麒麟がくる第三十六回「訣(けつ)別」【あらすじ簡単まとめ】

 
 
※ネタバレあり
 
大河ドラマ麒麟きりんがくる』
 
第三十六話で描かれたのは、かつての慈悲深さを忘れ、変わり果ててしまった将軍・足利義昭の姿。

信長の排除に躍起になる義昭に、光秀の忠誠は大きく揺らぐこととなります。

以下よりあらすじを辿りましょう!
 

 

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麒麟がくる(第三十六話)のあらすじ

1572年冬、大納言・三条西実澄さんじょうにしさねずみ(演:石橋蓮司)を通じ、正親町天皇おおぎまちてんのう(演:坂東玉三郎)に拝謁はいえつの許しを得た光秀(演:長谷川博己)は、実澄に伴われ御所へ参内します。
 
姿こそ見ることは叶わなかったものの、光秀は天皇の声を聞き、信長が入れ込んだその人となりを体感することに。

一方、将軍・足利義昭(演:滝藤賢一)にかつての優しき面影はなく、幕臣として支えることを誓った光秀はどう身を振っていくべきか、大いに悩まされることとなります。

将軍・足利義昭の変貌

大和では義昭の上洛以来、領地を巡って争っている松永久秀(演:吉田剛太郎)と筒井順啓(演:駿河太郎)の戦が続いていました。

その戦火は隣国・河内まで届くようになっており、義昭は幕府と織田家の連合軍に挙兵を命じます。

松永は兼ねてから織田家に味方をしてきた大名。

しかしこのとき義昭が敵としたのは、なんとその松永でした。

結果、河内の戦いは織田軍が松永を取り逃がす形で終わりますが、信長は今後、松永を頼ることができなくなってしまいます。

それだけではなく、義昭は甲斐の武田信玄(演:石橋凌)に上洛を促し、信玄はその道すがら、浜松城の徳川家康(演:風間俊介)を襲撃。

2万の軍勢に圧倒された家康は大敗を喫することとなります。

信長との不和が続いていた義昭は、このようにして織田家に味方する者をことごとく排除しようと振る舞うのです。

信長と義昭の訣別

着々と進んでいた義昭の信長排除の動き。

そして信長のとある行動をきっかけに、事態は両者の決戦にまでも発展してしまいます。

その行動とは、信長が義昭に対し「十七箇条の意見書」を提出したことでした。

書かれていたのは、あまりにも手厳しい苦言の数々。

少しやりすぎたかと、信長も贈り物をして詫びようとしますが、時はすでに遅し。

光秀が贈り物の白鳥を届けに参じると、義昭は激怒しており

・武田信玄

・朝倉義景

・浅井長政

の三者を頼って挙兵し、近江で信長を挟み撃ちにする算段を立てていたのです。

幕臣である光秀にも、やはり参戦が促されますが…それは兼ねてから手を取ってきた信長に刃を向けるということ。

この鬼気迫る状況に、光秀はどう決断を下すのでしょう…?
 

 

麒麟がくる(第三十六話)の見どころ

ここからは今回の見どころを詳しくみていきましょう!

正親町天皇への拝謁

水を渡り た水を渡り 花を た花を看る 

春風 江上こうじょうの路 覚えず君が家に到る

御所に参内した光秀の耳に届いたのは、14世紀中国の詩人・高啓の「胡隠君を尋ぬ」の一節。

「川や花を見、春風を感じながら歩いているといつの間にか友の家まで辿り着いていた」

という、穏やかな暮らしそのものを表した内容が謳われています。

光秀は天皇への直々の拝謁が叶わず、庭で待つように命じられていたのですが、このあと天皇からこんな一文が届けられます。

ちんはこの詩の如く、日々生きたいと思う」

これを受け取った光秀は、天皇へ届くよう、以下のような心中を語ります。
 
「私もそのように生きたく存じまする。さりながら、迷いながらの道でございます」

信長と義昭、ともに京を治めようとするふたりの意向は食い違うばかり。

穏やかな世を望むことはこれほどに難しいことかと、光秀は悲痛な想いを天皇に届けるのです。

すると天皇から返ってきたのはこんな言葉でした。

「朕も迷う。なれど、迷わずに歩もうではないか。明智十兵衛、その名を胸に留めおくぞよ」

国の象徴とされる天皇であっても、いかんともしがたい状況に悩むのは同じ。

しかし自分の信じた道をただ進むことでしか、事態は動いていかない。

そんな意味の込められたこの言葉に光秀は感銘を受けるわけですが、彼の信じた将軍を巡って、今回は一波乱起きてしまうんですよね…。

松永への挙兵を巡り、頭を悩ませる織田家家臣団

御所より光秀が戻ると、館で待ち構えていたのは織田家の家臣団

・柴田勝家(演:安藤政信)

