今や室町を代表する文化人として歴史の教科書に載る絶対覚えなければならない名前。
しかし、画家という世界にはそういう人が多いですね。
雪舟さんも生前さほどメジャーだったわけではありません。
漂泊の天才水墨画家。
その美の深まりを味わう入り口になれば幸いです。
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雪舟はどんな人?
雪舟
出典:Wikipedia
- 出身地:備中赤浜(今の岡山県総社市)
- 生年月日:1420年?月?日
- 死亡年月日:1506年ごろ(享年86才ごろ)
- 室町時代中期の水墨画家
雪舟の年表
1420年(0才)雪舟生まれる
1429年ごろ(9才ごろ)京都の相国寺に移る
1467年(47才)明へ渡航
1469年(49才)帰国
1506年ごろ(86才ごろ)雪舟亡くなる
雪舟とネズミの絵
雪舟は小田という武家の生まれとされております。
幼くして地元にある宝福寺にあずけられました。
そのころには寺の掃除や修行をそっちのけで絵ばかり描き、罰として和尚さんに本堂の柱にくくり付けられました。
和尚さんが雪舟少年はどうしてるだろうと見に行くと、少年の足元に大きなネズミが一匹。
雪舟をかんだら大変だ!
と和尚さんが追い払おうとしてよく見ると、絵。
雪舟が落ちる涙を足の指で描いたものでした。
すっかり感心した和尚さんは雪舟の絵をとがめることはなくなったようです。
雪舟の生涯
10才ごろに京都の相国寺に預けられます。
将軍家ゆかりの禅寺です。
そこで超一流の先生に出会います。
将軍家お抱え絵師の天章周文。
ここで禅についても絵についても最高水準の教育を受けた雪舟はやがて独り立ちし、山口の守護大名大内氏の庇護を受けるようになります。
やがて、50才も間近になってきたころ。
雪舟は一つの決心をします。
水墨画の本場、明への渡航です。
そもそも大内氏は明との貿易を行っております。
雪舟はあちらでかなりの評判となったようです。
「四明天童山第一座」
という称号をいただいております。
雪舟は当時の明の画家よりは宋や元代の画家を尊敬し、夏珪や李唐の作品を模写して学びました。
そして、向こう岸がかすんで見えない揚子河口。
奇岩織りなす聖なる黄山。
地平線見晴るかす華北大平原。
黄濁と荒れ狂う文明の奔流黄河。
中華大陸の風景は壮大です。
「風景こそ最大の師」として、日本に帰ってからも各地を転々とするようになってゆき、おのれの画業を積んでいきました。
この人は確たる資料がとぼしい人です。
亡くなった日付も年もはっきりとはわかっておりません。
雪舟の水墨画代表作
たくさんありますが、こちらではその一部を紹介いたします。
いずれもそれぞれにとても味わい深い作品です。
「紙本墨画秋冬山水図」
出典:東京国立博物館
美術や歴史の教科書によく出てくる作品。
枯れた季節の山里の光景を素朴なタッチで描いております。
「慧可断臂図(えかだんぴず)」
出典:東京国立博物館
慧可という僧が達磨太子に弟子入りを願っている場面を描いております。
達磨さんの表情がなんとも不思議にクセになります。
「天橋立図」
出典:東京国立博物館
天橋立の遠望図です。
天下の壮観がそこに手に取るようです。
「破墨山水図」
出典:東京国立博物館
墨の濃淡のみで描きあげました。
山水が深い霞の中から浮かび上がるようです。
雪舟の庭
これまで主に絵について紹介してまいりましたが、雪舟はそれだけではありません。
作庭家としてもとてもすぐれております。
禅美術といえばはずせない作庭。
竜安寺の白砂の方状石庭などが知られております(雪舟作ではありません)。
雪舟作はそれよりももっと野味を大胆に打ち出しております。
山口県山口市にある常栄寺庭園。
淡い草むらの上に大小の石を無造作に置いたような。
でも、かなり精緻に計算されているのでしょうね。
絶妙のバランスの配置。
その自然さが引き立て、なじみもよいです。
きょうのまとめ
雪舟も中国から帰って少なからぬ衝撃があったのではないでしょうか。
そう、応仁の乱です。
自分が若いころに学んだ京の都が焼け野原になっていることはもうとくとその目や耳に入っていたはずです。
自分を囲ってくれた大内氏も積極介入しております。
あの大陸の雄大な光景を見た後に、雪舟は何を思ったでしょう。
彼はやがて、大内という大きな傘の下を抜け出し、各地への漂泊に向かうのです。
彼はその行く先々で何を見たのでしょう。
彼の絵や庭から見えてくるものとはなんでしょう。
① 雪舟には幼いころ自分の涙で描いたネズミの絵があまりに上手で和尚さんもびっくりしたというエピソードがある
② 雪舟には「風景こそ最大の師」。実際、彼の作品には雄大な自然の山水画がとても多い
③ 雪舟は水墨画だけでなく、作庭にもすぐれた作品が多い
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