飛鳥の悪人親子!蘇我蝦夷と入鹿とはどんな人物?

 

天皇を凌ぐ権力と政治の専横で中大兄皇子らの反感をかい、

殺害されたことで有名な蘇我蝦夷そがのえみし入鹿いるか親子。

「悪人」のイメージの強い彼らですが、一体、どんな人物だったのでしょうか。

今回は、蘇我氏が政治を独占する背景を紹介しつつ、蘇我蝦夷、入鹿親子について説明します。

 

蘇我氏の権力独占の背景

蘇我蝦夷

蘇我蝦夷

物部氏を倒した蘇我馬子そがのうまこは、豪族の第一人者として、権力を強めました。

しかし皇族側に聖徳太子や推古天皇といった有能な政治家がいたため、政治を独占するには至りませんでした。

聖徳太子や推古天皇が亡くなると、皇族側に蘇我馬子に対抗する人間が出ることがなく馬子の独裁を許すことになります。

その頃は豪族が天皇即位への発言権を持っていたこともあり、皇子達は、蘇我氏に逆らうことが出来なくなっていました。

626年に蘇我馬子が亡くなると、権力は息子の蘇我蝦夷や蘇我入鹿に引き継がれることになります。

蝦夷や入鹿は、権力をほしいままに横暴な行動をとるようになりました。

 

天皇のように振舞う!蘇我蝦夷、入鹿の横暴

蘇我蝦夷は、次第に朝廷への出仕を怠り自邸で政治を行うようになりました。

皇子の一人に咎められますが、態度を改めることはありませんでした。

そればかりか、息子の入鹿に大臣の座を天皇の許可なく引き継いでしまいます。

また宮殿を凌ぐような広大な屋敷や巨大な墓、祖廟そびょうを築き、「宮門みかど」や「みささぎ」のような天皇家をイメージさせるような名前で呼ばせました。

しまいには、子ども達を「王子」と呼び、自らが天皇のように振舞うようになります。

こうした蘇我蝦夷や入鹿の態度に人々は反感を抱くようになりました。

ついに、山背大兄王やましろおおえのおう殺害事件がおき、蘇我氏に対する批判的な空気が高まることになります。

 

蝦夷 入鹿親子の最期 乙巳の変

山背大兄王の殺害

山背大兄王は聖徳太子の息子で、次期天皇に有力視されていましたが、

蘇我入鹿が、田村皇子たむらのおうじ(舒明天皇)を推した為天皇になることが出来ませんでした。

なぜ、蘇我氏が山背大兄王を推薦しなかったのかは諸説ありますが、

「聡明な山背大兄王よりも、意のままにしやすい田村皇子を入鹿が好んだ」

と言われています。

その後、蘇我入鹿は対抗勢力になる可能性がある山背大兄王を疎むようになりついには、山背大兄王に攻め入り自害させてしまいました。

一方、父親の蝦夷は、この事件を聞いて激怒したと言われています。

慎重な性格の蝦夷には、入鹿の強引なやり方が蘇我氏の崩壊に繋がると悟っていたのでしょう。

実際にこの事件を機に反蘇我の気運が高まり、乙巳の変いっしのへんに向かうことになります。

乙巳の変の顛末

蘇我氏が権勢を振るっているものの、水面下では蘇我氏への反感が高まります。

そんな中蘇我氏の専横に、危機感と不満を感じていた中大兄皇子と中臣鎌足によって蘇我氏打倒の計画が立てられます。

645年、天皇も出席する儀式の最中に計画が実行されました。

蘇我入鹿は直接、中大兄皇子に斬りつけられます。

「私が何をしたというのです。」

蘇我入鹿は、皇極天皇に訴えますが、

「入鹿は、皇族を滅ぼし、天皇になりかわろうとしました。」

と中大兄皇子が答えると、天皇は殿中に戻ってしまいます。

蘇我入鹿は息絶え、死体は庭に投げ出されました。

翌日、蘇我入鹿の死を聞いた蘇我蝦夷は屋敷に火をつけて自害しました。

この一連の流れを乙巳の変といいます。

この後、中大兄皇子と中臣鎌足は、

・天皇中心の国づくり

・律令国家

を目指して大化の改新を行います。

一方、栄華を誇った蘇我氏ですが、乙巳の変によって、蘇我宗家は滅び、残った蘇我氏もかつてのような勢いを取り戻すことは
ありませんでした。

 

きょうのまとめ

蘇我蝦夷と入鹿について紹介しました。

いかがでしたでしょうか。

簡単にまとめると

① 聖徳太子は推古天皇が亡くなると、蘇我氏の政治の専横が始まった

② 蘇我馬子から権力を引き継いだ蘇我蝦夷、入鹿は横暴になり自らが天皇のように振舞った

③ 山背大兄王の殺害をきっかけに、蘇我氏に批判的な気運が高まった

④ 中大兄皇子や中臣鎌足らによって、乙巳の変が起こった

⑤ 蘇我宗家は滅び、残った蘇我氏もかつての勢いを取り戻すことはなかった

栄華を誇った蘇我蝦夷や入鹿は、中大兄皇子らに倒されることになりました。

権力が強くなり、政治のバランス感覚を失っていったことが滅亡の要因のひとつと言えるでしょう。

歴史の悪役として名高い蘇我氏ですが、最近では、「仏教を普及させた」等の業績を再評価する声もあるようです。

 

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