・佐久間信盛(演:金子ノブアキ)

・木下藤吉郎(演:佐々木蔵之介)

の3名でした。

三者が光秀に伝えに来たのは、松永久秀vs筒井順啓の戦への挙兵の話。

今回、義昭は松永を敵として兵を挙げるわけですが…

信長は将軍の望みとあって渋々兵を出すことにしたものの、松永を本気で敵に回すつもりなどなく、いかんせんやる気がないとのこと。

しかも義昭が松永を目の仇にしているのは、兄である前将軍・義輝を討ったのが松永と勘違いしているためだと、織田家家臣たちは語ります。

たしかに息子の松永久通ひさみちは、暗殺に関わっていましたが…。

そんな煮え切らない状況に、家臣たちも頭を悩ませていたようです。

しかしここで、そんなことは建前だと、義昭の行動の真意を語ったのが木下藤吉郎でした。

 「わしは公方さまが朝倉や浅井に密書を送り、上洛を促しておるのはつかんでおる。

信長さまが大和と河内に兵を送って近江や美濃が手薄になったところへ、朝倉たちに一気に攻めさせようとの魂胆とにらんでおりますが、いかがか!」

今回も藤吉郎はさすがの切れ者ぶり。

酒に酔っていても、義昭の考えていることをぴたりと言い当ててしまいます。

とはいえこの時点では、ほかの家臣も光秀も

「何もそこまで…」

と、義昭をまだ疑いきれずにいる様子でした。

また、このシーンではこれまで出番のなかった佐久間信盛にもスポットが当たっていましたね。

比叡山焼き討ちでの信長の暴走に対し、光秀がはっきりと反発したことを挙げ

「こたびの戦も、明智殿の思うところを殿に直言していただきたい」

と、口にした信盛。

今後、織田家において光秀の理解者となるかも?

優しき将軍・義昭はどこへ…?

今回特に目を引いたのが、義昭が剣術修行に打ち込むシーンだったという人も多いのでは?

兄の義輝は剣豪将軍として知られているため、義昭もそれを意識し、戦地に赴くなら多少の心得がなければと考えてといいますが…

これを目にした光秀は

「兄君は兄君。公方さまは公方さまなのだが…」 

と、思わず漏らしてしまいます。

戦を嫌い、ただ貧しい民を救いたいと願っていた義昭が、戦地に赴く準備をしている。

以前と矛盾するようなその姿に、光秀も動揺するところがあったのでしょうね。

奉公・三淵藤英(演:谷原章介)は

「武家の棟梁たるもの、ほかの武士たちに舐められないようにしなければ」

と乗り気でしたが…。

しかもこの場にて義昭は、お側衆では相手にならないと、光秀に立ち会いを命じます。

光秀は強すぎるからと、三淵が制止しても

「それゆえ、太刀さばきを見てみたいのじゃ」

と、やる気満々…。

ほんとに、こんなに血気盛んな人じゃなかったですよね?

