかけとなり、蘇我蝦夷は境部摩理勢を討ち滅ぼしました。
結果、蝦夷が推薦した田村天皇が舒明天皇として即位することになります。
またこれは皇位を巡る対立だけではなく、蘇我氏内の権力争いでもありました。
権勢を振るう
境部摩理勢を討ち、蝦夷は名実ともに蘇我氏の族長になります。
その頃、蘇我氏に対抗できる勢力がなかったため蝦夷の権勢はますます強まりました。
すると蝦夷は次第に横暴な行動をとるようになります。
天皇家を凌ぐような大きな墓や屋敷を建て、まるで自らが天皇のように振舞い、ついには天皇の許可なく勝手に息子の入鹿に大臣の座を引き継いでしまいます。
蝦夷の不遜な態度は、人々の反感を買うようになりました。
蘇我蝦夷の死
643年、蝦夷から大臣の座を引き継いだ、蘇我入鹿が政敵である山背大兄王に攻め入り自害させる事件を起こします。
蝦夷はこの事件を聞いて、激怒し嘆いたといわれています。
蝦夷には、入鹿の強引な行動が蘇我氏の滅亡に繋がると悟っていたのでしょう。
実際に、この事件によって反蘇我の気運がいっそう高まり、645年、ついに中大兄皇子と中臣鎌足の手によって乙巳の変が実行されます。
蘇我入鹿は中大兄皇子に斬りつけられ絶命しました。
息子の入鹿の死を知った蘇我蝦夷は、翌日、自邸に火をつけて自害します。
これが蘇我蝦夷の最期であり、同時に権勢を誇った蘇我宗家の滅亡となりました。
蘇我蝦夷の政治とは?
蘇我蝦夷といえば天皇を上回る権力をもち、政治を独占した悪人のイメージが強いですが。
一方で慎重な性格で政治的なバランス感覚の優れた人物として評価されています。
実際、彼が大臣を務めた時代は大きな政変がなく、穏やかな時代でもありました。
蘇我蝦夷のエピソードや伝説
蘇我蝦夷の雨乞い
文献に残る最古の雨乞いに蘇我蝦夷の名前が出てきます。
642年、日照りが続いたため蘇我蝦夷が経典を読み仏教流の雨乞いをしますが、少量の雨が降った程度で効果がありませんでした。
しかし、その後に皇極天皇が儀式を行うと、突然に大雨が降り、人々は天皇の偉力を称えました。
これは蘇我氏よりも天皇が優れていることをあらわすエピソードです。
しかし現在はその主題よりも、当時国家的な事業として仏教流の雨乞いが行われたことに関心が寄せられています。
蘇我蝦夷の名前
「蝦夷」とは後年に付けられた蔑称で、本名は蘇我毛人です。
異民族の毛人(蝦夷)にちなんだ名前ですが生命力にあやかるという意味で、悪い意味はありませんでした。
蘇我蝦夷のほかにも、奈良時代に佐伯今毛人という人物がいます。
きょうのまとめ
最後までお読み頂きありがとうございました。
蘇我蝦夷についていかがでしたでしょうか。
蘇我蝦夷とは?
① 蘇我馬子の息子として生まれる
② 大臣の座を引き継ぐと、叔父の境部摩理勢と対立するようになる
③ 蘇我氏の族長として、権勢を振るう
④ 乙巳の変にて、入鹿が倒された翌日に自害する
⑤ 文献に残る最古の雨乞いのエピソードに登場する
その他の記事についても蘇我蝦夷にまつわる色々な記事を書いています。
よろしければどうぞ御覧ください。
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