ああ、今年のウナギは高いかなあ。安いかなあ。
急に手に入りやすくなったり、手から遠のいていったり。
昨今の世界的な日本食ブーム。
グローバル経済化。
さらには急激な地球温暖化。
などのあおりをまともに受けているウナギさん。
だいたい、
日本では夏の盛り”土用の丑の日”といったらウナギってもんなんです。
ですが実は、
それを広めたのはあの”エレキテル”で有名な平賀源内先生だっていうんです。
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自由闊達(かったつ)で博識な平賀源内先生はひらめきました!
源内先生は医療・地質・蘭学・文学なんにでも優れた芸達者。
戯作(江戸時代に流行った大衆向けの読み物)を書いたり、
油絵をやったり、
火浣布(石綿でできた燃えない布)を開発したり、
オランダから渡来した”エレキテル(自家発電機)”を修理・模造して(※決して発明したわけではない)世に示したり。
そんな源内先生ですから、
ある時ウナギ屋さんに、
「暑い夏はウナギがさっぱり売れねえ」
なんて相談を持ちかけられたとのこと。
ちなみに、
当時はウナギの旬が”夏”だとはほぼほぼ誰も考えてはおりません。
天然ウナギというのは、本来身に栄養のいっぱい乗った”冬”が旬なんですね。
それでも源内先生は考えました。
そして、
!
とひらめきまして、
「なりゃ。いい話がねえわけじゃあねえけど」
となったわけです。
五行の教えと土用の丑の日
当時の日本には五行の教えが深く信じられておりました。
五行とは中国の道家(旧中国の学問分類における一派)の流れをくむ教えです。
陰陽五行なんて言葉聞いたことはございませんか。
木・火・土・金・水
すべてのものはこの五つをもとにしてできあがっているというのです。
たとえば、食べ物だと五味「酸(さん)・苦(く)・甘(かん)・辛(しん)・鹹(かん)」とか。
内臓だと五臓「肝(かん)・心(しん)・脾(ひ)・肺(はい)・腎(じん)」とか。
色なら五色「青・紅(朱)・黄・白・玄(黒)」。
なんでもこれに当てはめて考えていたんですね。
源内先生は博識ですから、
「そんなら。あれよ。土用の丑の日あんだろ」
土用とは季節を五行で割ったうちのひとつです。
季節は四つじゃないの?
ええ、今の日本では一般的にそういわれておりますが、五行の教えではちがいます。
春(木)・夏(火)・秋(金)・冬(水)
と、
それぞれの季節の境目に「土用(土)」ってのがあるんです。
そして、当時は日付けに十二支をそれぞれ当てておりましたので、
ちょうど夏の土用の「丑」の日(7月19日~8月7日の間のどこか)に
頭に「う」の付くものを食べると健康に良い、
という民間信仰があったものですから、
『本日、丑の日』
「て、店の幟にでも書いて売りだしゃもうかるだろ」
という寸法です。
それが、きっと図に当たったんでしょうな。
次第にほかの店がマネをするようになりまして、
人々の暮らしに根付き、
今ではすっかり、ということになったという説です。
ウナギが夏バテに効くのは迷信だけじゃない!?
ただ、
”ウナギが夏バテに強い”
というのは科学的な”一定”の裏付けがあるようです。
よろしいでしょうか。
あくまで”一定”です。
この辺をよく気に留めておいてください。
夏バテの主な原因のひとつに
“暑さによる消化機能不振などからくる栄養不足”
があります。
ところが、
ウナギには
☆ミネラル
☆カルシウム
☆鉄分、亜鉛
☆脂質(DHA、EPA)
☆コラーゲン
と、かなり豊富な栄養がふくまれているんです。
それは元気になるわけです。
源内先生は医療にも通じておりましたので、その辺を何やらすでに知っていたのかもしれません。
注意!現代人の夏バテにウナギはあまり効かない?
ただ、ここで大事な注意点がひとつ。
昨今は私たち現代人の食生活が大幅に変わりました。
すなわち
“栄養とりすぎ”
傾向にあります。
すると、”栄養不足”で夏バテになる可能性はうんと低くなります。
つまり、
現代人の多くの夏バテ対策に
「ウナギはあまり期待できない」
と考えられ始めているということです。
もし、
「これは夏バテにかかったかも」
と思った時は、
“水分やミネラルの不足”
あるいは
“冷房の効いた部屋と暑暑の外との急激な温度変化の繰り返しなどによる自律神経の不調”
といった、ほかの原因を十分に考えに入れてください。
きょうのまとめ
さすがは源内先生。
コマーシャル事業もお手の物ですな。
① 平賀源内がウナギを土用の丑の日に売り出した、という説がある
② 平賀源内は旧暦における季節の替わり目の「丑の日」に「う」の付く食べ物を食べると健康になるという民間信仰を取り入れた、という説がある
③ 科学的に見ても、ウナギは栄養豊富で夏バテに”一定”の効果があるものの、現代人にはあまり効果がない、という説が支持されつつある
それにしても気にかかるのはウナギですね。
まだ彼らの生態はあまりよくわかってはおりませんが、
わたしたちの歴史も文化も自然とともに成り立っておりますからね。
ウナギを安心して食べられる日がずっと続くことが願われてなりません。
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