紀元前4世紀、古代ギリシャで活躍したプラトン。
当時の哲学者の中でも著書をたくさん残しており、現代にも彼の名言が数多く伝わっています。
プラトンの考えがヨーロッパにおいて広く伝わったのも、多くの情報を著書として残していたためです。
そのことも西洋哲学の源流と呼ばれる理由の一端でしょう。
すべてを紹介しだすとキリがありませんが、今回はその中から特に印象的なもの、プラトンの思想が色濃く垣間見えるものを考察していきます。
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イデア論に基づいた名言
プラトンの思想の中核となったものに「イデア論」という考え方があります。
イデア論は、簡単にいえば「現実に見えているものは、イメージの中にある真実の投影でしかない」という考え方です。
色眼鏡などという言葉が使われるように、物の見え方はイメージによって大きく変わります。
しかしそのイメージには、違う人であっても共通していることがある…それはなぜだろう…と考えたのが、イデア論です。
魂には眼がある
魂には眼がある。魂だけが真実を見ることができる
イデア論によると、真実はイメージの世界にだけあるとされます。
そしてイメージの世界を覗けるのは、自分の思考だけです。
その思考は何かというと、実在している肉体とは別のもの…つまり魂だとプラトンは考えたのでしょう。
人のイメージの世界に真実がある…よって魂は真実を見ることができる。
真実を見ることができるものを本当の眼と考え、プラトンは「魂には眼がある」といったのです。
自身に見つめられていない人生は生きる価値がない
自身に見つめられていない人生は生きる価値がない
前項と関連性の深い名言ですね。
自身に見つめられている人生とは、恐らく魂で真実を見据えられている状態を表しています。
つまり「現実に見えているものだけで考え、真実から目を背けた人生に価値はない」とプラトンはいいたかったのでしょう。
仕事で例えてみると、ただ「指示されたから」といって業務をこなすことと、その仕事にどんな意味があるのかわかってこなすことといったところ。
どちらが価値のある仕事かは一目瞭然でしょう。
優しくあれ
優しくあれ。あなたの出会う人々はみな、困難な戦いに挑んでいるのだから
真実を見据えていない人生に価値はないとはいっても、それはとても困難なことだということもプラトンはわかっていたのでしょう。
みんな真実を見据えることが重要なことはわかっている。
しかし真実と向き合うには苦痛が伴う…人は誰しも十分に苦しんでいる状態なのだから、せめて自分が出会う人ぐらいには優しくしようと、彼は考えたのです。
プラトンは仏教でいう輪廻転生の思想に影響を受けていました。
輪廻転生の考え方では、魂は人間として善行を積むことで浄化されていくとします。
つまり生きている間中、人は修行を強いられているわけです。
どんな生き方をしても、生きていくにはそれなりの労力が伴います。
優しくあれというのは、人の生き方を馬鹿にしてはいけないという意味だとも考えられますね。
哲学を語った名言
プラトンは生涯に渡って哲学者であり続けました。
そして彼は自身が向き合った哲学に関しても、いくつか名言を残しています。
プラトンにとって生涯をかけるほど価値のあった哲学を、彼は一体どのようなものだと考えていたのでしょうか。
哲学にはたしかに良い面もある
哲学にはたしかに良い面もある。しかしそれは若い頃に良く触れておく分に関してだけだ。必要以上に依存してしまうと、人は壊滅してしまう。
哲学を追求していたからこそ、その危険性もわかっていたと考えるべきでしょうか。
哲学とはすなわち「人間はどう生きるべきか」など、答えの出ない問題を考えることです。
答えが出ないといっても、その命題と向き合うことは重要なことではあります。
しかし哲学するとは「考えることでしかない」という点に注意しなければなりません。
人生を形作るものは、思考ではなく行動です。
若いうちに哲学にふけるのは、考えの基盤を固めることに大いに役立つでしょう。
しかしずっと考えているだけでは、人生は何も動いていかないのです。
哲学は最高の文芸である
哲学は最高の文芸である
哲学は答えの出ない問題と向き合うこと。
それに対して文芸は、文字を使った芸術のことです。
芸術はそれを妄信するのではなく、楽しむもの。
つまり哲学に関しても、プラトンは「なるほどな」と楽しむぐらいが丁度良いと考えていたのでしょう。
偉大な哲学者の考えだといっても、いってしまえば見ず知らずの他人が考えたことです。
あまり鵜呑みにせず、参考にするぐらいに留めておくのが良いのでしょうね。
きょうのまとめ
プラトンの残した名言には、哲学者として多くの人から支持されていた彼の人となりが垣間見えます。
今回の内容はほんの一部に過ぎませんが、最後に彼の考えの一端をまとめてみましょう。
① プラトンは真実を見据えた人生に辿り着くことが善行だと捉えていた
② 誰しも正しく生きようともがいている…だから、人の生き方を馬鹿にしてはいけない
③ 哲学は赤の他人の考えに過ぎず、依存しすぎてはいけない
そしてそれが難しいことだということもわかっており、全うできない人を責めるようなこともありません。
また哲学者でありながら、哲学に依存しすぎない姿勢にも好感が持てます。
彼の考え方を見ていると、やはり名言とは人徳が伴ってのものだと再認識させられますね。
プラトンの年表を含む【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
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