大久保利通が暗殺された理由と場所とは?

 

大久保利通おおくぼとしみちは1878年5月14日、

東京の紀尾井町という場所で暗殺されました。

この事件は現場となった地名をとって、「紀尾井坂の変」とも呼ばれています。

明治維新への功績から「維新の三傑さんけつ」とも称えられた大久保は、

なぜ暗殺されなければならなかったのでしょうか。

そこで今回は、大久保利通が暗殺された理由と場所についてご紹介していきます。

 

大久保利通はどのように殺されたのか

1878年5月14日午前8時頃、

大久保利通は麹町こうじまちにあった屋敷を出ました。

大久保邸があった場所は、今でいうところの首相官邸辺りだそうです。

当時は火災の影響で赤坂に仮の皇居があったため、そこへ向かったのです。

その途中、馬車を走らせていると怪しい男たちが姿を見せました。

馬丁ばてい(馬の世話などをする人のこと。)はすぐさま、声を出して注意をしたそうです。

すると男たち6人は、それぞれ左右から馬車を襲撃しました。

襲われた大久保は馬車から数メートル離れた場所で、

仰向けになって亡くなっているところを発見されています。

喉には刀が刺さったままで、遺体の傍らには脇差と刀が4本並べてあったそうです。

さらには馭者ぎょしゃ(馬車を走らせる人のこと。)を務めてた中村太郎も斬られ、

大久保から少し離れた場所に、同じく喉に刀を刺したまま倒れていたそうです。

 

なぜ大久保利通は暗殺されたのか

大変痛ましい事件であったことは、おわかりいただけたと思います。

では、なぜ大久保利通は殺されたのでしょうか。

大久保を襲ったのは石川県士族であった島田一良いちろうたちとされています。

彼らはいわゆる「不平士族」と呼ばれ、

明治新政府によって次々と武士の特権を奪われた人々でした。

島田は大久保利通だけでなく、伊藤博文や大隈重信、そして岩倉具視など、

他の政府高官たちの暗殺も計画していたと言われています。

そして島田たちによって書かれた斬奸状ざんかんじょう(悪者を斬る理由を書いた文書のこと。)には、

・国会が開設されない

・憲法もできていない

・国費の無駄遣い、

・外国との条約改正ができていない

などの不満が記されていたといいます。

また島田は、征韓論を主張していたとも言われていますから、

当時の政府への不満は大きかったのでしょう。

そんな彼らの怒りの矛先が政府の要人・大久保に向けられた、

それが紀尾井坂の変が起きた理由だったようです。

 

実はあいまいだった事件現場

実はこの暗殺事件ですが、

襲撃された場面を目撃した人物はいなかったそうです。

大久保本人と馭者は殺されており、馬丁も事が起きると知ると、

すぐに事件を報告するために走って行きました。

よって犯行を目撃し、

そのことを語ることができるのは犯行グループのみということになります。

そのため、実際に襲撃された場所が特定されたのは、なんと約50年後の昭和4年(1929年)のことだったそうです。

馬丁をしていた人物がまだ生きていることが判明し、

宮内庁が大久保襲撃事件の起きた正確な場所を記録することになったのです。

現在、東京都千代田区紀尾井町清水谷には、

大久保がその地で遭難したことを示す碑が建てられています。

<大久保利通終焉の地>

 

襲撃された馬車は倉敷に

大久保が襲撃されたとき乗っていた馬車は現在、

岡山県倉敷市の五流尊瀧院ごりゅうそんりゅういんに安置されているそうです。

暗殺事件の後、約半世紀のあいだ大久保家によって保管されていたそうです。

しかし、人の血が流れた馬車を置いてくのは良くないとの理由で五流尊瀧院に移されたといいます。

こちらは後鳥羽上皇にもゆかりのあるお寺ですので、

興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか。

ただし、馬車を見学するためには予約が必要との情報がありますので、

事前に問い合わせることをおススメします。

<五流尊瀧院>

 

きょうのまとめ

今回は、大久保利通が暗殺された理由や場所についてご紹介しましたが、

いかがでしたでしょうか。

大久保利通は、

① 馬車で仮皇居に向かう途中に襲われた

② 不平士族の怒りの矛先が大久保に向けられた結果、暗殺されてしまった

③ 暗殺されて50年経った後、襲われた場所が特定された

④ 暗殺当時乗っていた馬車は倉敷の五流尊瀧院にある

といえます。

こちらのサイトでは他にも、大久保利通や幕末・明治維新に関する記事をわかりやすく書いています。

興味をお持ちの方は、ぜひ読んでみてくださいね!

大久保利通の年表を含む【完全版まとめ】記事はこちらをどうぞ。
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