キリスト教を破門。
それは中世ヨーロッパ世界において「お前はこの社会で生きてはいけない」とされたことにほぼ等しいことです。
そんな時代、いろんな人々に「破門」を連発したローマ教皇がおります。
中世、ローマ教皇の権力を絶頂に持っていったインノケンティウス3世。
さて、彼がだれに「破門」をもうしわたし、その後どうなったのでしょうか。
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破門ってなに?
破門、それは「あなたをキリスト教信者として認めない」ということです。
中世ヨーロッパではキリスト教の影響力がとっても大きいです。
キリスト教では、この世もあの世も全部神が創ったもの。
だから、「破門=宇宙全部の敵」になったことを意味します。
死んでなおその魂は許されません。
インノケンティウス3世に破門された人々
インノケンティウス3世はローマ・カトリック教会で一番トップの人です。
いうなればキリスト教における神様の代理人のようなものです。
彼に破門された人々はこちら
①ジョン王
当時、イギリス・キリスト教会で一番カリスマであるカンタベリー大司教のポストが空いておりました。
この時、インノケンティウス3世が「この人が一番だね」とある人を推薦しました。
ところが、イギリスのジョン王はその意見を拒否ります。
すると、インノケンティウス3世はジョン王を破門。
ジョン王は「イギリス全部上げますんで」などと泣きを入れて、インノケンティウス3世に許してもらおうとしました。
ジョン王は別名「失地王」。
戦争には負け放題、政治は失敗続きで、だいぶしまりの悪い人間性でもあり、貴族らに
「お前の好き勝手にはさせん!」
と“マグナカルタ”を認めさせられます。
王様の権力をおさえる法律です。
ちなみにインノケンティウス3世はまもなくマグナカルタの無効・破棄を宣言をします。
②オットー4世
そもそもオットー4世の即位そのものにインノケンティウス3世はからんでおります。
神聖ローマ帝国ではフィリップとオットー4世が皇帝の位を争っておりました。
インノケンティウス3世が応援していたのはオットー4世。
しかし、フィリップが有利になってゆきます。
すると、インノケンティウス3世はフィリップの破門を許すだけでなく(彼も、ということです)、フィリップ押しになってしまいます。
ところが、そんな矢先にフィリップがいきなり暗殺されてしまいます。
こうしてインノケンティウス3世はオットー4世を認めるしかなくなります。
ところがオットー4世はインノケンティウス3世の言うことをちゃんと聞きません。
そこでインノケンティウス3世はアレを発動します。
オットー4世は神聖ローマ皇帝もクビ。
オットー4世はそれでもめげずに戦い続けます。
が、人々の支持はやはり集めづらくだんだん没落。
そして、とうとう病気になり、死の間際まで破門を解いてくれるようお願いしつつ、許されませんでした。
③フィリップ2世
フランスをヨーロッパ一の強国に押し上げたほどの大王。
かなり計算高い男です。
フィリップ2世の場合、もともとデンマーク王の末娘インゲボルグという婚約者がおりました。
しかし、フィリップ2世はなぜか結婚直前に、インゲボルグと離婚し、ほかの女性と結婚してしまいます。
インゲボルグはインノケンティウス3世に
「これ、キリスト教で禁じられている一人の旦那に奥さん2人の状態だと思います」
と訴え、インノケンティウス3世はフィリップ2世を破門しました。
フィリップ2世は結局、新しい奥さんと別れ、インゲボルグと結婚し、破門を解いてもらいました。
④第4回十字軍
十字軍自体教皇が呼びかけてやるもののはず。
じゃあ、なぜ破門したのでしょう?
というとこの十字軍、キリスト教徒の町で略奪を起こしてしまいました。
その後、十字軍内のフランス人はすぐに破門を解いてもらいました。
しかし、十字軍内のヴェネツィア人はそのままです。
なぜなら、ヴェネチア人は教皇になんのわびを入れるそぶりもありません。
結局、この十字軍はなぜか同じキリスト教国であるビザンツ帝国の首都コンスタンティノープルに攻め込み占領します。
この戦争で圧倒的に得し、全盛期をむかえたのは教皇の破門にすら動じない、現実にものすごくドライなヴェネチア共和国でした。
きょうのまとめ
① 中世ヨーロッパでキリスト教を破門されると、かなり厳しい
② ローマ教皇インノケンティウス3世に破門された人たちはいっぱいいる
③ インノケンティウス3世の破門すら屁とも思わないヴェネチア共和国おそるべし
ヴェネチア共和国はのちにビザンツ帝国が弱ったところに勢力を伸ばしたオスマントルコにドンドンやられてゆきます。
そしてヴェネチアを事実上滅亡させたのがナポレオンのフランスというのも皮肉。
にしても、インノケンティウス3世、まじめなところはまじめです。
ただ、できれば自分と全然ちがう立場の人たちにもそういった目で見られるなら。
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