エイブラハム・リンカーンが大統領に就任した1861年から、4年に渡り繰り広げられた南北戦争。
建国以来続く奴隷制度や産業構造の違いなど、あらゆる相違点が問題となり、アメリカが南北に分かれて対立した戦争です。
しかしこの南北戦争により、現在の大国アメリカはその基盤ができあがったとも言えます。
今回は、リンカーン大統領が密接に関りを持つ南北戦争について見ていきましょう。
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リンカーン大統領と南北戦争
ここからは早速、南北戦争とリンカーンの関りについてご紹介します。
南北戦争 概要
アメリカは1776年に独立を宣言して以来、西方に領土を拡大すると共に、産業構造等の相違によって徐々に南北に分裂していきます。
特に、黒人奴隷制度の有無についての意見の対立は顕著でした。
そして1860年の大統領選挙で奴隷制度に反対するリンカーンが当選を果たすと、南部はそれに対して反発を強め、連邦からの離脱を決定します。
翌年リンカーンが大統領に就任すると、南部の諸州はアメリカ連合国を形成し、独立する意向を示しました。
しかし、リンカーンは南部の独立によるアメリカの分離を認めませんでした。
こうして1861年4月、アメリカは完全に南北で対立し、南軍が北部の要塞を攻撃したのを皮切りに南北戦争が勃発します。
南部の立場
ここで、アメリカ南北それぞれの立場についてまとめてみましょう。
リンカーンの奴隷制度拡大反対に対して反発していた南部諸州は、農業を主な生業とする地域でした。
それも、黒人奴隷を労働力にした綿花プランテーションを行っていた為、彼らにとって奴隷の存在は経済活動に欠かせないものとなっていたのです。
そして政治的な在り方に関しては、連邦政府のような統一的な体制ではなく、州ごとに各自治体の権限を持つことを重視していました。
北部の立場
一方の北部アメリカは、商工業を生業とする工業地帯で、奴隷制度に反対する人々が集まる地域でした。
政治体制も、連邦政府の権限を重視した統一的な在り方を目指していた為、この地点で南北の産業そして性格的な違いは明らかです。
それに加え、西部開拓に伴う新たな州を北部の「自由州」にするのか、又は南部の「奴隷州」にするのかで両者は対立を深めていったのです。
南北戦争とその後のアメリカ
ここでは、南北戦争の経過とその後のアメリカ社会について見ていきます。
戦況と結末
リンカーンの大統領就任により、南北の対立が決定的なものとなって勃発した南北戦争。
開戦当初は、軍事的にも南軍が優勢でした。
さらに、イギリスやフランスが南軍を支援したこともあり、北軍は劣勢に立たされていました。
しかし、リンカーン大統領は1863年に奴隷解放宣言を出します。
そしてこの南北戦争の目的が奴隷制度廃止にあることを示すと、イギリスとフランスはこの大義名分に納得し、北部への支援に転換したのです。
こうして北部は経済力を駆使し、西部の農民たちの支持も受けて徐々に勢力を回復していきます。
その後、1865年3月に南部であるアメリカ連合国の首都、リッチモンドが陥落したことで南北戦争は終結。
リンカーン大統領が率いた北部が勝利を収めます。
その後
4年に渡り繰り広げられた南北戦争。
南軍、北軍共に犠牲者の数は何十万人にも及び、その後アメリカが直面する戦争と比べて最も戦死者の多い戦争となりました。
しかし北部の勝利により奴隷制度は廃止され、商工業を主な産業にして経済基盤を固めることで、その後のアメリカは大国へと発展を遂げます。
アメリカ南北戦争は、建国以来続いていた南北の対立を収め、アメリカ合衆国という一つの国の在り方に統一する結果をもたらしました。
そして1865年の暗殺事件により逝去したリンカーンは、偉大な大統領の一人として歴史にその名を刻んだのです。
その一方で、廃止されたはずの奴隷制度は黒人差別の問題へと移行し、後々まで尾を引いていきます。
さらに、大国ならではの移民問題や多人種国家としての問題を、その後抱えることにもつながりました。
きょうのまとめ
今回は、リンカーン大統領と密接な関りを持つ南北戦争についてご紹介しました。
いかがでしたでしょうか。
最後に、今回ご紹介してきた内容を簡単にまとめると
① アメリカ南北戦争は、建国以来続いていた南北の政治的、性格的対立がもとになっている。
② 南北戦争は、奴隷制度反対を掲げるリンカーンが大統領に就任したことで勃発した。
③ リンカーンが率いた北軍の勝利により、現在のアメリカ合衆国の基盤が誕生した。
リンカーンの大統領就任により勃発したとも言える南北戦争。
しかし結果的に、奴隷制度を廃止したことで黒人たちを解放し、長年続いた南北の分離に終止符を打つことになりました。
19世紀以降、現代でも世界的に大きな影響力を持つアメリカ。
その原点ともなったリンカーンの功績と南北戦争は、多くの犠牲者の存在と共に、いつまでもアメリカの重要な出来事として残るのです。
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