剣を交えるなかで光秀が思い浮かべていたのは、かつての優しき義昭の姿。

「私がもし将軍になれば、貧しい人々を救える」

「都は穏やかでなければならぬ。我らにとって、ここは美しき都であった」

といった、民を一番に考える義昭の姿です。

光秀が惚れこみ忠誠を誓ったのは、戦に積極的な義昭ではなく、戦を嫌い、民への慈悲に満ちた義昭でした。

自分の信じる道をただ進むのみと、天皇から授かった言葉が重くのしかかりますね…。

信長と義昭の狭間で揺れる光秀

ここまでの経緯を通し、光秀は将軍への忠誠が揺らいでいることを妻・熙子ひろこ(演:木村文乃)に語ります。

御所で天皇に拝謁したことを報告した折は、

「信長さまが敬うておられるのが少しわかった。

我ら武士は将軍の名のもとに集まり、世を平らかにすべき。そう思うてきた。

だが信長さまはもはや、そう思うてはおられぬのかもしれぬ」

と、話していましたが、信長の将軍軽視は今さら取り立てて言うことでもありませんよね。

これは、光秀自身の本心が漏れたものではないでしょうか。

近江・坂本城の天守閣にて、家族を連れて琵琶湖で月見がしたいと夢を語った際は

「必ず皆をここへ呼び寄せる。人質として、そなたたちを京に残せとは…いかに公方さまでも、その儀だけは飲めぬ」

と、話す姿も。

思えばこの処遇にしても、義昭らしくない命令です。

「今、どちらに心を惹かれておられますか?」

と聞いた熙子には

「どちらも大事なのだ」

と返していましたが、義昭への疑念が積もっていっていることは見るに明らか。

気持ちは離れつつあるものの、まだ信じたい気持ちもある…そんなところでしょうか。

将軍に苦言を呈した信長

今回は序盤から義昭の不穏な動きが目立っていましたが、決戦のきっかけを作ったのは信長でした。

岐阜城へと光秀を呼び出した信長は、自身の見たある夢の話をします。

「甲斐の国より大入道が上洛し、わしを捕らえて公方さまの前に突き出すのじゃ。

公方さまは事もなげに、耳と鼻をそぎ落とし、五条の橋にさらせと仰せになる。恐ろしい夢じゃ」

大入道って…たしかに信玄は丸坊主だけど…。

ともあれ、この夢が何かのお達しだと感じた信長は、義昭への非礼を詫びるための贈り物をしようと、光秀に使いを頼むのです。

というのも、信長はこのところの義昭の振る舞いに対し「十七箇条の意見書」を提出。

その内容がなかなかに辛辣な苦言だったというのです。

・よく働いた家臣に褒美をやらず、己がかわいいと思う近習の者のみに金品を与える

・信長に断りもなく諸国に御内書を送り、寺社の領地を没収する

・帝への配慮が足りない

・将軍の立場を利用して金銀をためこんでいると評判が悪い

これ、ほんとだとしたら、やっぱり以前の義昭とは別人ですよね。

権力はここまで人を変えてしまうのか…。

またこのシーンでは、武田信玄の襲撃を受けている家康に対し、信長が3千人しか援軍を送らなかったことに、光秀が意見する場面もありました。

「それどころではない」

と言った信長に対し、光秀は義昭の名を挙げ、その力を借りれば諸大名に協力を募れると言います。

しかし信長は

「公方さまがそうまであてになるお方と思うか?

信玄も朝倉も浅井も皆、公方さまが上洛を促しておられる。わしを追い落とすつもりか?」

とのこと。

非礼を詫びる気にはなっても、両者の信用関係は何も解決しないことがわかります…。

義昭がついに信長に刃を向ける!

義昭は信長からの「十七箇条の意見書」に激怒すると、ついに挙兵の準備を始めてしまいます。

そして今回一番、

「あーあ…それやっちゃうんだ…」

と思ったのが、この準備を巡って医師助手・駒(演:門脇麦)に届けられた義昭の一言です。

駒はこの数年、義昭の

「貧しい民のための保護施設を作りたい」

という夢に賛同し、必死にお金を貯めてきました。

なんとそのお金を、義昭は信長との戦の準備に使わせてくれと頼んで来たのです。

以前は二条城にお金を治めに来た駒に

「これではそなたが困ってしまうではないか!」

なんて言っていたのに…。

戦が終わったら返すとか、そういう問題じゃないですよね。

そして光秀が信長からの贈り物を届けにやってきたその場で、義昭は決戦の覚悟を語るに至ります。

「このくぐいは、来るのが遅かった。わしは信長との戦を覚悟したのじゃ」

(※鵠…白鳥の昔の呼び名)

ここで、松永や家康を退けたこと、諸大名に上洛を促したこと、すべては信長に対し先手を取るためだったことが、義昭の口から語られるのです。

「決めたのじゃ、わしは信玄とともに戦う!信長から離れろ。わしのためにそうしてくれ」

光秀を信じてそう言った義昭でしたが、光秀はこの言葉を最後に義昭のもとを去ることに。

「公方さま…それはできませぬ。御免!」

と、涙ながらに放つ一言がまた悲痛でしたね…。
 

麒麟がくる(第三十六話)のまとめ

正親町天皇が放った一言は、将軍という存在を見直す機会を光秀に与えました。 

結果として光秀は、以前とすっかり変わってしまった義昭のもとを去ることに。

信長と義昭、いずれにしても光秀にとっては同じ夢を見た同志。

この先は辛い戦いが待っていそうですね…。

最後に今回のまとめです。
 

 
将軍・足利義昭が松永久秀に挙兵。さらに武田信玄を使い、徳川家康を敗走させる。信長に味方する大名をことごとく排除していくことに。

天皇が光秀に示したのは「自分の信じた道をただ進むこと」。しかし忠誠を誓い、信じた義昭は慈悲深い姿をなくし、積極的に戦を起こす将軍になってしまった。

信長が「十七箇条の意見書」で義昭を非難。激怒した義昭は諸大名の力を借り、信長に挙兵することを決意する。  
 

さて、次回はいよいよ信長と義昭が決戦のときを迎えます。

朝倉義景、武田信玄ら有力武将がどのような動きを見せるかにも期待がかかりますね!

そして…信長の天皇や朝廷からの扱いもまた、大きく変わるようですが?

 
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