逸話から見えてくるファーブルその人

 

日本では、『昆虫記』を書いた人というイメージが強い

ファーブル

この作品を基に、子供向けにリライトされた本がいくつも出版されています。

昆虫好きの人たちの中には、子供のころ目を輝かせながら読んだ人もいるのではないでしょうか。

しかし意外と、ファーブル自身がどんな人物だったのか知らないということも。

そこで今回は、彼に関しての逸話を3つ紹介して、

その人間性を探っていきたいと思います。

 

ファーブルの意外な逸話

ここからは、ファーブルって実はこんな人だったんだ!

と少し意外に思うような逸話を紹介していきます。

実は狩猟好きだった

昆虫の研究に生涯のほとんどを費やし、植物を育てたりして自然を愛した印象の強いファーブル。

しかし彼には狩猟を好んでおこなっていた時期があり、

特にひばりなどの小鳥がそのターゲットになっていました。

この事実に衝撃を受ける人もいるかもしれませんが、彼には一応の目的があり、

撃ち落とした鳥を解剖実験に利用していました。

この解剖によって、その鳥が普段何を食べて生活しているかなどを調査していたのです。

しかし次第に、いくら調査のためとはいえさすがにやり過ぎた、

と反省したファーブルはその後撃ち落とすのはやめています。

他にも、「うるさいから」と池にいるカエルを全てすくってしまった、というエピソードもあり、

好奇心の強さや学問的なことへの情熱の強さからやり過ぎてしまうことや、

神経質になってしまう一面があったことがこれらの逸話からうかがえます。

感受性豊かな詩人

ファーブルが生まれ育った地元で使用されていた言語は、

「オック語」という南フランスに伝わる独自の言語でした。

しかし彼の生きていた時代に、この言語がフランス語に置き換えられようとする時期に入り、

オック語の消滅の危機に心を痛めたファーブルは保護運動に参加していました。

具体的にはオック語で詩や歌を書いてその美しさを表現し、

排除しようという動きに反対してオック語を守ろうとしました。

ファーブルは昆虫を中心とした生物学の他に、数学や化学、物理学なども独学で習得していたり、

一見すると完全に理数系の人だったという印象を受けます。

しかし実際に『昆虫記』のなかに見られる、表現の文学的な物語性は、

オック語の詩や歌を書くときに培われた想像力や、

物事を受け取る感受性の豊かさが影響しているのだと考えられます。

ファーブルが理数系だけでなく文系の方面でも才能を発揮していたことが、

この逸話から感じ取れます。

だからこそ、『昆虫記』が現代でも世代を問わず多くの人々に親しまれているのでしょう。

祖国での知名度が低い

日本では昆虫好きを筆頭に子供にも知られていることが多いファーブル。

ひとつ前の逸話でも、多くの人々に親しまれていると書いたばかりです。

しかし実は生まれ故郷であるフランスでは、あまり彼の知名度は高くないのです。

現在のフランスのアヴィニョンには、彼の功績をたたえて「アンリ・ファーブル通り」

という名前のついた道がありますが、その通りを行き交うフランス人の多くが、

ファーブルとはどんな人物で、どんな功績を残したのか知らないといいます。

また、日本、韓国、中国、ロシアで出版されている『昆虫記』を基にした子供向けの本は、

フランス、ドイツ、英米では存在すらしていないのです。

一体どうして?と思いますよね。

現段階であまりはっきりと断定することはできませんが、これはおそらく、

虫に対しての関心があるか無いかに関係しているのだと考えられます。

フランスなどの国々では、そもそもあまり虫を愛でる習慣がありません。

日本では子供の頃、夏休みにカブトムシやセミを捕まえたり、

鈴虫などの声に耳を澄まして秋の訪れを感じたりします。

万葉集などにもコオロギなどの虫を謳った詩が存在します。

けれど日本で育った私たちが当たり前のように接している「虫」に関する文化が、

ファーブルの祖国フランスではほとんど発展していません。

もちろん、このことが全てのフランス人に当てはまるわけではありませんが、

虫に関する情報や本に興味を持つのは、学者や研究者が多く、

一般的に受け入れられる文化ではなかったのです。

これでは、フランスで虫に関する本があまり出版されないことにも納得できてしまいます。

その結果、ファーブルの存在が祖国ではほとんど知られていないという現象が起きてしまったのです。

 

きょうのまとめ

今回はファーブルに関する逸話を、

意外性に注目して3つ紹介しました。

いかがでしたでしょうか。

簡単にまとめると

① 実は狩猟を好んでいた

② 地元の言語を守るため、詩人として才能を発揮した

③ 祖国フランスではあまり知られていない

衝撃を受けるものが多かったのではないかと思います。

当サイトには他にもファーブルに関する記事がありますので、

合わせてご覧いただくと、より彼の人間性が見えてきます。

お時間があるときに、ぜひのぞいてみて下さい。
 

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