イングランドと結婚した生涯のヴァージン・クイーンエリザベス1世。
彼女は見事に国家と国民を守り、たくましく豊かに成長させました。
強く、かしこく、美しく、……。
たくさんに祝福され、何もかもに恵まれた人のようですが、そこはやはり人です。
彼女ならではの悩みがありました。
そのひとつが後継者。
いったいだれが偉大なる女王の跡を継げるのか。
イングランド王室の家庭問題から政治権力の持つ様々な顔をのぞき見てみましょう。
テューダ―朝の激しい王位継承争い
テューダ―家。
もとウェールズの君主の子孫にあたります。
やがて度重なる戦乱に勝ち残り、イングランド王家の座に座りました。
ヘンリー8世(エリザベス1世の父)が亡くなった後、息子のエドワード6世(エリザベス1世の異母弟)が継ぎました。
しかし、若くして病気で亡くなってしまいます。
本来ならその後継者はヘンリー8世の最初の妻との間に生まれた長女メアリーです。
ところが、当時のイングランドはカトリックとプロテスタントが激しくしのぎをけずりあっております。
エドワード6世はプロテスタント。
カトリックのメアリーが継ぐと自分の政策が台無しにされるでしょう。
そこで死の間際、分家のジェーン・グレイという15才の少女を後継ぎにするよう伝えます。
こうして、女王に立ったジェーン・グレイ。
ですが、メアリーはうまく逃げて力を蓄え反撃。
ジェーン・グレイも捕まり、処刑されてしまいました。
こうしてメアリーが女王に。
メアリー1世です。
ところが、そのメアリー1世も亡くなり、跡を継いだのがエリザベス1世です。
グレイ家三姉妹の悲劇
ジェーン・グレイには妹がおりました。
まずキャサリン。
キャサリンはエリザベス1世に侍女として仕えておりました。
しかし、公爵家の長男エドワード・シーモアと秘密の結婚をします。
ところが、それがエリザベス1世にバレてしまいます。
怒ったエリザベス1世はこの結婚を無効に。
それでもシーモア夫婦は獄中で会っていたようで、子どもができました。
エリザベス1世はとうとう彼らの子どもを王位継承から外してしまいます。
間もなくキャサリンは獄中で病死。
また、ジェーン・グレイにはもう一人の妹メアリーがいます。
このメアリーも宮廷守護官と秘密の結婚。
しかし、これもバレてはかない末路をたどる運命となりました。
スチュアート家からの後継者候補
このようにテューダー家の血統は先細る一方。
しかも、エリザベス1世は一生独身ですので、ついに直系は無くなってしまいます。
その後継ぎ候補として有力だったのが2人。
2人ともテューダ―家の遠い親戚であるスコットランド王家のスチュアート家から。
1人はジェームズ1世。
スコットランド女王メアリースチュアートの一人息子です。
もう一人は女性、アルベラ。
アルベラはイングランド育ちです。
その点でスコットランド育ちのジェームズ1世よりイングランド王室に親近感があります。
しかし、アルベラもテューダー王族のウィリアム・シーモアという男性と秘密の結婚をし、バレてしまいました。
こうして、最後に残ったのはジェームズ1世ただ一人。
エリザベス1世の亡くなった後、後継者となりジェームズ6世として立ちました。
イングランド・スコットランド同君連合の誕生です
きょうのまとめ
家督問題というのは歴史の常です。
時に内輪もめで、時に子どもに恵まれず、など。
そんな成功や失敗の中からいろんなデータをひろいあげ、私たちの実生活に生かしていきたいものです。
ただエリザベス1世の場合、実子はなくても業績と国家を世に長らく残しました。
そういう生き方もあります。
① テューダ―王家は内輪もめやスキャンダルが続発し、直系後継者が絶えた
② グレイ3姉妹はいずれも悲しい最後をむかえた
③ イングランド王家はスチュアート家のジェームズ6世が継ぎ、イングランド・スコットランド同君連合が誕生した
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