おそらく日本史上最も有名な水墨画家
雪舟。
では、この人の水墨画は何がすごいのか。
能や茶道。
室町は日本の文化が特に深まりを見せたといわれる時代の申し子の様を見てまいりましょう。
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雪舟の超一流師匠
雪舟の絵というのはどこか漫画チック。
全体的にコミカルなんですよ。
というと怒られるでしょうか。
やはり、クールジャパンをどこかほうふつとさせますね。
もともと中国で盛んだった水墨画。
それを現代見ても日本仕様に進化させちゃったんですね。
雪舟は武家に生まれたようですが、幼いうちから絵の修行に打ち込んでいたようです。
その先生が天章周文。
この人すごい人で、足利将軍家の御用絵師です。
もちろん役職だけじゃありませんよ。腕です。
私は好きです。筆致はとても素朴です。
よけいなものはそぎ落とせるだけそぎ落としている印象です。
その分、構図が活き活きとし、味わいが深いです。
雪舟が尊敬した中国人画家とは?
雪舟は大人になると山口の大内氏がパトロンになります。
やがて本場、明へ留学。
あちらでは当時の明時代のものより宋・元時代のものを愛好したようですね。
雪舟がその中で特に尊敬した画家は一人が夏珪、もう一人が李唐。
夏珪の絵はとても優美で女性的です。
線のひとつひとつがものすごく繊細で流れるようです。
写実的で、あたかも雪が載ったように全体の余白が目立ちます。
対して、李唐はとても男性的な印象です。
たいへん重々しくて力感にあふれます。
人物画では時にその人のあらゆる内面や背負ってきた人生そのものをも活写しているよう。
いくら塗り重ねたのだというどこまでも濃密な黒にひきこまれます。
雪舟の名水墨画から4つ
2年ほどで日本に帰り、以後は国内各地をめぐりながら、たくさんの名作を残しました。
紙本墨画秋冬山水図
雪舟の絵で特によく見かけるのは国宝ともなっている
「紙本墨画秋冬山水図」。
雪化粧を思わせる枯れた山里。
よく見ると一人の男が狭い山階をしずしず歩み登ろうとしております。
天橋立図
外せないのが「天橋立図」
日本三景天橋立を遠望でとらえております。
今そこに手に取るようなダイナミックさは圧巻です。
慧可断臂図
不思議とクセになるのが、
「慧可断臂図」
中国の慧可というお坊さんが、インドからやってきた高僧・達磨(あのだるまさんのモデル。中国禅宗の開祖とされます)に弟子入りをお願いしている場面です。
禅をくんで壁に向かい合っている達磨さんはずっと洞窟にこもって厳しい修行を続けているからでしょうか、
何とも人間離れした不思議な目をしていらっしゃいますね。
トローンと死んだようで、そのクセ、妙にギラギラ。
破墨山水図
私の好きなのは「破墨山水図」です。
だいぶ後年になって描かれたもののようですが、
墨の濃淡のみで山水をあたかも深い霞の中に浮かび上がらせているようです。
雪舟の絵は雄大な自然を描いたものが多いですね。
最大の先生は自然だ
という言葉を残したとか。
日本のみならず、中国大陸も津々浦々回ったようですしね。
自然の中の一部であることを受け入れるということが、結局は禅の精神につながってゆくのでしょうか。
きょうのまとめ
雪舟は生きていたころ、あまり有名ではなかったようですね。
彼がものすごいブランドイメージとなるのは狩野派が「雪舟を師」とあおぎ始めてからです。
そうすると、大名などの権力者らもこぞって収集するようになりました。
もともと、雪舟はお坊さんです。
作品はゆかりある人たちによって大切に保存されていたのですが、
次第に権力者らの手にわたるにしたがって「贋作(にせもののこと)」がいっぱいまざるようになってしまったようです。
そのため、今では、雪舟といえば「贋作がものすごく多い」という評判となってしまっております。
① 雪舟のお師匠、天章周文は足利家の御用絵師。その画力も秀逸
② 雪舟が中国で憧れた画家はその時はやりの明代ものではなく、宋・元代もの
③ 雪舟の作品は壮大な山水図が多い
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