リチャード1世の心臓~リアル・ライオンハート物語~

 

あなたはライオン・ハートと聞いてどのような印象を受けるでしょうか。

最強者としての勇気(ブレイブ)と誇り(プライド)。

イギリスには人々にそうあだ名されたある一人の王がおります。

その名はリチャード1世獅子心王しししんおう(獅子はライオンという意味です)。

並みいる強敵たちとの戦いや陰謀は次から次へ、せまりくる絶体絶命のピンチを何度も切り抜けてゆきます。

そんな彼の心臓が今もまだ残っている、と聞いてあなたはどう思われますか。

死んでも、物としての形がなくなっても、なお800年以上生き続ける“ライオン・ハート”の物語です。

 

敵のレジェンドとも認め合える仲

イングランド王
出典:Wikipedia

時は12世紀、日本では源平合戦の真っ最中、アジア大陸では“蒼き狼(モンゴル族に伝わる伝説。彼らは草原の気高いオオカミの子孫だといいます。)”チンギスハンによるモンゴル帝国の勢いがとまりません。

一方そんな時、ヨーロッパ大陸でも激動です。

キリスト教徒である彼らが国を越えて一つのチームとしてまとまり、キリストの聖地エルサレムをアラブのイスラム教徒たちから奪い返そうというのです。

十字軍です。

つまり、この戦場にはヨーロッパとアラブ両方の世界の猛者(もさ)たちが集まり、命がけで知恵と武力を競い合っているのです。

そんな中に一人、ずば抜けた武勇で恐れられた国王がおります。

リチャード1世です。

味方はその存在に勇気がふるい立ち、敵はまるで魔鬼のようにおそれました。

敵方の大ボスであり、アラブを背負い、救った奇跡の英雄王サラディンですら、このリチャード1世とは男どうし認めあいました。

 

 

ライバルからは〇〇あつかい

そして、リチャード1世最大のライバルと言えばフランスの尊厳王とあだ名されるフィリップ2世です。

フィリップ2世はリチャード1世とは個性がまったくちがいます。

ずば抜けた武勇で時代を突っ切るのがリチャード1世。

しかし、フィリップ2世は時に陰謀すらたっぷりふくんだ知略でしたたかにわたり歩いてゆきます

ある時、リチャード1世はいろんな国々のずるがしこい作戦によってつかまり、人質になったことがあります。

ところが、リチャード1世は無事解放されることになり、それを知ったフィリップ2世は、

「気を付けろ。悪魔は解き放たれた」

と自分の仲間に送る手紙に書きとめました。

 

戦争にいそがしすぎて……

リチャード1世は若いころから亡くなるまで戦いに次ぐ戦いです。

なので、本国イギリスにはほとんどいてられません。

彼が王様だった時、イギリスに居れたのはたった6ヶ月

しかもリチャード1世、イギリス国王なのに英語をほとんどしゃべれませんでした。

 

リチャード1世の最後

泣く子もだまる戦場のカリスマ(※)もやがて死ぬ時がやってきます。

リチャード1世は当時フランスで城を攻撃中、敵の矢を受けてしまいました。

リチャード1世はその時あまりいい医者を連れてきておらず、そのまま傷が腐ってゆき、10日ほど苦しんだ末亡くなってしまいました。

この時、リチャード1世41才

彼は英雄とされますが、いろんな人をいっぱい殺しております。

この亡くなり方を“報い”と言うとちょっと厳しすぎるでしょうか。

まあ本人にとっては、「これも悔いなし」なのかもしれませんが。

(※)実際当時のアラブでは、いうことを聞かない子に「リチャード1世がつかまえに来るぞ」といっておどしつけました。

 

リチャード1世、不滅の心臓

2013年大発見が世界中をかけめぐりました。

1838年フランスのルーアン大聖堂で見つかったという粉々のかけらはなんとあのリチャード1世“心臓”

それを最新科学による分析の結果、とりどりの花々やミント、水銀などによってくさらないよう、いい香りがするよう処置がほどこされていたというがわかりました。

 

きょうのまとめ

① リチャード1世は味方をふるい立たせ、ライバルたちを認めさせ、恐れさせる、“勇気”と“誇り”の獅子心王

② リチャード1世は戦争にいそがしすぎて、本国イギリスにほとんど帰れなかった

③ 2013年、リチャード1世の心臓に科学的分析の結果が出され、世界中をおどろかせた

リチャード1世のおかげでイギリスは彼の死後、金欠になってしまいます。

戦争に次ぐ戦争ですので、当然と言えば当然です。

カリスマというのはそれでも許されるほどだからカリスマなのですが。

●クメール王朝のジャヤバルマン7世

●イスラエル王国のダビデ王とソロモン王

●フランスの太陽王ルイ14世

(彼らはいずれも名君として人気が高いですが、戦争や建築のやりすぎで国を金欠にしてしまいました。彼らの死後、これらの王国はみんな衰退にむかっております)

など、カリスマはかっこいいけれどその後もよくよく気を付けないと、歴史は厳しい結末が待っておりますよ。

 
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